2005年11月17日

日本の国体のためには国民を危険にしてもいいんだという現代自民党的発想

 案の定というか何というか,小泉首相は薮君に見事なプレゼントを献上してお帰りいただいたようです。

(Nov/17/05 共同通信より引用開始)
【年内輸入再開の方針伝達 首相,米国産牛肉で】
 小泉純一郎首相は16日に京都迎賓館で行われた日米首脳会談で,懸案の米国産牛肉の輸入再開問題について,「内閣府食品安全委員会の正式な答申を受けて,政府がしかるべき措置を取る」と言明,年内輸入再開の方針を伝えた。
(略)
 大統領は,牛肉輸入再開問題について「議会などの関心が非常に強い」と指摘。首相は「できるだけ早期に日米間で双方向の牛肉貿易を再開したいと希望している」と応じ,食品安全委プリオン専門調査会の答申案で年内の輸入再開に道筋が付いたことを説明した。
(引用終了)

 それを受けて米帝はこう語っています。

(Nov/17/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米大統領,米国産牛肉の輸入再開方針を評価】
 小泉純一郎首相は16日のブッシュ米大統領との会談で,BSE(牛海綿状脳症)で中断した米国産牛肉の輸入再開問題について,食品安全委員会プリオン専門調査会が輸入再開を事実上認める答申案を出したことで12月中に米国産牛肉の輸入が解禁されるとの見通しを明らかにした。大統領はこれを評価したうえで早期の対応を求めた。
 大統領は会談後の共同記者会見で「専門調査会は,米国産牛肉は安全で安心であるという判定を出してくれた」と語った。
 調査会は米国とカナダ産牛肉と国産牛肉の安全性を比較するよう政府から諮問を受け,科学的な検証を実施。生後20カ月以下の若い牛に限定することや,病原体であるプリオンが蓄積する脳などを取り除くことが徹底されていればリスクは小さいとの結論を出した。日本政府はこれを受け,12月中の輸入再開に向けた手続きを進めている。
(引用終了)

「専門調査会は,米国産牛肉は安全で安心であるという判定を出してくれた」というのはすさまじい拡大解釈。日経があわてて補足しているように,まず厳格な条件厳守を前提としているのであって,手放しで安全だとは答申のどこにもそんなことは書いていない。っていう正論をクレイジーなアメリカ人にしたところで仕方がないですが。

 こういうわけで,またしても属国日本が宗主国様のいいつけどおりに動くことになってしまいました。自民党って保守政党だと思っていたんだけど違うんだね。アメリカを守るけど日本国民を守ろうという気持ちはないみたい。自民党結党50周年で「独立」を果たすんじゃなかったのかね。国民向けアピールと宗主国様向けアピールをこんなに単純に使い分けて恥ずかしくないのかね。そんなことだから,憲法改正もアメリカに言われているからするんだとしか思えないんだよ。

 では本当の保守派ならどうするか。
 日米関係は重要だから,アメリカ向けには輸入再開OKと言う。でも国が一括して買い上げて税関を通した段階で肉を全焼させる。だって危険部位がきっちりとられてるか,本当に20ヶ月以内の牛なのか判別できない(つまり危ない)から。これはアメリカ企業が全頭検査を開始するまで続ける。文句は言わせない。カネ払うんだから。慰霊碑ももちろん税金で建てて牛の供養もしてあげる。
 財源?国債発行でいいじゃん。どうせ今の金額だって返せやしないんだから。
 国内には「日本の国民を,アメリカの杜撰な食肉産業の圧力のもとに晒すわけにはいかない」とでも言っておけばいい。

 話を戻します。牛丼企業の対応はこんな感じらしい。

(Nov/17/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【牛丼チェーン4社増収,米国産牛使用は判断分かれる】
 牛丼チェーン大手4社の2005年9月中間連結決算(吉野家ディー・アンド・シーは8月決算,なか卯は単独)が17日,出そろった。米国産牛肉の輸入停止による打撃から回復しつつあり,全社が増収を確保し,経常利益でも増益か黒字転換を果たした。
 豪州産牛肉の牛丼が好調だった「すき家」のゼンショーと,食材費の調達コストを削減した「松屋」の松屋フーズは,利益を大幅に増やした。吉野家は,単価の高い新メニューのヒットで単独決算は税引き後黒字を確保したが,連結決算はグループ会社の業績不振などで税引き後赤字だった。
 年内にも輸入が部分再開される見通しの米国産牛肉については「再開決定から2か月以内に牛丼を復活させる」(吉野家),「価格や肉質など条件次第で使用する」(松屋),「当面は使わない」(ゼンショー)と対応が分かれている。
(引用終了)

 吉野家の傾倒っぷりが目立ちますな。ま,そのために臥薪嘗胆,いや臥薪嘗「プリオン」してきたんだから仕方ないか。願わくば,BSE原因のクロイツフェルトヤコブ病患者が吉野家常習者から出てこないことを。
 そうそう,牛丼屋なんかには行かないって言ってる人も安心はできませんよ。

(Nov/14/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米産牛肉,外食や小売りの6割「解禁後使う」・日経調査】
 年内にも輸入が再開される見通しとなった米国産牛肉について,主な外食・小売業のうち6割近くが「使う」と考えていることが,日本経済新聞社の聞き取り調査で分かった。ただより確かな安全性や価格を取り扱いの前提条件とする企業が多く,実際の取り組みは差が出そうだ。
 調査は外食・小売業の大手50社を対象に11月上旬に実施し,44社から回答を得た。全体の52.3%にあたる23社が「(6カ月以内をメドに)様子を見てから使う」と答えた。扱う条件(複数回答)としては米国の加工業者による「安全性の向上」(15社)が最も多く,次いで「仕入れ価格が採算に合う」(14社)が続いた。
(引用終了)

 金,かね,カネ。企業だから仕方ないんだけど(このエントリで「仕方ない」を何回使っただろう)消費者の方も向いて欲しいなあ。毒(と思われても仕方がないもの)を政府のお墨付きで売りつけるんだから。

 現状では生鮮肉の原産地表記が法律で義務づけられているわけだけど,これも「加工品」になってしまえばその義務もなくなる。例えば,肉にタレをつけるだけで「加工品」になるので(ウソだと思ったらスーパーに行って確かめてみよう)そんなもんいくらでも誤魔化しがききます。
 外食になればもう何が何だかわからんでしょう。ウエイターやウエイトレスにだって知らされないでしょう。もし客に聞かれたら「当店ではアメリカ産牛肉は一切使用していません」と答えるように教育するけど,それが本当かどうかを知っているのはごく一部の人間だけになるのでしょう。

 というわけで,僕はもうきっぱりと「安物」牛肉との決別を宣言します。国産和牛の「高級」牛肉は食べると。年に数回で十分ですけどね。おっと。そもそも出家の身だったか・・・。  

Posted by p-5796189 at 23:10Comments(0)TrackBack(0)

2005年11月08日

盲目的な屈米体質の読売は日本の良さをまるでわかっていない

 僕がこの話題に触れ出すと止まらないかもしれない。そういうわけで意図的にちょっと距離を置いていた牛肉問題について,ほんのちょこっとだけ書いておきたい。例によってバカ新聞の社説を引きます。

(Oct/25/05 読売新聞社説より引用開始)
[米国産牛肉」「輸入再開を遅らせる政治の怠慢」
 過去2年間、禁止されてきた米国産牛肉の輸入が、年内に再開される見通しが強まった。
 安全性を審査している食品安全委員会の専門調査会が、「日米の牛肉のリスク差は非常に小さい」とする答申原案を示した。今後、リスク評価について詰めの議論を行い、近く決定する見込みだ。
 食品委は、原案が決まればそのまま正式答申とする方針だ。それを受け、農林水産省などが年内に禁輸措置を解除する運びとなる。
 だが輸入再開までに、あまりに時間がかかり過ぎているのではないか。この間に日米関係は、米軍基地の移転問題などに牛肉問題も加わり、良好な関係が失われつつある、との見方もあるほどだ。
(引用中断)

