2005年12月03日

投資する理由について雑感 〜お金の遣い方〜

 なかなか後継ブログでよさそうなのが見つかりません(涙)。seesaaでもう一つ作るのがラクかなあ。ま,そんなことはもうちょっと時間をかけるとして,友人のブログで投資ブームのエントリがアップされたので便乗しよう。氏の「儲けたお金をどうするか?」についての個人的な意見は最後に書きます。まずは関連ニューズをご紹介。

(Nov/25/05 MSN-Mainichi INTERACTIVEより引用開始)
【日本株:「資産運用分野への需要強い」 英投資銀】
 東京株式市場が,日経平均株価の1万5000円台回復も視野に入るなど活況を呈している(引用者注:日付に注意)。株価上昇を支えている外国人投資家の「日本買い」の背景を,英投資銀行バークレイズ・キャピタル副会長で元駐日英国大使のデービッド・ライト氏に聞いた。
 −−日本経済の現状をどう見ますか。
 ◆バークレイズグループは規模拡大を考えており,今後,最も強化する国は中国とインド,そして「失われた10年」から抜け出した日本だ。成長率は低いが,成熟した経済で企業経営の効率化が不可欠なので,海外の投資銀行や資産運用分野への需要は強い。一方,中国やインドの脅威論を耳にするが,我々は日本の大手商社とインド進出で協力するなどむしろビジネスチャンスと考えている。
 −−日本市場での戦略は?
 ◆大手行がほぼ再編を終えた中,今後再編に備える地銀に注目している。当社は直接,合併を支援するようなことはしないが,一般企業を含めて効率的な資本調達や資産と負債のコントロールでいかに利益を上げるかという観点から助言していく。日本にはまだ本格的な投資銀行がないこともあり,日本企業は外資にオープンになってきている。(略)
(引用終了)

 円安が進んでますからねえ。外人にとっては日本への投資がやりやすくなってきているところでしょう。ま,このニューズは軽いジャブみたいなもの。注目するとしたら元駐日英国大使で現投資銀行の副会長から話を聞いているというところぐらい。で,実際に動き出したファンドもたくさんあって,例えば旧DDIポケット(H”)を買収した,パパブッシュの会社カーライル・グループもその一つ。

(Dec/02/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米カーライル共同創業者,日本での買収加速を表明】
 米買収ファンド大手カーライル・グループの共同創業者デビッド・ルーベンスタイン氏が1日,ニューヨーク市内で講演し,「日本は最も魅力的な市場」とし,買収を加速させる考えを明らかにした。具体的には「大企業の非中核事業の買収など事業再編に照準を定める」という。(略)
(引用終了)

 ここのところ目立つWILLCOM(カーライルグループですよ)のPHS事業への積極的な展開には個人的に喝采を送っているところです。PHSに悪いイメージを植え付ける日本のケータイ業界へのお灸据えにもなっているので,この分野では今後も喝采を送り続けることでしょう(ケータイの有害電磁波の怖さは数年後に社会問題になるんじゃないかな)。ま,これも一例であってたいした情報ではない。では僕たち個人が注目しておくべきニューズはどういうものでしょうか。

(Dec/02/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【株活況 「主役」は一変 1万5000円台 製造業に人気シフト 買い手の中心,海外勢に】
 1日の東京株式市場は,日経平均株価(225種)の終値が景気回復を背景に約5年ぶりに1万5000円台を回復した一方,欧米の外国為替市場では,1ドル=120円まで円安・ドル高が進んだ。株価回復は,日本経済の“復活”を強く印象づける反面,円安進行で,日本の輸出攻勢がさらに強まることに対しては,米産業界からの反発も懸念される。(略)
 バブル期に比べ,市場の中心を占める企業の顔ぶれは大きく変わった。1989年末の時価総額ランキングでは,上位5位までを大手銀行が独占していたが,現在は,1位のトヨタ自動車をはじめ,ホンダ,キヤノン,松下電器産業などの製造業が上位に並ぶ(11月30日現在)。
 買い手も,主役が交代した。バブル期は,国内企業や金融機関など機関投資家が株式に積極的に投資した。1989年12月の国内市場に占める売買総額の比率は,56・1%と,市場全体の過半を占めていた。
 しかし,バブル崩壊後の株価急落で,巨額の含み損を抱えた経験を教訓に,日本株投資には一定水準で歯止めをかけるようになり,現在では,その比率は10%台まで低下している。
 国内機関投資家に代わって台頭したのが,欧米の年金基金など海外勢だ。海外投資家の比率は,バブル時の10%前後から40%台まで急拡大した。
 国内の個人投資家も,インターネット取引を中心に株式投資を活発化させており,日経平均を1万5000円台に押し上げる原動力となった。
(引用終了)

