2005年10月17日

『池上彰の情報力』

6f121a43.jpg池上彰『池上彰の情報力』ダイヤモンド社 お勧め度★★★
(内容紹介はじめ)
 ※Amazonサイトのレビューより引用
 政治経済などの難しいニュースを、本質を損なうことなく、子どもにもわかる形にまで落とし込んで伝える報道番組として評価が高いNHK「週刊こどもニュース」。本書は、同番組でキャスターを勤める著者が、情報収集から整理、解釈、発信までのノウハウを「情報力」と名づけて明らかにしたものである。放送の裏舞台を垣間見る楽しさと同時に、さまざまな層の読者に情報化時代を生き抜く実践的な力を与えるテキストにもなっている。
 マスメディアの現場などで情報がどのように「つくられていく」のか。報道記者として携わった取材と記事作成の実例などからそのからくりを解説する部分が本書のひとつの柱だ。いわば、情報に踊らされない、だまされないための情報解読法という側面である。一方で著者は、そうした情報をいかに自分のものにし、使いこなしていくかについても具体的に述べている。テレビ番組、新聞、インターネットなどの情報ソースを上手に使い分けるだけでも現実を見る目はずいぶん複眼的になるといったヒントが満載されている。
 また著者は、「情報力」をさらに広くとらえ、日常的なコミュニケーション技術としてもさまざまな活用法を説いている。会議でのプレゼンテーションなどに悩む読者には、第6章「私の情報発信術」などに記されたテクニックが参考になる。考えを相手に正確に伝えるためには、自分の内部の情報を再構成、編集するテクニックが重要だ。本書には、そのための方法論も詳述されている
(内容紹介おわり)

 たまには読書日記を書かないと「看板に偽りあり」になりますので,最近読んだ本から書いていきます。どうもまとまった時間がとりにくくて(とれたらとれたで仏大のレポートに当てないといけない)すぐに読んでしまえる本ばっかり読んでいるのですが,これでは読書力が落ちてくるだろうなと心配しています。自分の思想とすり合わせながら頭の中で葛藤を繰り返して悩みを解明したうえで悟りを得る・・・というような体験ができる本をじっくり読んでみたいですね。

 さて本書は,NHKの『週刊こどもニュース』の名キャスター,池上彰氏が自らの情報整理手法をまとめたものです。もともと子供向けに難しいニュースを実に簡単に要点を漏らさず伝えるスキルに秀でた人ですから,論理構成はもちろん,ニュースの着眼点・留意点なども実にわかりやすく書かれていて,氏が大事にする観点や思想についてもよく理解できました。本書を一読すれば『週刊こどもニュース』が子供以上に多くの大人たちの指示を得ている理由がよくわかると思います。

 ざっくり言ってしまえば,僕は他の著者の情報整理本などもよく読んできたこともあるので特に真新しい情報整理術が書かれていたわけではありませんでした。でも,著者の「情報」についての考えは私の考えと同じであり,要するに「アウトプットとして使うために」情報を集めるのであり,「自分の考えを整理するために」「読者(情報の受手)が最も理解しやすい形で」情報発信するのであるというもので,ただただやみくもに本を読んで知識をインプットすることが情報収集だとは言わないのです。集めるだけの情報なんてただの自己満足ですし社会を変えうる力にはなりません。かといってむやみやたらと一次情報を中継して不特定多数の人に伝えるというのも芸がない。ましてや難しい専門用語ばっかりの御託を並べても誰も気に留めてくれない。
 自分の頭で一次情報を咀嚼して,これが自分のメディアリテラシーを鍛えることになり,情報の善し悪しが判断できるようになり,自らの体験を基とした思想と照らしていかに世相を読み解くかという観点に遷移させ,より深い世相観察ないし人間観察に繋がるような情報整理でなければ時間のムダです。したがって,まず自分で一次情報を咀嚼するところをおろそかにしてはいけません。