 ごまかされる前に書いておくけど,日米関係と牛肉の安全問題は全く別だぞ。30ヶ月以上の牛とはいえBSE発生国が何の対処もしないまま日米関係だけをことさら強調していい加減な恫喝をしてくるのを,読売の社説子はそのまま受け入れよというわけね。
 さらに断って書いておくけど,基本的にアメリカがやってるこの手の恫喝は「外交」としては当たり前の手法。それだけ恫喝に弱い日本という前歴があるから相変わらずのジャイアニズムを繰り返してくるわけで,「外交とは他国が嫌がることをやることだ」という刮目すべき定義から言えばそれほど驚くようなことではない。
 僕はこれまで「他国にとやかく言う前に自国内の矛盾を何とかしてからにしろ」という正論を張って,この手の恫喝外交に臨むべきだと考えていたのですが,最近はもうちょっと大人になって(狡猾になってという意味)こっちも向こうのいやがることをやってやれという考えにシフトしないといけないなと思っています。とはいえ,今の日本の国力ではそんなことはできないので,憲法改正を前向きにとらえて自立自尊できるような国造りを進めることから始めるしかないかなという,いつもの結論に戻ってしまっているんですが(笑)。続けます。

(引用再開)
 専門家の議論も大切だが、重要な政策課題には政治の出番が必要だ。「政治が前面に出て対応すれば、これほどの時間はかからなかった」との指摘を、重く受け止めるべきだ。
(引用中断)

 さあこのあたりから読売のバカ丸出し社説が始まります。何が争点かわかってなくて,スキャンダル握られて言うこと聞くしかない政治家に任せたら日本国民の健康が危ないから専門家に意見を聞くんでしょうが。力のある政治家は必ずすねに傷を持っています(これは仕方がないことなんです。金権政治のエセ民主主義である以上は)。そういう後ろめたいスキャンダルを,CIAが幅広いスパイ活動を通して握っている事実は,過去のいろんな事例を見たらわかることです。だから政治家が出ていったらすぐに押し切られるんです。新聞社って我々より情報量が多いはずなのに,なぜこの程度の分析もできないんだ?

 余談ですが,クライン孝子というポチ保守自称国際ジャーナリストは,中国・朝鮮のスパイ活動が気に入らないので日本もはやくスパイ防止法を制定すべきだなんて言ってしつこい。でもスパイ防止法でまず逮捕されるべきはアメリカのCIAだからね。これまで日本の本当の保守系政治家を葬ってアメリカの占領統治を万全なものにしたのがCIAなんだから,日ごろから国益国益とうるさい哀れむべきポチ保守こそ,しっかりと事実を見つめて欲しいもんです。

(引用再開)
 2003年末に、米国で初めてBSE(牛海綿状脳症)の感染牛が確認され、日本はすぐ輸入を禁止した。輸入牛肉の約半分を米国産が占めていただけに、牛丼チェーンなどに大きな影響が出た。
 米国は再三にわたり、輸入再開を求めたが、日本が国産牛に義務付ける全頭検査を実施していないことなどを理由に、日本側は拒否してきた。
 問題は、世界で全頭検査を導入していたのは日本だけだったことだ。国内からも疑問視する声があった。米国との摩擦をきっかけに議論が始まり、半年もかかって、ようやく解除にこぎ着けた。
 その過程で、米国は対日輸出分について、日本の基準に合わせる譲歩案を提示してきた。脳や脊髄(せきずい)など特定危険部位を完全に取り除いた20か月齢以下の牛に限る、という内容だ。
(引用中断)

 世界で全頭検査を導入していたのは日本だけだったことの何が問題なのか。最も安心できる仕組みを低コストで実現している最も進んだ国なのだぞ。なぜ後進国に合わせる必要がある?逆に言えば,そうしなければ日本では牛肉需要が戻らなかったんだぞ。安くて危険なアメリカ産牛肉を輸入して喜ぶのは一日の小遣いが500円のサラリーマンだけだ。読売にとって,何を守ることが「保守」なんだ?国民のいない国家という容器を守りたいわけか?

(引用再開)
 輸入解禁の是非について食品委には、米国が危険部位の除去などを確実に実施するかどうか、疑問視する声が依然としてあるのが現実だ。
 だが、米国側が約束を守るかどうかは農水省などが厳しく点検すべきことだ。約束履行を前提に食品委が議論すれば、容認の結論が出るのは自然の流れだ。
 輸入が再開されたとしても、BSE問題が全面解決するわけではない。国内の検査対象は21か月齢以上だが、国際的には30か月齢以上が大半だ。それでも安全上の問題は起きていない。
 日本の基準は、国際標準から突出している。米国に限らず、どの国から見ても異様に映るだろう。こうした問題の是正には、政治が責任を持って対応しなければならない。
(引用終了)

 異様に映るんじゃなくて,低コストでこのようなことが完全に実施できる日本の技術力にはかなわないからひがんでいて足を引っ張ろうとしているだけだ。読売よ。国際標準から突出した軍事力をもつアメリカを異様だと論じて,政治が責任を持って批判してみろよ。軍事力を減らしても安全上の問題はおきないぞ。むしろリスクは低減するんだから。なぜ日本の良いところを潰して悪い方にあわせるべきだなんていう暴論を吐ける?
 もっと言おう。おまえら吉野家からナンボもろたんや?  
Posted by p-5796189 at 20:25Comments(0)TrackBack(0)

2005年08月17日

アメリカで次々とBSE対策不備が明らかに!明日の二流紙読売の社説に注目!

 さて連日郵政関連のエントリが続いてちょっぴり気が滅入っていたので,今日は話題を変えよう。といってもBSEがらみのマスゴミ批判だぞ。読売新聞,覚悟しておけ。

(Aug/16/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【米BSE対策、特定危険部位の除去で大量の手続き違反】
 米農務省食品安全検査局は15日、BSE(牛海綿状脳症)感染予防策の柱として牛肉加工業者に義務づけている脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位(SRM)の除去について、2004年1月から05年5月までの約1年半で合計1036件もの手続き違反が見つかったと発表した。
 米政府は、SRMの除去によって全頭検査をしなくても牛肉の安全性が確保されると強調してきただけに、米国産牛肉の輸入再開を巡る日米交渉に影響を与える可能性もある。
(引用終了)

 わざわざ読売新聞から引用してやりました。彼らはこれまでアメリカの片棒を担いで日本国民の健康を脅かそうと画策してきたわけですが,どんどんボロが出てきましたね。アメリカで2頭目のBSE牛発見の直後に恐るべき社説を掲げましたし(→参考)明日の朝刊でも厚顔無恥な社説を繰り広げるのでしょうか。本当にどうしようもない新聞ですね。ちなみにこの読売新聞という二流紙はその以前にもこんな社説を書いています。

(May/27/05 読売新聞社説より引用開始)
【[米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」】
 米国の対応策は、日本が牛肉の輸入再開を認めるのに必要な条件をほぼ満たしている。食品安全委員会は迅速に結論を出すべきだ。
 農林水産省と厚生労働省が、米国産牛肉の安全性について、食品委に諮問した。米国産牛肉の輸入再開には、日本産と同程度に安全である、と食品委が判断することが必要だ。実際の審査を担当する食品委の専門家グループが、近く検討に入る。(略)
 食品委は今月初め、日本が続けてきた全頭検査を見直し、20か月齢以下の牛の検査を免除しても問題はない、と結論付けた。検査で確認された最も若い感染牛が、21か月齢だったためだ。
 この結論を出すまで、半年以上の時間がかかった。当初は2、3か月で終了すると見られていた。だが、専門家グループが3週間に1回程度しか会議を開かなかったうえ、一部の委員が過剰に資料提出を求めたことなどで、手間取った。
 いたずらに時間を費やす事態を繰り返してはなるまい。専門家グループは、場合によっては集中審議を開くなど精力的に議論し、早期決着を目指すべきだ。
 日本の検査システムの変更で、輸入再開のハードルは大きく下がる。
 検査なしでも構わないとする20か月齢以下の牛を確認する手法については、肉質による判定で十分可能、との認識で日米当局が一致している。
 米国は、日本に輸出する牛肉から、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位を日本同様、すべて除去することを約束した。
 専門家グループの検討課題は、政府間協議などで事実上、決着済みだ。(略)
(引用終了)