 相場の方向性を決定づけるのは,昔は機関投資家で今は海外勢などの大きなお金です。記事の最後に個人投資家の話があるけど,要するにマスコミとか雑誌が煽るから,もともと個人のちっぽけなお金が同じ方向に向いて走り出すことで大きな力になりうるわけ。日経225の先物などと違って現物株は「買い」しかできないから,当然値上がりに期待して投資されるので,どこか大きなお金が上昇相場を作ってくれたあとに便乗して個人から大量資金が動き出すことになります。逆に下落相場では空売りしにくい個人投資家は撤退する人の方が多いでしょう。

 何が言いたいかと言うと,上昇相場では参加するタイミングが後になればなるほどババをつかむ可能性が高くなるということ。買うということは売ってくれる人がいるからであって,売る人は儲かったから売るのです(上昇トレンドがはっきりしている今の状況では損切りの売りは出にくい)。9.11総選挙に向けて外人中心に日本株が大きく買われたことを思い出すと,売りに回るのは外人が主体で,買いに回るのは後発の年金基金などや個人投資家です。買う人はさらに上がると思うから買い,売る人はここで止まるだろうと思うから売ります。株価を上げるためにいっぱい買っていただいた外人さん達が「ここで止まるだろう」と判断し始めるとどうなるか,懸命な皆さんならおわかりになるでしょう。彼らの情報網は僕らが思っている以上に微に入り細に渡っているので,動きは早いもんです。ブレーキ踏んでからでもしばらくは勢いで上昇するでしょうが,とたんに下がっていくことになります。下がれば早いですよ。トレンドが逆に変わったときの損切りの売りが手伝った急落が起こります。それでも押し目だと勘違いして買ってくれる人がいるので売れるわけですが,下落幅が大きいとその効果もあてにできなくなります(ちょっと専門的な記述かな。わからなくっても大丈夫です)。

 欲におぼれた人たちほど損切りできないし負けを認めたくないから傷口が広がることになります。ちょうど友人がエントリで書いていたように,儲けたお金をどうしたいかという根本的な理念がないまま投資を続けるとえてしてこういう結果に終わるでしょう。ぶっちゃけて言えば株の儲けなんて「不労所得」に過ぎないのですから,身の程しらずな欲は持たない方がいい。ほどほどが肝心ですね。言い方を変えれば「引き際が肝心」ということ。
 引き際はどこにあるのかを知るには,毎週発表になる,外人の株買越し額のニューズはチェックしておくべきだと思います(だいたい大手の新聞なら翌日には報道してくれます)。

 僕はどうか?為替で儲けたお金は何のために使うのか?
 まずは借金返済。なんと夢のない現実的な話でしょう!とはいえまだ28歳の独身なのにすでに住宅ローンがン千万円ありますし,元利均等返済なので月々の支払いも大変なんですよ。金利は3年固定で再来年の1月に改定になりますから,その時期までにまとまった資金で元金を繰上返済したいのです。なんにせよ元金を減らしておくことは借金返済の王道ですし,再来年の1月に長期金利がどうなっているかなんて悲観的にしか見れませんから,金利が上がるのならせめて元金は減らしておきたいのです。

 再来年1月と言わずに今返したらいいんじゃないの?という意見もあるでしょうけど,これは銀行側にとってみれば都合が悪い。3年間で銀行が得る固定金利のスワップコストを債務者(僕のこと)に転嫁しないと逆ザヤになりかねないからです(ン千万なんてちっぽけな単位でスワップがやりとりされているわけではありませんが,理論上はこのように考えます)。コストがどれぐらいになるかは銀行に尋ねてみないと分かりませんが,もと銀行員の経験上,普通よりも大目にとるのが普通です。ですから余計なコストを払わずに済むためにも,次回の金利改定時に返済するのが合理的なのです。