 しかしながら現代はあまりにも短絡的な人間が増えているせいか,ちょっと大手のテレビ局が無知な情報を流すと(故意なのか本当に無知なのかは区別しません)その情報を疑うこともなしに,右だ左だの二元的な雰囲気がすぐに形成されて,気がつけば自分もその情報に躍らされて真実から遠ざかってしまっているという状態が簡単に示現するのです。はっきり言えばこれはメディア側の思うつぼであり,先の戦争の例を持ち出すまでもなく,騙そうとしている人間を救世主に見立てて,騙される側の大衆が自分たちが騙されていることに気付かせないという実験が成功していることが確認されるわけです。「情報」の咀嚼ができない人間が増えた結果が現状であると考えれば,今のようなメディアのだらしなさが続いている限りは,もはやこの流れをくいとめることはできないでしょう。マスコミが世論を作り,真実をねじ曲げ,ちっとも楽しくない社会がこれからどんどん進展していくのでしょう。

 ちょっと話がそれました。今のは僕の考えであり,著者はこんなことまで書いていません。本書は大人気番組『週刊こどもニュース』がいかにして作られていて,キャスターはどのような情報整理を施しているのかというところから始まっているように,非常にまっとうな内容ですから安心して読んでください。僕のようにうがった見方はされていないようですし (^^;
 絶対にお勧めというわけではないですが,『週刊こどもニュース』のわかりやすさと舞台裏の準備作業に興味がある人は読んでみてもおもしろいと思います。   

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2005年07月26日

車のナンバープレートの変更がネットでできるって知ってました?

 今日の話は興味がない人には全くつまらない話ですのでご了承ください。車のナンバー変更の申し込みがネットでできたという話。

 2年前,山形から引っ越してきたときに陸運に行って変更登録をやったときは,確かFAXで申し込んだような記憶があります。とても陸運に行ってるようなヒマがなくって電話したらFAXでできると教えてくれたのですが,何度も何度もFAXでのやりとりになって,ものすごく時間と手間がかかりました。今回もそうなるのかなあと憂鬱になってネットで検索したら,なんと!こんなステキなページがありました。

希望番号申込サービス

 そのまんまの名前やね。「全国自動車標板協議会」っていう団体がサイトを管理しているらしい。どんな団体かはよく知りませんが,希望のナンバーが欲しいというドライバーはやっぱり増えてきているようですね。若い人に多いだろうから,イコール,インターネットを使いこなせる世代ということで,窓口事務コストの削減が見込めるということでしょうか。とにかく,これのおかげで今日はずいぶん助かりました。

 こういうサービスは,特に一人暮らしのサラリーマンから絶大な歓迎を受けるでしょう。番号予約するためだけに陸運に行く時間なんてとれないし(土日休みやからね)FAXのやりとりも仕事中にはできませんから。ハードに働いて家に帰ってきてパソコンを開いて申し込みができるというのは非常にありがたいはずです。支払う手数料にしてもネット振込みができる環境があれば(セキュリティの諸問題についてはここでは無視します)真夜中に振込み受付することもできます。

 つまり使い方次第でとんでもなく便利になるということ。こういう時間の遣い方ができるっていうのは斎藤孝氏の言う「段取力」に通じます。逆にこういう「段取り」を知らなければ,2日間の休日をとって(番号とるのとプレート付けるのと)その休日の分の仕事を残業して銀行にも行って・・・ということをしないといけない。ちょっとしたことだけど,2タイプのサラリーマンを比べると差は歴然ですね。サラリーマンに限らず,便利なものはどんどん活用して(もちろんセキュリティなども天秤にかけたうえでですよ)最小限の努力で最大限の効果を探求してたいものです。  
Posted by p-5796189 at 21:44Comments(0)TrackBack(0)

車のナンバープレートの変更がネットでできるって知ってました?