 当時の会合でも散々,アメリカの検査とか危険部位の除去作業が杜撰だということが指摘されていたでしょうが。そういう声を無視して「輸入再開の時期は整っている」ってろくすっぽ調べもせずに安易な結論を急がせた,あなた達のねらいは何だったの?吉野家からカネいっぱいもらってたの?
 これまでも内部告発なり確かな証拠なりはあったけど,圧力がかかったり報道を自主規制したりで事実を隠ぺいしていたんでしょう?いよいよ隠ぺいも厳しくなって今日アメリカ側が白旗を揚げたので,カウンターパートの読売新聞はえらいこっちゃえらいこっちゃって騒いでいる・・・そんなところでしょう。明日の朝刊できっちり説明せえよ。

 それから,こういう事実情報の漏えいを見越してニューヨークタイムズ紙が社説で自国アメリカのBSE対策を批判している,なんていう記事を紹介したのは「しんぶん赤旗」だけでした。読売は自分に都合の悪い部分はすっとぼけるようですね。小泉わっしょいの海外紙社説は嬉々として載せるくせにね。

(Aug/15/05 しんぶん赤旗より引用開始)
【米国の牛肉検査は穴だらけ 安全確保へ独立機関つくれ 米紙がBSE対策批判】
 米紙ニューヨーク・タイムズは十三日付の社説で、牛海綿状脳症(BSE)問題について、米農務省が消費者の安全よりも食肉産業の利益を守る側に立っていると批判し、「農務省から独立して食品の安全を確保する機関をつくるべきだ」と主張しました。
 米国では七月末にBSEの疑いのある牛が見つかり、「陰性」と判定されました。「しかし米国産牛肉に安心する理由はない」と社説は指摘。その理由として、米農務省が「米国産牛肉が完全に安全だと確実にいえるだけの検査の実施を求めていない」ことを指摘しています。
 BSEの原因は草食動物である牛に肉骨粉を与えることにあり、米食品医薬品局(FDA)もそれは禁じています。ところが「FDAの査察体制は不十分で抜け穴だらけ」、しかも牛の血液を与えることは認められているほか、牛の肉や骨を原料としたニワトリ用飼料を牛に与えることも行われています。
 社説は、農務省が危険部位除去のルールを強化しても、英国や日本と違って個体識別制度を義務付けていないため、三十カ月を超えた牛の危険部位が食肉に混入する可能性を指摘。米国では食肉処理される牛の1%未満しかBSE検査されておらず、全頭検査を実施しようとした大手食肉会社に対して農務省が「他の会社への圧力になる」として拒否したと述べています。
 社説は、米政府が「安全性を確保することで他国の信用を得るのではなく、政治的影響力に頼っている」として、ブッシュ大統領が日本に米国産牛肉の輸入再開の圧力をかけていることをあげています。
(引用終了)

 いいかい?アメリカという国でBSEが発生した。すぐさま「大丈夫だよ。そんな年寄り牛のことなんて無視して,若い牛についての輸入対策はお互い合意できてるんだから早く輸入再開しなさいよ。」と言ったのが日本の”一流紙”と一般には呼ばれている読売新聞。その後様々な事実を検証して「ハア?政治力で問題を隠してきただけだろ?アメリカの牛肉に安心する理由なんてねえよ」と答えたのが,アメリカの新聞。笑えないね。よその国の何を恐れているんだか,読売新聞という会社はそこまでしてアメリカに尻尾振りたいわけ?それが”保守”派の新聞なの?

 しかししかし,アメリカってもっとしたたかですよ。今日の夕刊ではこんな記事が。

(Aug/17/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米農務省、日本産牛肉の輸入再開へ手続き】
 米農務省は16日、BSE(牛海綿状脳症)を理由に日本産の骨なし牛肉を輸入禁止している問題で「日本側の安全対策を評価し、これ以上禁輸を続ける必要はないと判断した」とする声明を発表し、輸入再開に向けた手続きを開始した。
 輸入再開についての意見公募(パブリックコメント)を9月中旬まで受け付ける。了承が得られたと判断すれば、輸入を正式に再開する。再開の時期は未定だ。
 声明によると、米政府は2001年9月に日本でBSEの感染牛が見つかったのを受け、牛を含むすべての反芻(はんすう)動物とその加工製品の輸入を禁止。再開の条件として、BSE感染のリスクが高い脳や脊髄(せきずい)など特定危険部位(SRM)の除去などの対策を日本側に求めていた。
 日米両政府は昨秋、相互に禁止している牛肉の輸入を同時に解禁することで基本合意していた。しかし日本政府による米BSE対策の評価作業が手間取っており、輸入再開は実現していない。
(引用終了)

 彼らはすでに次の一手を打ってきています。郵政民営化解散していて議会が空白化している国ではどうにもならんね。合掌。  
Posted by p-5796189 at 23:53Comments(0)TrackBack(0)

2005年06月26日

読売新聞の社説にはさすがの僕もキレました

 今日は日曜日なので更新お休み・・・のつもりだったのですが,読売の社説を読んだらとてもお休みの雰囲気はなくなりました。ある意味,この時期にこういう社説を載せるという読売には感心します。

(Jun/26/05 読売新聞社説より引用開始)
【[米BSE2頭目]「輸入再開の議論は粛々と進めよ」】
 米国内でBSE(牛海綿状脳症)に感染した2頭目の牛が確認された。
 しかし、日本が検討中である米国産牛肉の輸入再開問題に、直ちに影響する事態とは言えまい。審査を担当する食品安全委員会の専門家グループは、粛々と議論を進めるべきだ。
 米国での最初のBSE感染牛は、カナダから輸入されたが、今度は米国生まれの可能性が高い。カナダと米国の牛肉市場が密接な関係にあることを考えれば、米国生まれの感染牛が出ることは、ある程度予想されたことだ。しかも、8歳を超える高齢の肉牛である。
 日本が輸入再開を認めるかどうか検討しているのは、20か月齢以下の若い牛が対象だ。
 米国側は、対日輸出分については、20か月齢以下であることを保証し、BSEの原因となる異常プリオンがたまりやすい脳や脊髄(せきずい)など特定危険部位を完全に取り除くことを約束している。
 そうであれば、日本側の輸入再開の条件は、基本的に満たされている。
 米国の2頭目の感染牛は、昨年11月に簡易検査で陽性となった。確認検査に回したところ、その時は「シロ」と判定された。その後、米農務省の内部監査局の勧告で再検査し、日本や欧州で実施されている「ウエスタンブロット法」という高精度の手法で調べた。
 その結果は陽性で、英国の専門機関の検査で最終確認された。
 米国の確認検査に問題があることがわかり、米農務省は今後、日本などと同じ手法で検査する方針を示した。正しい判断と言えよう。BSE汚染がどれだけ進んでいるかを正確に知ることが、対策の第一歩となるからだ。
 精度を上げれば、感染牛の確認数が増えることが予想されるが、肝心なのは、危険な牛肉を市場に出さないことだ。米国でも、特定危険部位を除去する対象の牛を広げることなどが、消費者の信頼を高めるのに重要だろう。
 日本では、2001年9月に初めてBSE感染牛が見つかって以来、全頭検査が行われてきた。これまで450万頭を検査し、20頭の感染を確認した。
 最も若い感染牛が21か月齢だったため食品委は先月、20か月齢以下の牛について、検査しなくても問題はないとの報告をまとめた。全頭検査という、世界でも異例の措置を解除するのは当然だ。
 国際的には30か月齢以上の牛をBSE検査の対象とするのが普通だ。日本の検査対象を世界標準にそろえることも、今後の検討課題である。
(引用終了)

「カナダと米国の牛肉市場が密接な関係にあることを考えれば、米国生まれの感染牛が出ることは、ある程度予想されたことだ。」だって。本当に一流の記者が書いているのですか?デスクはノーチェックですか?どこがアメリカ産牛肉が安全なんですか?しかも予想してたんだったら,読者を騙していたわけですよね。良心は痛まないんですか?