 次に,僕は儲けたお金はまず自分のための「時間買い」に使います。「時間」はお金で買えます。もちろん1日24時間が増えるという発想じゃなくて,お金を支払うことで10日かかっていた仕事が5日で済むようになるのなら,5日分が買えたと考えるのです。1分1秒で考えてもいいでしょう。時間は,特に若い間は非常に貴重なものですから,「時間買い」のためにお金を遣うのは決して間違ったことだとは思いません。遅いパソコンで仕事するよりも速いパソコンの方がいいし,時にはバスよりもタクシーを使った方が時間短縮になったりもします。何か選択を迫られたときに時間短縮のために惜しみなく遣えるお金があった方がいいなと思います。

 それからもちろん生活費。これから増税と社会保険料負担増が襲いかかります。結婚を控えた僕にとって(いつだ(笑)?)その後に子供ができちゃったりなんかすると養育費・教育費がさらにかかりますね。こういうことを考えるから結婚したくなくなるわけですが(嘲)。
 ま,お寺の収入はこの先不透明ですし檀家さんの負担を増やすわけにもいかないので,しっかりと利益を生んでくれる投資は必要なんです。だからその元手を貯めるための投資をしているのだということも僕の場合は言えるわけです。

 ちなみに,円貨で持っていてもインフレで価値がどんどん減っていくでしょうから,外貨の投資をしているのです。デフレは始まったときは通貨価値が上がりますから(デフレの定義)円高になりましたが,スパイラルの状態がこう何年も続いていると今度は悪いデフレで通貨価値すらも下がってきます(他通貨と比べてという相対的な意味で)。今がちょうどその時ですね。9月以降の円安進行は外貨投資していた人にとっては非常に喜ばしいことでしたが,円しか持っていない人にとってみればまた保有する資産の価値が下がってしまったということです。

 あとの理由は寄付ですかね。浄土宗の僧侶(見習い)としての意見ですが,今僕がここに生きていられるのは阿弥陀如来の大慈悲のおかげですから,お寺に寄付します。ホワイトバンドなんていうエセ商品は買いませんよ(笑)。

 日本人は投資教育を受けないので,プロから見ればカモばっかりです。何度やられても学習しないのだから仕方がないでしょう。賢い投資家になって,自分の資産はしっかりと守っていきたいものです。  

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2005年11月22日

僕は株はやってませんよ。しつこいですが。

 僕の資産運用についてどうも誤解されている方が多いようなので,ここではっきりと言明しておこうと思います。間違った情報で僕の名誉が傷つけられる事態に及んでいるからです。

 まずは投資に関する僕の基本的な考え方から。
 僕の本業は坊主です。ですが,寺の財産をリスク商品で運用するなんてことはありえません。あくまで僕個人の資産のうち,「なくなってもかまわない」と思っている金額をリスク商品として運用するものです。当然ながら「なくなってはいけない」資産は安全運用にしています。また,当然ながらそういう資産はひっくるめて自己責任で運用しています。

 本業に集中できなくなるような投資は,はっきり言えば有害です。金融機関の職員なら本業が資産運用なので本気で情報収集や分析することが仕事になりますが,僕にとってはリスク資産での運用は趣味であり勉強でしかありません。金融機関の職員でないにしても相場師じゃあるまいし,ずうっと相場につきっきりなんて性に合いませんから,今流行のデイトレーダーでもありません。ここは絶対に誤解して欲しくない点です。

 それから,投資の対象について無茶苦茶誤解されているのですが,しつこくここでもあっちのブログ(→リンク)でも書いているとおり,「株」はやりません。グローバルソブリンなどの「投資信託」(ファンド)もやっていません。「FX」(外貨証拠金取引)しかやっていませんし,他のことをやる余裕がありません。
 株で儲けているなんていう噂がたって非常に不愉快です。まったくノータッチですから。

 なぜ流行の株式投資をやらないか?
 答えは単純「わからないから」。
 知らない商品を買えますか?チャートを見て上昇しているから(今後も上昇するだろう)っていう理由だけでその会社の株を買えますか?
 答えがYESの人は別にそれはそれでいいと思いますが,僕はそうは思わないので,株はやらないんです。知らない会社の成績なんて興味もないし勉強しようとも思わないので。楽しくなけりゃ趣味じゃないでしょ。

