2005年09月22日

カトリーナ報道からアメリカの政治の実態を垣間見る 日本は他山の石とできるか

 アメリカにはリタが近づいているらしいのですが,後発ニューズも含めてカトリーナ関連で気になる記事などをこれから何度かに渡って紹介しておこうと思います。もちろん全ての情報を網羅して紹介することはできませんが,無視できない記事などをとりあげます。リタが去った後,前回の失政を挽回すべく,行政がどのような対策をとれるのかなどについて非常に興味があるからです。もっとわかりやすく言うと,「小さい政府」アメリカが陥ったワナへの対処方法を日本は他山の石として学べるのかということです。でなければ「小さい政府」そのものが実現不可能ではないかということにもなりますので。

(Sep/11/05 CNNより引用開始)
【ハリバートンなど米政権関係企業,ハリケーン復興を受注】
 ロイター通信によると,ブッシュ政権高官との関係が強い企業が,ハリケーン「カトリーナ」被災地の復興関連事業を次々と受注していることが明らかになった。
 被災したメキシコ湾岸地域の復興事業の一部を,石油関連大手ハリバートンの子会社ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)と,ショー・グループが受注した。両社とも,2000年米大統領選挙のブッシュ陣営全国選挙対策委員長で連邦緊急事態管理庁(FEMA)の前長官,ジョセフ・オルボー氏がロビイストとして代理を務める企業。ハリバートンは,チェイニー副大統領が1995〜2000年にかけて最高経営責任者(CEO)を務めていたことでも有名。
 ハリバートン子会社KBRは9日,ルイジアナとミシシッピー両州の海軍基地復旧事業を受注。事業規模は2980万ドルという。ハリバートン広報はロイター通信に対して,今回の復旧事業は海軍とKBRの間の包括的契約の一部で,ハリバートンがオルボー前FEMA長官をロビイストとして迎えた今年2月より前に締結されていたものだと説明している。
 オルボー氏がほかにロビイストとして代理するショー・グループ(本社・ルイジアナ州バトンルージュ)も8日,1億ドル相当の住宅建設事業をFEMAから受注したと発表。9日には,米陸軍工兵隊から1億ドル相当の契約を受注したと明らかにしている。
(略)
 FEMAはさらに,サンフランシスコに拠点を置くベクテル・グループ参加のベクテル・ナショナルに,被災者の仮設住宅建設を発注した。ベクテルのライリー・ベクテル会長兼CEOは,ブッシュ大統領の輸出諮問委員会の委員。ベクテル・エネルギー・リソーセスのロス・コネリー元CEOは現在,政府機関・海外民間投資公社(OPIC)のCEOを務めている。
(引用終了)

 もちろん,このニューズだけでブッシュ政権を批判しようという意図はありません。アメリカのどこでも見られるロビー活動の一環だと割り切ってしまえば特段悪いことをしているわけではないし,そもそもアメリカ国内の話だから僕がとやかく言える話ではない。
 ただ,僕としては,地元企業に受注させてあげろよと言いたいのです。ハリバートンなんてイラク戦争後の復興事業でしこたま儲けているわけでしょう?大量破壊兵器で爆破しておいてそのあと新しい建物を建てるっていう「スクラップアンドビルド」そのままの手法で。自然災害で町一つが壊滅状態になっているのに,被害を受けた地域住民(黒人層がほとんど)の雇用は改善されないままピンハネ団体がさらに儲ける構図っていうのは,単なる「勝ち組,負け組」という構造以上の問題を含んでいると思うのですが,いかがなもんでしょうか。
 当然,災害後すぐに略奪などが起きるような民度だから彼らに任せられない,という理屈は成り立つでしょう。でもだからと言って,きつねの皮を被った狼達に全てを差配させるというのでは,いつまでたっても民度は向上しない。中央政府やその息がかかった少数の商人達が取り仕切るのではなくて,中央政府が強力な警察権をちらつかせながら予算を渡して,当事者達に責任を負わせて復興事業をさせることが本当の政治だと思うんですが。
 逆に考えると,そうしてしまって民度が上がってしまうと少数の人たちがおいしい汁が吸えなくなるので,一向に民度向上の政策がとられないのかもしれません。もちろん考えすぎであってほしいのですが。部下を育てるといつか自分を上回る成績をあげるのではないかと危惧するような成果主義人事制度と同じような理屈ですかね。せっかく良い芽を持っていてもそれを活かせてやらないと花は咲きませんし,自分も含めたコミュニティがどんどん陳腐なものになっていく。政治力とは畢竟,花の咲かせ方の善し悪しなんだと思います。

(その他の参考記事)
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Posted by p-5796189 at 22:32Comments(2)TrackBack(0)