 昨日僕が指摘した点についても全く触れていない。つまり,今までのアメリカの検査は本当に大丈夫だったのか?という問いに一つも答えていない。そればかりかこんなことまで言う。「米国の確認検査に問題があることがわかり、米農務省は今後、日本などと同じ手法で検査する方針を示した。正しい判断と言えよう。BSE汚染がどれだけ進んでいるかを正確に知ることが、対策の第一歩となるからだ。」何を今更・・・。こんな社説書いていて恥ずかしくないの?

 最後にはどういうわけか論点を思いっきりずらして日本の全頭検査がいかんといういつもの論調にすり替わる。おいおい。BSEが発生した国のことを一つも非難しないで,どうして日本が悪いっていう結論になるの?あなた達は朝日とか毎日とかの自虐はいかんって言っていたんじゃないの?何なんだ,この新聞!非常に不愉快です。何が「日本の検査対象を世界標準にそろえることも、今後の検討課題である。」なの?ホリエモンの世界標準のやり方に精一杯反対していたのはどこの新聞だよ。結論ありきで中身を適当にとりつくろう社説なんて始めて見ました。

 読売新聞はこういう議事録(Feb/24/05 検疫所視察で見たメキシコ牛はアメリカ牛と同じ糖みつ飼育(農水委員会 第2号 平成17年2月24日議事録抜粋 山田正彦質問))とかノーチェックなんだろうか?ちゃんと報道しろよ。・・・それとも読売は吉野家とかから広告いっぱいもらってるのかな?

(ネタ元:Speak Easyさんのサイトより)  
Posted by p-5796189 at 22:43Comments(2612)TrackBack(2)

2005年06月25日

なんどでも言ってやる 狂牛病狂牛病狂牛病狂牛病狂牛病狂牛病狂牛病狂牛病

 昨日のエントリで披露した予想を大きく外しました。アメリカの牛肉はBSE判定クロでした。ということは検査を強化するということは観念したということだったのですね。ま,そんなしょうもない話はどうでもいいとして,来週にかけて各紙ともに様々な観点からの論説が始まることでしょう。個人的にはじっくりと各紙の反応を見ていきたいと思います。ちなみにこれまでの僕の印象としては,毎日新聞がしっかりした記事を出しているなあと。今日の現時点での論説も毎日新聞だけが中身の濃い内容になっています(後述)。アメリカべったりのポチ保守筆頭の産経新聞とか読売新聞は,数ヶ月前から「早く輸入再開せんかい!」という社説を掲げてきていますから,今ごろどうやって弁解しようかと考えていることでしょう。じ・つ・に見物です。

 今日はさすがに各紙とも夕刊でデカデカと載せていましたから,とりわけ多面的な情報を列挙した毎日新聞の記事を紹介しましょう。

(Jun/25/05 MSN-Mainichi INTERACTIVEより引用開始)
【BSE感染牛:日本、米国の業界など反応】
 ◆消費者団体と外食業界、異なる声
 米国で24日、2頭目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認されたことで、国内の消費者団体から米国産牛肉の輸入再開について慎重な検討を求める声が上がる一方、外食業界は早期輸入再開を求めている。
 専門家で構成する食品安全委員会プリオン専門調査会は、輸入再開の是非を諮問され、「生後20カ月以下」の米国産牛の安全性を科学的に検証している。
 全国消費者団体連絡会の神田敏子事務局長は「米国の検査体制などは日本に比べて不完全なので、(2頭目は)予想通り。食品安全委は外圧に負けず、しっかりと審議してほしい」と述べた。
 一方、外食産業界は、「『生後20カ月以下』などの輸入条件は、感染牛が出ても安全なように設けたもの」と冷静に受け止める。必要な牛肉量を確保するため、「生後30カ月以下」への基準緩和を要求している牛丼チェーンの吉野家ディー・アンド・シーは、「まずは(20カ月以下で)輸入を再開することが大切」(企画室)と迅速な審議を求めた。

 ◆再開遅れれば圧力強化
 米国は2頭目のBSE感染牛が確認されても、早期輸入再開を迫る姿勢を変えていない。再開時期がずれ込めば、対日圧力が一段と強まるのは必至だ。
 米国最大の畜産団体、全米牛生産者牛肉協会は24日、「38万8000頭を検査して、感染牛は1頭だけ。米国牛は安全で、再開交渉に影響を与えるべきではない」との声明を発表し、農務省に強い態度で交渉に臨むよう促した。
 上下両院では3月、日本が早期再開に応じなければ、米国政府に経済制裁を求める決議案が提出された。夏の休会前の7月末にも採決する動きがある。日本政府は、輸入再開に関する食品安全委プリオン調査会の答申を7月末にも予定していたが、今回の感染牛確認で答申が遅れると、決議案が可決される事態にも発展しかねない。
(引用終了)

 吉野家・・・悲しいなあ。見苦しいなあ。かっこ悪いなあ。前半部分の「『生後20カ月以下』などの輸入条件は、感染牛が出ても安全なように設けたもの」という意見を載せたのは毎日新聞だけ。ホリエモン風に言えば「想定の範囲内」ってことですね。実にふざけていますね。
 アメリカの検査をすり抜けた牛がウエスタン・ブロット法で再検査するとクロだったってことは,彼ら得意の「科学的」検証によれば,これまでもクロなのに見逃されていた牛がたくさんいるかもしれないという仮説に対する答えが現状ではないということになります。ん?ちょっと日本語難しいな。要するに,「イギリスとか日本がやっている検査をしたらBSEだったよ」という事実が出ているのに,「じゃあ今までのアメリカ流の検査って信用ないじゃん!」という声に全く反論できていないわけです。ジョハンズのおっちゃんの声明のどこを探してもその問いに対する答えがない。というよりも問いもないんだけど。

 これってものすごいことですよ。でもジョハンズ君はしれっとしてこんなことを言っている。

(Jun/25/05 Sankei Webより引用開始)
【米で2例目のBSE 再検査で「シロ」判定覆る】
(前半部省略)≪「交通事故より確率低い」≫
 ジョハンズ米農務長官は24日、米国で2例目となる牛海綿状脳症(BSE)の牛が確認されたことを明らかにした記者会見の席上で「食料品店に行く途中で交通事故に遭う確率の方が、店頭で買った牛肉で被害を受けるよりも高い」と発言、不穏当ともとれる言い回しで米国産牛肉の安全性を強調した。
 長官は、昨年6月から対象を拡大した検査でこれまでに38万8000頭を調べてきたが、「クロ」は今回のケースだけだったと重ねて指摘。「国民に対する脅威は微々たるものだ」と語った。
(引用終了)

 そうか。わかった。ジョハンズ君は・・・。おっとこれ以上書くと差別的表現を含むのでやめよう。ランチも牛を食べたって言ってたから(NHKニュース)その可能性は高いな。