 もう一つの理由をあげるなら,「政府のプロパガンダの手伝いをしたくないから」。
 どういうことか説明しよう。小泉政権になって竹中大臣が構造改革とか小さな政府だとかのデフレ政策を強力に推進したので,株価は急落して日経225は7,000円台まで下落しました。それでも,彼らは日本人の「勧善懲悪・水戸黄門大岡越前選好」を利用したプロパガンダを展開して,テレビ・新聞などの主要メディアを通じて,政敵を悪者にしたてあげて自分たちを正義の味方だと信じ込ませることで,事態を誤魔化しながら天下を握ってきたわけです。電通という巨大広告会社に牛耳られた大手メディアはワイドショーと小泉礼賛しかできなくて,彼らの言動を信じるしかない「B層」有権者達によって,ついには国民の9割が本当のことを理解していない郵政民営化なんていう穴ぼこだらけの法案を通してしまった。350兆円もの資金を自由にできる権利がどうしても欲しい外人達は,援護射撃として,衆議院解散直後から小泉応援のための日本株買付けを開始し,ついには日経225は小泉就任時点の水準にまで戻ってきたのです(実際に民営化法案が否決されたときに株価は急落して,衆議院解散されてすぐに外人達が買っている事実を見れば,法案可決のための世論誘導を目的とした景気回復報道が必要だったことは間違いないでしょう)。株価回復=景気回復というロジックで,小泉・竹中の構造改革が成功しているという演出をする必要があったから,外人が大量に買って,それを新聞とか株雑誌があおって個人を引き込んで今の株高が演出されているのです。
 そういうプロパガンダに乗って儲けることがいけないことだとは当然思っていません。騙されていた方が幸せっていうこともありますし,事実,今まで株を買っていた人たちは儲けていることでしょうから。でもこれじゃあバブルのときと一緒じゃん。周りの人が儲け出したから自分も乗り遅れないようにしよう,簡単に儲けられるよっていうノリの本しか売れていないし,学校での投資教育が進んだわけでもないし。本当に自己責任っていう言葉の意味をかみしめて株に投資している人がどれぐらいいるのだろうと僕は心配なんです。ま,そうはいっても他人が自己責任だと思い込んでやることですから心配したところでどうしようもないですがね。

 へそまがりな僕はどう考えたか。この政府プロパガンダを利用してやれ。
 本当に景気が回復していたら,即刻,ゼロ金利なんていうバカな政策にピリオドを打たないといけません。政府はいまだにデフレが抜けたかどうかわからないという理由で日銀に圧力をかけ続けていますが,デフレが抜けていないのに景気が回復しているなんていうからウソがばれるんです。金利を上げたくないならそう言えばいいのに,本当のことを国民に知られたくないから,過去のゼロ金利解除のときの失敗をあげつらっていろんな理由を引っ張り出しては愚かな政策を続けようとしている。彼らはここまで借金が膨らむとは思っていなかったんでしょうねえ。本気で構造改革で景気が良くなると考えていたようですし。マクロ経済学をちょっとかじればウソだってこと,大学生でもわかりそうなもんでしょ。
 こりゃあ,ゼロ金利はしばらく続くな。福井総裁がどう考えているかは知らないけど,財務省とアメリカの意を酌んだ武藤副総裁が簡単に解除させるわけがない。となれば,これを利用して外貨との金利差(スワップ)をいただいてしまおう。ということでFXでスワップ中心の投資をやろうと思ったわけです。
※注:実際には今年の3月からFXを始めていますが,当初からスワップ中心の運用を考えていたわけではありません。小泉マジックのカラクリが透けてきた8月ごろから運用スタイルを変更しました。

 消費税率が上がる,サラリーマン増税が待ちかまえている,社会保険料は増額される,こんな状況で金利上げれますか?住宅ローンの支払いまで増えたら,まとまな家計でさえ破綻リスクに直面して,健全な消費活動だって望めなくなりますよ。
 そうは言っても,これまで以上に海外との金利差が開いてしまうとゼロ金利が解除される可能性も出てくるでしょう。先週末からユーロ金利を定めるECBの総裁が利上げについて言及していましたしね。

 株投資をしようと思わない理由はまだあります。FXに比べてメリットが小さいというものです。
 例えば,利益確定しないと複利効果がないとか,東京市場が開いている時間しか取引できないとか,「買い」しかできないとか。いろいろ僕なりに調べてみて「株は面白くない」という判断を下しました。

