(Nov/17/05 共同通信より引用開始)
【年内輸入再開の方針伝達 首相,米国産牛肉で】(引用終了)
小泉純一郎首相は16日に京都迎賓館で行われた日米首脳会談で,懸案の米国産牛肉の輸入再開問題について,「内閣府食品安全委員会の正式な答申を受けて,政府がしかるべき措置を取る」と言明,年内輸入再開の方針を伝えた。
(略)
大統領は,牛肉輸入再開問題について「議会などの関心が非常に強い」と指摘。首相は「できるだけ早期に日米間で双方向の牛肉貿易を再開したいと希望している」と応じ,食品安全委プリオン専門調査会の答申案で年内の輸入再開に道筋が付いたことを説明した。
それを受けて米帝はこう語っています。
(Nov/17/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米大統領,米国産牛肉の輸入再開方針を評価】(引用終了)
小泉純一郎首相は16日のブッシュ米大統領との会談で,BSE(牛海綿状脳症)で中断した米国産牛肉の輸入再開問題について,食品安全委員会プリオン専門調査会が輸入再開を事実上認める答申案を出したことで12月中に米国産牛肉の輸入が解禁されるとの見通しを明らかにした。大統領はこれを評価したうえで早期の対応を求めた。
大統領は会談後の共同記者会見で「専門調査会は,米国産牛肉は安全で安心であるという判定を出してくれた」と語った。
調査会は米国とカナダ産牛肉と国産牛肉の安全性を比較するよう政府から諮問を受け,科学的な検証を実施。生後20カ月以下の若い牛に限定することや,病原体であるプリオンが蓄積する脳などを取り除くことが徹底されていればリスクは小さいとの結論を出した。日本政府はこれを受け,12月中の輸入再開に向けた手続きを進めている。
「専門調査会は,米国産牛肉は安全で安心であるという判定を出してくれた」というのはすさまじい拡大解釈。日経があわてて補足しているように,まず厳格な条件厳守を前提としているのであって,手放しで安全だとは答申のどこにもそんなことは書いていない。っていう正論をクレイジーなアメリカ人にしたところで仕方がないですが。
こういうわけで,またしても属国日本が宗主国様のいいつけどおりに動くことになってしまいました。自民党って保守政党だと思っていたんだけど違うんだね。アメリカを守るけど日本国民を守ろうという気持ちはないみたい。自民党結党50周年で「独立」を果たすんじゃなかったのかね。国民向けアピールと宗主国様向けアピールをこんなに単純に使い分けて恥ずかしくないのかね。そんなことだから,憲法改正もアメリカに言われているからするんだとしか思えないんだよ。
では本当の保守派ならどうするか。
日米関係は重要だから,アメリカ向けには輸入再開OKと言う。でも国が一括して買い上げて税関を通した段階で肉を全焼させる。だって危険部位がきっちりとられてるか,本当に20ヶ月以内の牛なのか判別できない(つまり危ない)から。これはアメリカ企業が全頭検査を開始するまで続ける。文句は言わせない。カネ払うんだから。慰霊碑ももちろん税金で建てて牛の供養もしてあげる。
財源?国債発行でいいじゃん。どうせ今の金額だって返せやしないんだから。
国内には「日本の国民を,アメリカの杜撰な食肉産業の圧力のもとに晒すわけにはいかない」とでも言っておけばいい。
話を戻します。牛丼企業の対応はこんな感じらしい。
(Nov/17/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【牛丼チェーン4社増収,米国産牛使用は判断分かれる】(引用終了)
牛丼チェーン大手4社の2005年9月中間連結決算(吉野家ディー・アンド・シーは8月決算,なか卯は単独)が17日,出そろった。米国産牛肉の輸入停止による打撃から回復しつつあり,全社が増収を確保し,経常利益でも増益か黒字転換を果たした。
豪州産牛肉の牛丼が好調だった「すき家」のゼンショーと,食材費の調達コストを削減した「松屋」の松屋フーズは,利益を大幅に増やした。吉野家は,単価の高い新メニューのヒットで単独決算は税引き後黒字を確保したが,連結決算はグループ会社の業績不振などで税引き後赤字だった。
年内にも輸入が部分再開される見通しの米国産牛肉については「再開決定から2か月以内に牛丼を復活させる」(吉野家),「価格や肉質など条件次第で使用する」(松屋),「当面は使わない」(ゼンショー)と対応が分かれている。
吉野家の傾倒っぷりが目立ちますな。ま,そのために臥薪嘗胆,いや臥薪嘗「プリオン」してきたんだから仕方ないか。願わくば,BSE原因のクロイツフェルトヤコブ病患者が吉野家常習者から出てこないことを。
そうそう,牛丼屋なんかには行かないって言ってる人も安心はできませんよ。
(Nov/14/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米産牛肉,外食や小売りの6割「解禁後使う」・日経調査】(引用終了)
年内にも輸入が再開される見通しとなった米国産牛肉について,主な外食・小売業のうち6割近くが「使う」と考えていることが,日本経済新聞社の聞き取り調査で分かった。ただより確かな安全性や価格を取り扱いの前提条件とする企業が多く,実際の取り組みは差が出そうだ。
調査は外食・小売業の大手50社を対象に11月上旬に実施し,44社から回答を得た。全体の52.3%にあたる23社が「(6カ月以内をメドに)様子を見てから使う」と答えた。扱う条件(複数回答)としては米国の加工業者による「安全性の向上」(15社)が最も多く,次いで「仕入れ価格が採算に合う」(14社)が続いた。
金,かね,カネ。企業だから仕方ないんだけど(このエントリで「仕方ない」を何回使っただろう)消費者の方も向いて欲しいなあ。毒(と思われても仕方がないもの)を政府のお墨付きで売りつけるんだから。
現状では生鮮肉の原産地表記が法律で義務づけられているわけだけど,これも「加工品」になってしまえばその義務もなくなる。例えば,肉にタレをつけるだけで「加工品」になるので(ウソだと思ったらスーパーに行って確かめてみよう)そんなもんいくらでも誤魔化しがききます。
外食になればもう何が何だかわからんでしょう。ウエイターやウエイトレスにだって知らされないでしょう。もし客に聞かれたら「当店ではアメリカ産牛肉は一切使用していません」と答えるように教育するけど,それが本当かどうかを知っているのはごく一部の人間だけになるのでしょう。
というわけで,僕はもうきっぱりと「安物」牛肉との決別を宣言します。国産和牛の「高級」牛肉は食べると。年に数回で十分ですけどね。おっと。そもそも出家の身だったか・・・。