 なにはともあれ,毎日新聞の鋭い論説は続きます。

(Jun/25/05 MSN-Mainichi INTERACTIVEより引用開始)
【BSE:米が確認検査方法改善を表明 不十分と日本専門家】
 米国で2頭目となるBSE牛が確認され、米国はこれまでの確認検査方法の改善を表明した。しかし、それでも米国の検査は対象頭数が少なく偏っており、BSEの広がりを正しく捕らえるのに不十分だと、日本の専門家は疑問視する。米国産牛肉の安全性を検討している食品安全委員会は、米国内でのBSEの広がり具合を参考に審議する方針で、検査体制は重要な問題になりそうだ。(略)
 ただ、米国で食肉処理される牛は年間約3500万頭で、検査されたのは1%に満たない。さらに検査対象は、ふらつきなどBSEが疑われる症状のある牛や死亡した牛の約6割に限られ、見かけ上、健康な牛は対象外だ。しかし、日本ではこれまで感染牛とされた20頭のうち、症状からBSEが疑われた牛は一頭もいなかった。
 米国は、BSE牛を効率よく発見する目的で、ヨーロッパでのBSE発見率に基づいて検査体制を決めたという。これに対し、食品安全委プリオン専門調査会の吉川泰弘座長は「ヨーロッパの牛は多量の異常プリオンを摂取し、食肉処理前に症状が出やすかったのだろう。日本や米国のように異常プリオンが比較的少ないと、症状が出ず処理される牛が増えると考えられる」と話し、症状のある牛の検査だけでは不十分だと指摘する。
 ヨーロッパのBSE専門家らで作った国際調査団は昨年2月、健康な牛も検査対象に含めるよう米国に勧告したが、米国は従わなかった。
 また、調査会の山内一也委員は「米国は2頭目の牛がいったんは陰性と判定された理由に、検査手順などに問題があった可能性を挙げている。検査技術に自信がないとしか思えない」と不信感を表している。
(引用終了)

 ここまで書かれると,アメリカに尻尾を振って日本の食品安全委に意見していた読売新聞なんかも,こう書かざるをえない。

(Jun/25/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【米機関のBSE検査精度に疑問符、日欧方式と食い違い】
 昨年11月に米農務省の機関が行った確認検査で一度「シロ」と判定されていた今回のBSE(牛海綿状脳症)感染牛については、英ウェーブリッジの検査機関で実施した同じ「免疫組織化学的検査(IHC)」で逆に陽性の判定が出ており、米国の検査精度自体に疑問を投げかけることとなった。
 農務省は24日の声明で、この食い違いについて、「感染牛の感染の程度が弱かったか、病原体のプリオンの分布に偏りがあった」と苦しい釈明をしている。だが、英機関が実施した同じ検査や別の方法では陽性の結果が出ていたことから見て、米国の検査には、試料採取の仕方などの分析方法に問題があった可能性もある。
 農務省は、これまでに行った現場での簡易検査で疑陽性の判定が出た3頭を、確認検査した。米国内で行われてきたIHCと違う「ウエスタンブロット法」でやり直し、今月10日、今回の牛の検体から陽性反応が出たと発表した。
 ところが農務省は、10日の時点では、「英機関での確認が終わっていない」として感染牛として扱わなかった。日本や欧州はすでにこれら2つを確認検査に導入しているが、1種類の方法で陽性と出れば、かりに他の方法でシロであっても、通常は感染牛と判断している。日本などで有効性が高く評価されているウエスタンブロット法で陽性と出た段階で「感染牛」としなかった点でも、農務省の対応は遅かったといえる。
 全頭検査を実施している日本では、これまでに450万頭以上を検査し、20頭の感染牛が確認されている。米国は昨年6月からの検査強化で約38万頭を調べ、疑陽性が3頭、感染牛はわずか1頭しか見つかっていない。「日本に比べ、米国内の感染牛の割合がこんなに低いのは不思議」と疑問を投げかける専門家は多い。
(引用終了)

 よくこんな状態で輸入早期再開を!なんて書けたね。読売も牛食べ過ぎてるんじゃないの?おっと・・・。
 最後にいじわるをしよう。証拠を載せておきます。

(May/27/05 読売新聞社説より引用開始)
【[米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」】
 米国の対応策は、日本が牛肉の輸入再開を認めるのに必要な条件をほぼ満たしている。食品安全委員会は迅速に結論を出すべきだ。
 農林水産省と厚生労働省が、米国産牛肉の安全性について、食品委に諮問した。米国産牛肉の輸入再開には、日本産と同程度に安全である、と食品委が判断することが必要だ。実際の審査を担当する食品委の専門家グループが、近く検討に入る。
 2003年末に、BSE(牛海綿状脳症)に感染した牛が米国で確認されたことをきっかけに、米国産牛肉は1年半近く、輸入が禁止されている。
 米国は、感染牛がカナダから購入されたものであることなどを理由に、輸入再開を強く求めてきた。日本は、すべての牛についてBSE感染の有無を調べる全頭検査を米国が実施していない、として要求を拒んできた。
 食品委は今月初め、日本が続けてきた全頭検査を見直し、20か月齢以下の牛の検査を免除しても問題はない、と結論付けた。検査で確認された最も若い感染牛が、21か月齢だったためだ。
 この結論を出すまで、半年以上の時間がかかった。当初は2、3か月で終了すると見られていた。だが、専門家グループが3週間に1回程度しか会議を開かなかったうえ、一部の委員が過剰に資料提出を求めたことなどで、手間取った。
 いたずらに時間を費やす事態を繰り返してはなるまい。専門家グループは、場合によっては集中審議を開くなど精力的に議論し、早期決着を目指すべきだ。
 日本の検査システムの変更で、輸入再開のハードルは大きく下がる。
 検査なしでも構わないとする20か月齢以下の牛を確認する手法については、肉質による判定で十分可能、との認識で日米当局が一致している。
 米国は、日本に輸出する牛肉から、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位を日本同様、すべて除去することを約束した。
 専門家グループの検討課題は、政府間協議などで事実上、決着済みだ。
 家畜に関する国際基準を決める国際獣疫事務局(OIE)は、骨を取り除いた牛肉について、無条件で輸出入を認めることを、週内に決める見通しだ。
 OIEの決定は、加盟国に対する拘束力はないが、世界貿易機関(WTO)での紛争処理の判断基準になりうる。日本が牛肉の輸入許可に当たって月齢を条件とすること自体が、提訴された場合、問題になる可能性もあるということだ。
 日本の関係者は、こうした動きも考慮に入れて政策判断をする必要がある。
(引用終了)

 さっき,「最後に」なんて書いたけど大事なことを思い出しました。あわれな台湾についての記事です。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが,日本を尻目にアメリカに尻尾を振って輸入再開した国(僕は台湾は国だと思っています)です。

(Jun/25/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【台湾、米国産牛肉の輸入を再禁止】
 米農務省が2頭目となるBSE(牛海綿状脳症)感染牛を確認したのを受け、台湾当局は25日、いったん解禁した米国産牛肉の輸入を同日から当面、禁止する緊急措置を発表した。
 台湾当局は2003年12月に輸入を禁止したが、2005年4月16日、生後30か月以下で、脳や脊髄(せきずい)などの危険部位が除去された牛肉の輸入を再開していた。
 台湾・行政院(内閣に相当)は、4月以降に輸入した米国産牛肉は「専門的な検査を経ており、安全面での心配はいらない」と、冷静に対応するよう住民に呼びかけた。台湾は、世界第6位の米国産牛肉の消費市場。台湾の消費者団体などは、日本に先立ち輸入再開を決めた当局を批判していた。
 吉野家の現地法人・台湾吉野家は6月1日から、牛丼販売を約1年3か月ぶりに再開しており、「販売は続ける予定」としつつも、「今後の情勢を見て判断していく」と述べている。
(引用終了)

 ま,ポチとはいえ,普通の国の対処ですわな。日本も台湾という前例があるんだからしっかりと拒否していきましょう。記事の最後は笑いますね。また吉野家かよ・・・。  
Posted by p-5796189 at 22:32Comments(94)TrackBack(0)

2005年06月23日

BSEニューズの続報

 まずは昨日のBSE問題の続報の続報(要するに寝て起きたら他にも違った情報があったということ)。

(Jun/23/05 NIKKEI NETより引用開始)
【オーストリアでBSE感染牛、EU検査の緩和論議に影響も】
 オーストリアのラオホカラト厚生相は21日、約4年ぶり2例目のBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されたことを発表した。人体への影響はないとしているが、欧州連合(EU)の欧州委員会がBSEの検査体制を緩和する方針を表明したばかりで、論議に影響を与えそうだ。
 感染牛の確認は2001年以来。年齢は11歳でドイツ国境に近い西部の小村、クラインワルサータールで育成されていた。同村の他の牛6頭はすべて処分された。オーストリアは牛の生育・流通の履歴管理を徹底しており、「消費者への影響はない」(プレル農林・環境相)という。
(引用終了)