 株なんてハイリスクハイリターンのギャンブルだから,っていう古くさい理由でやらないのではないですよ。FXだってギャンブルですから。ただし自分でリスクをコントロールできるという利点をもったギャンブルはそれほど多くありません。僕がFXを選んだのはリスクコントロールが可能だからという理由も大きいのです。だって本業じゃなくて趣味で投資するんだから。
 リスク商品ってのは確率に投資するものなので,どんな美辞麗句を並べたってギャンブルです。ましてや短期的な利益を狙いに行くデイトレード,スウィングトレードなんてギャンブルそのもの。パチンコ・競馬・競輪・競艇と同じです。同じギャンブルなら,わかりやすくって読みやすい商品に投資するのが当然でしょう?馬が好きな人は馬のことをしっかり勉強して競馬をやるだろうし,株が好きな人は会社の状況をしっかり勉強して株をやるでしょう。僕は為替が好きだから(銀行員時代に体験して面白さを知ってしまったから)FXをやる,ただそれだけです。

 FXで儲けているって言われるならともかく,株で儲けていると言われるのは心外です。ブログでも儲けを公表しているぐらいFXについてはオープンなんですから,言うならそっちで言ってもらいたいもんです。株はしばらく時間と興味がないのでやりませんよ。  
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2005年11月19日

グローバルソブリンは今投資すべきか否か

 ある先輩からグローバルソブリンについて質問がありました。今の時期買うべきかどうかについて,「僕の個人的な」意見を述べたいと思います。

 まずは事実確認から。
 グローバルソブリンというのはもともとはどこかの証券会社が設定するファンドの商品名だったと記憶しています。それがカテゴリ的な使い方をされるようになって,特に毎月分配型がものすごい人気を呼んで名称が一般化しました。ソブリン(ソブリン債券)とは「各国政府などが発行する債券」の総称で,一般的には(外国)国債ですから,仕組みは海外債券投資信託の一種と言えます。

 基本知識のおさらい。
 海外債券投資信託と聞けば考えられるリスクは,為替リスク,信用リスク,金利リスク,流動性リスクなどです。それぞれ見ていきます。

  • 為替リスクは例えば円高になれば元本を割る可能性が高まります。為替リスクはヘッジするタイプとされないタイプがあるようで,当然ながらヘッジしないタイプはよりハイリスクハイリターンになります。
  • 信用リスクは主に国のデフォルト(債券不履行)にかかるリスクです。巨額の双子の赤字を抱えてどうにもならないアメリカの通貨をどこまで信用するかなどの個別国に対するリスク評価になりますが,まあ通常はことさら危険視するほどのものではないでしょう。そもそも高格付の国の債券しか入れないでしょうし。
  • 金利リスクとは要するにインフレリスクのことです。インフレ懸念などで長期金利が上がると債券価格は下落しますから,当然ファンドとして(時価評価ベースで)元本割れの可能性が出てきます。例えばアメリカでは今インフレ抑制議論が盛んですから,実はグローバルソブリンで最も気をつけるべきリスクであると言えます。
  • 流動性リスクとは,売りたくても買い手が現れず売れない銘柄に対するリスクのことですが,高格付の国債なら心配する必要はないでしょう。

 これらは一般的なリスクについてです。次に,グローバルソブリン特有のメリットについて見ていきます。

  • 債券ファンドであり株などに比べてリスクが小さい。
  • 銀行などでも売っていて,預金のような感覚で取り組める。
  • 毎月分配型が多く,毎月お小遣いをもらえる感覚で投資実績が実感できる。

 細かく見ればもっとありそうですけどこれぐらいでいいでしょう。要するにリスクが低い割にリターンもそこそこよくって,毎月お小遣いをもらえるというところがウケているということです。後でデメリットのところで述べますが,銀行などは売れば売るほど手数料が入ってくるので,彼らにとっても美味しい商品でありどんどんファンドの残高が大きくなっているようです。

 さて,メリットがあればデメリットもあります。で,これらの点は証券会社とか銀行とか売る側にとってマイナス情報ですから,彼らの口から積極的には語られないものです。しかしながら厳然として無視できないデメリットは存在しますから(どんな商品にもあてはまることですが)今度はこれを見ていこう。

  • 販売手数料が高い。
  • 信託報酬が割高。
  • 分配金が流出するということは複利効果が全くないということ。
  • 儲けた分にはきっちり税金がかかる。損しても他の投資商品の利益と通算できない。つまり税制上不利。
  • ファンドが大きくなりすぎてパフォーマンス低下。その結果,赤字配当が多くて元本割れが続いているファンドが多い。