 眠気がふっとびました。オーストラリア!?いやいや目を覚ましてじっくり読めばオーストリアでした。朝から驚かせてくれますね。続いて・・・

(Jun/22/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【米のBSE疑い牛クロなら、日欧の検査法の導入検討】
 米国内で新たにBSE(牛海綿状脳症)感染が疑われる牛が見つかった問題で、米農務省は21日、この牛のBSE感染が確定した場合、日欧で既に導入している高精度のBSE検査法「ウエスタンブロット法」を、米国でも導入することを検討していることを明らかにした。
 訪米中の衆院農林水産委員会の議員団に語った。
 BSE感染が疑われている牛は、いったんは米国が通常採用している検査法で陰性とされた。だが、より精度が高いとされるウエスタンブロット法で再検査したところ陽性となり、現在、最終的な確認検査に入っている。米食肉業界は、米政府がウエスタンブロット法を全面採用することに強く反対している。
(引用終了)

 やっと,アメリカも世界の常識がわかってきたようですね。・・・待てよ。ひょっとしたら「BSEなわけないんだよ!」という確証を得て,わざと芝居をうっているのかも。クロでなければウエスタンブロット法は必要ないという結論も出せますから,食肉業界にも顔が立つ。あらゆる力を使ってシロにしてしまうかもしれません。・・・なんてね。疑いすぎか。でも,日本の調査団は一方でこういうコメントを出していることに注意する必要があります。

(Jun/23/05 共同通信より引用開始)
【米の姿勢は「どう喝的」 衆院BSE調査団】
 米国の牛海綿状脳症(BSE)対策を視察するため訪米中の衆院農林水産委員会の調査団(団長・山岡賢次委員長)は21日、米農務省のペン次官らと会談した。会談後に会見した山岡団長らは「(米側の姿勢は)どう喝的だった」と早期輸入再開を迫る米国への不快感を口々に表明した。
 調査団によると、米側は議会などの厳しい空気を背景に「米国は忍耐の限界に近づいている」などと強調、日本の対応を「政治的な駆け引き」と非難した。
 これに対し調査団は、BSE検査などに関する米国からの資料提供が少なすぎるなどと応酬。米国産牛肉の安全性を日本の消費者が疑問視しているとの世論調査結果も示し、激しいやりとりになったという。
(引用終了)

 日本の対応が「政治的な駆け引き」?笑うところですよね?中国と同じぐらいレベルの低い主張だね。日本では国民へのアンケートは何度もやっているので,調査団は国民の声を正直に伝えただけですよ。駆け引きなんてものはない。アメリカとは違って日本は主権者である国民の声を大事にしているんです(少なくともこの問題は。郵政とか靖国は別ね)。

 日本政府の対応も,中国に対するのと同じで良いでしょう。安倍代議士に経済制裁でも発動してもらいましょう。もちろん,アメリカの食肉業界向けにね。  
Posted by p-5796189 at 23:20Comments(0)TrackBack(0)

2005年06月22日

BSE問題の続報をまとめてご紹介します

 連日のコメントに感謝しつつ,今日は米国産牛肉BSE関係のその後のニューズをまとめてご紹介します。さすがに新たにアメリカでBSEの疑いが出てきたのでアメリカも自粛するのかなあと思っていたのですが,ところがどっこい,今も強気の姿勢は崩していません。それにしても,この話題についてはもっともっとテレビとか新聞で大きくとりあげられるべきだと思うんですけどね。

(Jun/14/05 NIKKEI NETより引用開始)
【BSE疑いの牛、飼料規制前に誕生・米農務省】
 米農務省スポークスマンは13日、米国でBSE(牛海綿状脳症)感染の疑いのある牛が見つかったことに関連し、この牛がBSEを防ぐための飼料規制が導入される1997年以前に生まれたことを明らかにした。同時に最終的な検査結果の確定には2週間ほどかかるとの見通しを示した。
 BSEの疑いがある牛は処分された時に生後10―15年だったとみられ、仮にBSEが確定しても97年の飼料規制導入前に感染していた可能性が高いという。
 農務省は規制導入で米国内のBSEリスクが大幅に減ったと主張。2003年12月に初のBSEが見つかった後も「生後30カ月以下の若い牛は安全」という立場を堅持している。今回、新たなBSEが確認されても、生後20カ月以下の牛の肉について輸入再開を検討している日本の食品安全委員会の審議とは無関係だというのが農務省の見解だ。
(引用終了)

 BSE発生国から輸入してはいけないというのが国際ルールです。だからアメリカは今でも日本から牛肉の輸入を再開していません。現時点でこそ「疑い」の牛ではありますが,クロなら年齢云々にかかわらず輸入再開なんてとんでもないことです。アメリカが強弁に主張してきた「国際ルール」なんですから従いましょう。

(Jun/21/05 YOMIURI ON-LINEより引用開始)
【BSE確定しても牛肉交渉に影響せず…米農務長官】
 マイク・ジョハンズ米農務長官は20日、米国内でBSE(牛海綿状脳症)に感染した疑いがある牛が新たに見つかった問題について、「米国は必要な安全対策を講じており、牛肉の安全性については全く心配していない」と述べ、仮にこの牛のBSE感染が確定しても、日本政府との牛肉輸入再開交渉には影響しないとの見方を強調した。
 ワシントン郊外で記者団に語った。
(引用終了)

(Jun/21/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米畜産団体、生後30カ月以下の牛肉も輸入解禁求める】
 米国のBSE(牛海綿状脳症)対策の実情を調べるため訪米中の衆院調査団(団長・山岡賢次議員=民主党)は20日、米畜産業団体などと意見交換した。全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は日本政府が検討中の生後20カ月以下の牛の肉の輸入再開だけでは不十分で「生後30カ月以下の牛に拡大して解禁してほしい」と求めた。
 こうした米生産者の要求に対し、衆院調査団は「日本からみると米側の対策はまだまだ安全といえる水準ではない」(二田孝治議員=自民党)などと反論。月齢判別や脳や脊髄(せきずい)など特定危険部位(SRM)の除去などを巡り、議論は平行線をたどった。
 超党派の議員団は21日にはペン米農務次官、ピーターソン下院議員(ミネソタ州選出)らと会談。その後、米国内の食肉処理場でBSE対策の実情を視察する。
(引用終了)

 日本も一議員を派遣するのではなくて農務大臣自らが視察してダメだしするぐらいでないといけないでしょう。中国とか韓国には強く出るくせにアメリカには言えないというのは見ていて不愉快です。でもアメリカの消費者団体の中には理屈が通じる人たちもいるようです(理屈が通じないのは一部の人間だけなのでしょうけど)。

(Jun/22/05 NIKKEI NETより引用開始)
【20カ月以上の牛、BSEの全頭検査を・米有力消費者団体】
 米有力消費者団体コンシューマーズ・ユニオン(CU)は21日、米国内で飼育された生後20カ月超の牛についてBSE(牛海綿状脳症)の全頭検査を義務づけるようジョハンズ米農務長官に要請したと発表した。
 米国内で最近2頭目のBSEの疑い牛が見つかったのを受け、CUは「米政府は消費者に最高度の安全性を保障すべきだ」と主張。20カ月超の牛の全頭検査とともに、BSEの確認検査法として日本などが導入しているウエスタンブロット法の採用も求めた。
(引用終了)

 このCUという団体がどれぐらいの影響力をもっているのかは知りませんが,先日紹介しました中村靖彦『牛肉と政治 不安の構図』文春新書によれば,これまでのアメリカの牛肉行政は圧力団体と大企業中心に進められてきており,消費者無視は当たり前でしたから(日本の米行政と同じ)あまり効果はないのかもしれません。ただし,このような動きがどんどん続けば変わってくる可能性もあるでしょう。BSEが確定すればなおさらです。