 いいことばかりではありません。最初の2項目ぐらいは銀行も証券会社もボソボソと説明してくれるでしょう。でも3-5項目については誤魔化すか,そもそも説明しないでしょう。ここにグローバルソブリンの最大のデメリットが潜んでいるわけですが,多くの人は気付きません。あなたは気付きましたか?そして気付いた人はこうも考えるはずです。「結局,これだったらアメリカ国債を証券会社で買った方がパフォーマンスいいんじゃないの?」

 そもそもどういう意味かわからないという方のために補足説明をしておこう。
 1点目の販売手数料については,例えばオリックス証券(→ サイト)では1.575%です。1億円以上なら1.05%ですが,無視しましょう。100万円を投資するなら投資する段階で15,750円を証券会社(あるいは銀行)に支払うわけですね。まだ投資してもいないのに。これが高いと見るか安いと見るかは個人の判断次第。

 2点目の信託報酬っていうのは,要するにファンドを運営するファンドマネージャーの取り分です。運用がうまくいけばいくほど彼らの取り分が増えるというものです。これが1.3125%。これは毎年引かれます!運用がうまくいこうといかずとも,100万円に対して13,125円が口座から引き落とされるということ(厳密に言うと運用がうまくいっていればいるほどもうちょっと取られます)。高いですか?安いですか?この水準ははっきり言えば債券投資信託としては割高です。株式投信並み。

 3点目の「分配金が流出する」ということですが,毎月決算を行って得られた金利(債券のクーポンのこと)を分配するときにファンドからお金が出て行くということです。いわゆる「累投」という,分配金をさらに同じファンドに再投資することができません。つまり複利効果がありません。
 なぜこういうことをするかというと,「お小遣い」という効果を演出するためです。ファンドが増えていても運用報告書を隅々まで読む投資家は少ないですから(本来はこういう状態がいけないんですけどね)預金通帳に毎月何千円かの運用結果が反映されている方がウケがいいという,ただそれだけの理由ですね。投資のプロから見れば子供だましそのものなんですが,まあ投資初心者の方々が練習に買ってうまく行ったと喜ぶにはいいのかもしれません。
※ひょっとしたら累投可能なグローバルソブリンもあるかもしれません。僕が知らないだけかも。全てについては調べきれていません。

 4点目の税金については若干専門知識がいります。別にグローバルソブリンだから税金が特別に高いというわけではありませんが,同じような商品なら非課税のものもあるんだよということを知っておいて欲しいから書いたまでのことです。今日はこれについては詳しくやりません。安間伸『ホントは教えたくない 資産運用のカラクリ』東洋経済などを読めば詳しく書いてありますので,そっちをご参照ください。

 5点目のパフォーマンス低下については皮肉なもんです。人気が出れば出るほどパフォーマンスは低下するものなんです。ジョージ・ソロスとか超人気のファンドマネジャーが活躍できたのはファンド自体がそれほど大きくなかったからであって,大きくなりすぎると彼らの動きが相場を引っ張ってしまうようになって,図体のでかさゆえに機動力が落ちてしまう(流動性が落ちるってこと)のです。ファンドを維持しようと思ったら,期日が来て償還になった債券を買い替えないといけないし,大口の解約が集中したら売りたくない玉も売らないといけない場面が出てくるのです。ま,これは有名ファンドの宿命なんですけど,皮肉なもんですね。
 結局,毎月「お小遣い」はもらえるけど,元本は割れてしまっているという状態のファンドがけっこうあります。オリックス証券のものは比較的マシなようですが,人気が出てきてファンドが大きくなったら同じ悩みを抱えることになります。
 また,元本割れしているのにも関わらず,客引きのための「お小遣い」である分配金を出さないわけにはいかないので,赤字配当を余儀なくされているファンドが多いのも事実です。知らず知らず資産が減っている可能性を疑わないといけません。
※何度も言いますが,これはグローバルソブリンだけの問題ではありません。一般の投資信託は全て元本割れのリスクを抱えています。僕はことさらグローバルソブリンを悪く言う意図はありませんのでご了承ください。

 こんなところですか。
 じゃあ,君だったら買うのか買わんのかと問われたら,僕は「買わない」と答えるでしょう。実際に買ってませんし。その理由を書きます。
 
 手数料が高いです。初年度は2.9%も取られます。分配金は100万円あたり毎月4,000円が相場のようですが,年利で4.8%,税金が20%引かれますので税引き後利回りは4.8%×80%=3.84%。ここから2.9%引くと1.0%切りますね。解約するときも信託財産留保額が0.5%引かれますからそれも忘れてはいけません。
 本当にお得でしょうか?
 