 BSEの検査結果が判明するにはもうあと1週間程度必要なようですから,それまでは大きな情報なり動きはでてこないでしょう。水面下ではいろんな思惑が交錯しているのでしょうけど。結果がクロでしたら各メディアも大きく伝えるのでしょうから,このブログでとりわけ採り上げることも必要なくなるかもしれません。というのは,原則として(個人的な縛りとして)このブログでは,大メディアがあまり大きく伝えない,しかしスルーはできないという話題を選んでニューズなり自分の考えなり対案なりを紹介することにしているからです。ま,原則なんて言ってもキツイ縛りではありませんけどね。皆が思うようなことを普通に書いたところで面白くないわけで。

 スルーできない話題という意味では,今日こんなニューズがありました。

(Jun/22/05 NIKKEI NETより引用開始)
【ケリー前国務次官補「北朝鮮の核、日米が買い取りも」】
 米国のケリー前国務次官補は21日、民主党の岡田克也代表と国会内で会談し、北朝鮮が製造したと主張するプルトニウム型の核兵器について「日米両国が買い取るという形での放棄には可能性がある」と述べた。北朝鮮に核計画の放棄を促すための現実的な方策が必要との考えを示したものとみられる。
 同時に「あくまで6カ国協議を通じた平和的解決が必要だ。軍事オプションは認めることができない」と強調。核問題の国連安保理への付託に関しては「中国、ロシアが日米と意見が違うのに、国連に持ち込んでも解決は難しい」と指摘した。ケリー氏は昨年6月の6カ国協議で米側の代表を務めた。
(引用終了)

 これをどう捉えるべきでしょうか。この前後の話題が何だったのかはわからないにしても,完全に「非核三原則」なんて無視されているなあという思いは皆もつでしょうし,どうしてアメリカの議員(元?)に日本が買い取るなんて言わせる権利があるのかと思いますよね。民主党がこれに同調しておかしな動きをしないかどうかも心配です。こういう「しれっ」としたニューズが簡単に流れますから,見逃さないようにしていきたいですね。  
Posted by p-5796189 at 22:57Comments(0)TrackBack(0)

2005年06月11日

アメリカでBSE発生!・・・の疑い 輸入早期再開していたら今ごろは日本でもパニックやったぞ

 今日は何といってもこのニューズでしょう。アメリカでBSE発生(の疑い)です。

(Jun/11/05 毎日新聞より引用開始)
【米BSE:確認法の不十分さ露呈 他にいないのかとの声も】
 米国で牛海綿状脳症(BSE)の疑いが濃い牛が見つかった。従来とは別の確認検査を実施した結果で、これまでの確認法の不十分さが露呈した。英国で最終確認中だが、日本の専門家からは「見逃されたBSE牛が他にいないか確認が必要だ」との声が出ている。
 日本は、BSEの全頭検査(1次検査)で「陽性」とされた牛が出ると、3種類の確認検査をする。「免疫組織化学検査」「ウエスタンブロット法」「病理組織検査」だ。しかし、米国は免疫組織化学検査だけでの確認を原則としてきた。
 米農務省によると、昨年6月以降、BSEの広がりを調べるため、37万5000頭余の牛に日本と同じ1次検査をした。陽性だった3頭に免疫組織化学検査をしたが、いずれも陰性で、BSEではないと判定した。
 しかし今月、同省内の監察機関が3頭をウエスタンブロット法でも検査するよう勧告した。その結果、1頭が陽性となった。この牛は昨年11月の1次検査で強い陽性反応が出ていた。
 食品安全委員会プリオン専門調査会の山内一也委員は「私も出席した昨年の日米作業部会で、日本側は、免疫組織化学検査だけでは不十分だと主張した。だが米側は受け入れなかった」と話している。山内委員によると、欧州では免疫組織化学とウエスタンブロットの両方を確認検査に使うという。
(引用終了)

 ほれみたことか・・・と言ってやりたいけど我慢しましょう。ひょっとしたら陰性かもしれないし。でも一度は陽性反応が出たということは要注意です。
 さてRSSリーダーでひっかかってきたニューズの早さでは僕の設定では東京新聞が一番でした。ただしBSE問題は毎日新聞の論調が秀逸(他紙は全く読むに値しない)ですから,今日も毎日新聞の記事を引用しました。これはBSE問題を非常に詳しくワッチされているSpeak Easyさんのブログと同じ見解です。このサイトは素晴らしい。僕の貧弱な情報とは比べ物にならないぐらい充実しています。是非お立ち寄りください。

 アメリカ農務省は今後どうやって責めてくるでしょうか。明日紹介する(予定の)本には,アメリカの牛肉問題は日本にとっての米問題と同じだと考えれば理解しやすいということが書いてあります。つまりは族議員によるロビー活動がアメリカのあちこちで行われていて,日本の米が農薬づけになっているのと同様に,アメリカの牛肉はろくすっぽ検査もされないまま政治力で野ざらしになっているということでしょう。真実を暴こうとすると殺されたり狙われたりして問題の根が深いという点も似ているようです。

 だいたい年間でたったの0.5%しか検査されていないアメリカの牛で今回BSEが見つかっているわけですから,実際はものすごい数の感染が疑われるのではないでしょうか。日本は全頭検査をしているのでこの前からもちょくちょくBSE牛が発見されていますから,不安ではあるものの口に入る牛肉は検査済みなわけですからいくぶんかは安心が生まれるというものです。これに対してアメリカは99.5%の牛肉が未検査ですが,僕なら怖くて食べれません。アメリカ人でもセレブな人たちは牛肉なんて危ないから食べないのが普通です(エリック・シュローサー『ファーストフードと狂牛病』草思社)。結局は社会的経済的な弱者だけが割を食う話ですよ,これは。

 産経新聞とか読売新聞みたいにアメリカのご機嫌取りばっかりしている新聞社の言うことを聞いていたら,こういう危ない肉を簡単に日本輸入を許してしまいかねません。そうなってしまえば安月給で働かされて住宅ローンと教育ローンの双子の赤字に苦しんで昼ご飯は吉野家でBSEに感染して・・・。こんなみじめな生活を日本人の一般的なサラリーマンに強いることは「国益」的にはありえない選択のはずなんですがね。しょせんは保守派の言う「国益」なんて一部の偉いさんが助かれば良いっていうだけのものなのでしょう。貧乏人は牛肉を食えってか。未来ある若者達を「国のために死んでこい」と知覧から特攻させて殺したあげくに戦後は恥知らずにも大臣や総理大臣にまでなったA級戦犯が眠る靖国を一生拝んでいればいいさ。

 最後に一言。産経新聞なんかは社説で「科学的に安全なんだから早く輸入再開せよ」みたいなことを数週間前に書いていましたから,明日の社説はきっちり謝罪文を載せておくように。  
Posted by p-5796189 at 23:34Comments(0)TrackBack(0)

2005年04月10日

牛肉問題の解決にはもっと深い考察が必要ではないでしょうか

「米国産牛肉」で未来検索したらいろんなページにヒットしました。その中で見つけたサイトに対して思うところを書きましたのでトラックバックしておきます(コメントのつもりで書いたら字数オーバーでした・・・)。
トラックバック先:les DiVERSiTE-nnes MBA雑学memo
 
 ちょっと議論させてください。
 私の立場は輸入再開反対です。アメリカをいらだたせても日本にはメリットがないという点は私も認識していますが,エントリのような,家計やしがないサラリーマンにとってメリットが大きいので国産牛肉よりも安い肉を早く輸入再開すべきだという意見には賛同できません。
 純粋に,安くて栄養価の高い食品を探すのであれば大豆系タンパクなどでいいわけで,肉にこだわる必要はないと思います。畑の牛肉なんて呼ばれているぐらいですから。育ち盛りのお子さんに氏素性のはっきりしない(トレーサビリティーが未整備のという意味です)牛肉を食べさせるのも問題ないと言い切れますか?アメリカの牛は今でも肉骨粉を食べているという情報もありますよ。
 