 これは元本が不変であるという仮定においての話ですが,実際は元本は変動します。主に為替と金利の影響を受けるということは前述しました。
 為替については円安基調なのでフェイバーに動いていく(つまり儲かるってこと)可能性は高いです。ただし買うタイミングとしてはやや遅いかなと思います。USD/JPYレートが@119.50をつけた段階ですから。それでも長期投資という観点で言えば,デフレと地震リスクと高齢化と財政破綻の役人天国・日本の通貨が高くなることは考えにくいのと,さらには郵政民営化で350兆円もの資金が外貨に変わっていく可能性が高いことから,円安の流れは変わらないと僕は見ていますので,為替だけに着目するのであれば取り組んでも損はないかなあという思いはあります。でも為替ヘッジしているタイプを選んだらその恩恵は少なくなりますからご注意を。
 一方で,金利については僕は悲観的です。どこの国の通貨も基軸通貨の米ドルとの金利格差の変化を危惧して,利上げ基調にあるからです。具体的には,アメリカはFF金利が9.11テロ前の水準に戻っていますが,国内のインフレ抑制を目的にさらなる利上げを考えている状況であり,この短期金利の利上げは長期金利上昇(つまり債券価格下落)に大きな影響を与えますから,実は現在は債券投資は慎重にしないといけない時期なのです。
 EU諸国も今はフランスの暴動などでユーロが売られていますが,米ドルの金利との格差が開くばかりでは国際資金の流入がますます乏しくなってきますので,金融当局は金利引き上げの可能性をここ数ヶ月はずっと示唆し続けています。EUだって金利上昇の可能性です。
 オセアニアも米ドルとの金利差を広げておきたいのと好調な国内経済状況もあって,利下げになる状況にはありません。
 日本は言うまでもないでしょう。景気が回復したら債券が売られて株が買われるので(実際にその動きが出てきていますよね)債券価格は下落しています。
 このように世界中が金利上昇局面にあるため,債券投資はできるだけ控えるべきではないかと思っています。金利分も年利は1.0%を切りますし(ただし1年目のみ)。こんなことなら黙って証券会社でアメリカの国債でも買っておいた方がよっぽど利回りがいいです。FX取引などで為替ヘッジしておけば為替リスクもそれほど心配いりませんし。
 もちろん10年以上資金を寝かせるつもりの長期投資であれば反対はしません。為替差益でカバーできるかもしれないからです。

 じゃあ,君は何に投資するつもりなのだ?と聞かれたら,僕は「今ならFX。将来は・・・状況を見て考える」と答えます。
 FX(為替証拠金取引)が「現在」有効であるということの説明はこっちのブログ(→ サイト)で現在も展開しているところです。解除したくてもできない日本のゼロ金利を逆に利用して,円キャリートレードで高金利通貨スワップ獲得作戦を展開するのが一番ラクです。株も最近はパフォーマンスはいいですが,個別企業の分析にはかなりの時間を割かないとできません。為替は通貨ペアも自分が得意なものはせいぜい5種類ですから,これらの通貨を分析しておけば足りますので。

 ゼロ金利が解除されたり,いよいよ日本のインフレ(おそらくスダクフレーションになるかハイパーインフレになると思われます)が始まったらFXから次の商品に乗り換えるつもりです。商品先物になるか海外ファンドになるか,今は勉強中ですが,資産保全のために研究していくつもりです。

 というわけで,グローバルソブリンは「僕なら」今はやらないねという結論。でもプロでもない素人投資家の判断ですから別に参考にするまでもありません。人気商品だし,なんだか得しそうだし,ということであれば取り組んでももちろんかまいません。とにかくいろいろと投資をしてみて経済の勉強を身をもってしていく方が大事かもしれません。やる前からウダウダ考えるよりもね。
 でも大事なのは終わってからの反省です。なぜうまくいったのか。なぜうまくいかなかったのか。うまくいったはずなのになぜうまくいっていないのか。などなど。その繰り返しで金融リテラシーは磨かれていくのです。

 と,かっこいいことを書いて今日は終わっておきます。  
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