 【アメリカの牛は今も肉骨粉を食べている】[週刊現代10月2日号]
 http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/040923/top_06_01.html
 (全文)http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/374.html
 
 週刊誌の記事なんて馬鹿馬鹿しいと思わないでください。大手新聞ではアメリカ批判はできませんから,多少の誇張はあるにしても週刊誌はあなどれません。『ファストフードが世界を食いつくす』の著者エリック・シュローサーの『ファストフードと狂牛病』をご覧になれば,アメリカの畜産業界は法律の目をくぐり抜けて肉骨粉を使い続けていることが書かれていますので,こちらも参考にしてください。

 それからアメリカによるWTO提訴を危惧されていますが,言うことを聞かない日本はこうやって脅せばいいという前例をどんどん作ってしまうことには僕は精いっぱい抵抗します。MBAを取得された優秀な方であれば,こういう理屈にもならない筋違いなやり方をまずは批判していただきたいと思います。私のような無資格者が言っても相手にされませんから。台湾は輸入再開しましたが他国は日本と同様輸入禁止措置を続けていますし,そもそもアメリカこそ日本の牛肉輸入を禁止したままじゃないですか。それで一方的な対日経済制裁措置をとってもいいという判断基準と論理性は,学のない私には説明がつきません。EUとくにフランスと連携すればWTO提訴の動きなんて封じれると私は踏んでいます。
 
 お時間があれば福岡伸一『もう牛を食べても安心か』文春新書をご覧になってください。私は今得られるBSE関連のニューズを勘案すれば,今のような日本行政の進め方がベストだと思っています。結果論ですが,今日このようなニューズが入ってきました。
 
【「米農務省はBSE秘匿の疑い」元食肉検査官が告発】
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050409AT2M0900609042005.html

 ゆっくり審議して時間稼ぎをした結果,こんな重要なニューズが入ってきたとも言えます。もちろん結果論ですし,このニューズを見たからこういうコメントを出しているわけではないということもご理解いただきたいと思います。かわいそうなのは台湾です。中国のおかしな軍事行動のせいでアメリカを頼るしかない台湾がとりえた行動が牛肉輸入解禁だと私は読んでいますが,台湾世論がどう動きますか。12日のカナダでの証言には注目しています。
 
 私は日本はアメリカのご機嫌とりを無条件でやるべきではないと思っています。面従腹背,換骨奪胎,ポイズンピル,クラウンジュエル・・・いろんな対策をとったあとでヨイショしておけばいい。アメリカも国益を守るために無茶を言ってきます。それが外交であり通商ですから,それは別に驚くことではありません。でも冷静に天秤にかければ私はこの牛肉問題はまだ引っ張ったほうが日本にとってフェイバーだと判断しました。長文失礼いたしました。  
Posted by p-5796189 at 00:58Comments(0)TrackBack(0)

2005年04月09日

カナダからの援護射撃 君はこれでもアメリカ産牛肉が食べたいか?

 休日だというのに刺激的なニューズが続きますね。今日もいくつか引用してコメントしておきます。牛肉問題が新たな動きを見せそうなので話題解禁ね。

(Apr/09/05 NIKKEI NETより引用開始)
【「米農務省はBSE秘匿の疑い」元食肉検査官が告発】
 米農務省が米国内で新たなBSE(牛海綿状脳症)の牛を見つけながら秘匿してきた疑いがあると、同省の元食肉検査官がカナダ紙に告発した。農務省は8日、日本経済新聞に告発を全面否定したが、同検査官は12日にカナダ下院農業委員会の公聴会で証言を予定。日本の米国産牛肉輸入再開問題にも波紋が広がる恐れがある。
 7日付の加エドモンド・ジャーナル紙が農務省の元食肉検査官で獣医師のクリス・シュワルツ博士の告発を掲載した。
 同博士は、米国内で新たなBSEの牛が見つかっていながら農務省は公表していないと複数の元同僚から打ち明けられたと明らかにした。これらの同僚は定年退職が間近なため、告発で年金を失いかねないとして、博士は詳細に立ち入るのを控えている。また米加両国の肉牛の生産・飼育システムがほぼ共通だと指摘。カナダで一昨年から4頭のBSEの牛が見つかったのなら、米国でもっと多くのBSEが見つかるのが自然だと話した。
(引用終了)
 
 完全なガセネタを日経が流すことは考えられませんから(大事なことを流さないのはよくありますが)ウラがとれた時点で各紙が追従して騒ぎは広がっていくのではないかと見ています。12日の証言がどの程度のインパクトで各紙が報じるか見物ですね。かわいそうなのは台湾。
 
(Apr/09/05 Mainichi-MSNより引用開始)
【台湾、16日から輸入再開】
 台湾の中央通信によると、ジョハンズ米農務長官は8日、台湾が米国産牛肉の輸入を今月16日から再開すると発表した。台湾が生後30カ月以下の牛の骨、内臓、脳、脊髄(せきずい)などの部位を除いた輸入に同意した。
 台湾は米国にとって6番目の海外の牛肉市場だったが、米国でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認された03年12月から輸入を禁止していた。台湾の今回の輸入再開について、ジョハンズ長官は「人体への健康と動物検疫規定の国際基準に完全に沿ったものだ」とコメントしている。
(引用終了) 
 
 台湾の世論はどっちなんでしょう。まさか,アメリカが危険部位を完全に分離する技術すらもちあわせていないなんてことは政府も知っているんでしょうけど,やっぱり圧力に屈して国民の健康を害する方を選択したことには間違いない。李登輝氏だったらつっぱねてたかなとも思いますが,でも中国が異常な動きを見せている以上,アメリカの力を当てにしないわけにはいかず,決断したのかもしれません。ま,よその国が何を決めようとどうでもいい話ですが,後は韓国が輸入再開して日本の外堀が埋められていくという事態は先延ばしされそうですね。それにしてもアメリカの畜産業界もロビー活動なんてしている暇があったら,とっとと技術磨いてトレーサビリティー整備しておけよって言いたいね。ジャイアニズムはいつまでも続かないぞとこっそり警告しておく。
 
 ここまで騒ぎが大きくなれば放っておいてもだいたいの日本人はアメリカ産牛肉を食べたいとは思わないんじゃないの?いつもはヘイコラしてアメリカ様〜って言っている人たちが頑強に拒んでいる理由は族議員的な反発だけではないと思います。アメリカがかなりのことを隠している,そのことを暴露したいけど報復が怖くて言えない,でも退くわけにはいかない・・・そんな気持ちで時間稼ぎしているあいだに,カナダから援護射撃が入ったと見るべきなのかな。とにかく,僕のこれまでの提案はこのニューズでち二段構えがとれるようになりました。
 
 これまで僕は,アメリカと揉めずにそれでいて日本人の健康を守るために,財政出動→買い付け→空港で焼却処分→慰霊碑建立(牛の供養と今後の見せしめのため)を主張していましたが,前段階で揺さぶりをかけることができるようになりました。カナダの噂話がウソであるなら立証してみろと迫るのが第一。もし立証できれば財政出動以下同じ。立証できなければ輸入しなければいけない理由はありませんから今のままのらりくらりでOK。
 
 後は日本のマスコミがしっかりしてくれたらなあ。産経新聞も中国とか韓国からの干渉には敏感に反対を書きますが(書いて当然ですが)アメリカ様からの干渉には露骨なほど及び腰ですからねえ。それが「正論」路線じゃというのならそれでもかまいませんが,さっさとホリエモンに買収されてエンタメ路線にくら替えしたほうがよっぽど日本人のためになりますよ。そんなプライドが許さないのなら郵政民営化のヨイショなんて書いていないで牛肉問題をもっと深くまでリサーチしてくださいよ。  
Posted by p-5796189 at 23:34Comments(0)TrackBack(0)