 今日の話は興味がない人には全くつまらない話ですのでご了承ください。車のナンバー変更の申し込みがネットでできたという話。

 2年前,山形から引っ越してきたときに陸運に行って変更登録をやったときは,確かFAXで申し込んだような記憶があります。とても陸運に行ってるようなヒマがなくって電話したらFAXでできると教えてくれたのですが,何度も何度もFAXでのやりとりになって,ものすごく時間と手間がかかりました。今回もそうなるのかなあと憂鬱になってネットで検索したら,なんと!こんなステキなページがありました。

希望番号申込サービス

 そのまんまの名前やね。「全国自動車標板協議会」っていう団体がサイトを管理しているらしい。どんな団体かはよく知りませんが,希望のナンバーが欲しいというドライバーはやっぱり増えてきているようですね。若い人に多いだろうから,イコール,インターネットを使いこなせる世代ということで,窓口事務コストの削減が見込めるということでしょうか。とにかく,これのおかげで今日はずいぶん助かりました。

 こういうサービスは,特に一人暮らしのサラリーマンから絶大な歓迎を受けるでしょう。番号予約するためだけに陸運に行く時間なんてとれないし(土日休みやからね)FAXのやりとりも仕事中にはできませんから。ハードに働いて家に帰ってきてパソコンを開いて申し込みができるというのは非常にありがたいはずです。支払う手数料にしてもネット振込みができる環境があれば(セキュリティの諸問題についてはここでは無視します)真夜中に振込み受付することもできます。

 つまり使い方次第でとんでもなく便利になるということ。こういう時間の遣い方ができるっていうのは斎藤孝氏の言う「段取力」に通じます。逆にこういう「段取り」を知らなければ,2日間の休日をとって(番号とるのとプレート付けるのと)その休日の分の仕事を残業して銀行にも行って・・・ということをしないといけない。ちょっとしたことだけど,2タイプのサラリーマンを比べると差は歴然ですね。サラリーマンに限らず,便利なものはどんどん活用して(もちろんセキュリティなども天秤にかけたうえでですよ)最小限の努力で最大限の効果を探求してたいものです。  
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2005年07月12日

トリウムはウランに変わりうるか?

 原発について興味深い話を見つけたので紹介します。引用先の記事は長いので,原発に興味のある方は全文をリンクから読んでいただくとして,ここでは要旨を箇条書きで紹介しよう。

(Jul/05/05 HOTWIRED JAPANより引用開始)
【ウランより利点の多いトリウム原発、移行への障害は?】
※引用者が箇条書きに編集
  • 原子炉で使用する燃料をウランからトリウムに切り替えることができれば、発生する放射性廃棄物の量は約半分になり、兵器へ転用可能なプルトニウムを取り出せる量も80%ほど減る可能性がある。

  • 自然界に存在するトリウムは、ウランと比較して埋蔵量が豊富で、使用する際の効率や安全面でも優れている。それに加え、使用した燃料から核兵器の開発に利用可能な物質を取り出しにくいという利点もある。

  • しかし、設計が難しいうえ、使用済み核燃料を原子爆弾へ転用したいという冷戦期の思惑も働き、原子力業界は主要燃料としてウランを採用した。

  • 各国政府が核兵器の拡散防止に目を向け、環境保護論者が世界中に存在する膨大な放射性廃棄物の削減を求めている現在、トリウムが再び注目を集めている。

  • ここ数年の米国とロシアの研究によって、以前研究者を悩ませた問題のいくつかに解決策がもたらされた。そして、1月にはインド――トリウム埋蔵量はオーストラリアに次いで世界第2位――が、独自設計のトリウム原子炉の安全性テストを行なうと発表した。

  • だが、1つ問題がある。マサチューセッツ工科大学(MIT)『先端核エネルギーシステムセンター』(CANES)のムジド・カジミ所長によれば、原子力発電業界はすでにインフラをウラン燃料用に作り上げていて、これを転換するために投資する理由がほとんどないという。
  • (引用終了)

     記事はこのあと,どのようにすれば問題を克服できるかという考えが述べられるのですが,行政がからむ案しか出ていないので省略しました。つまり,現実的には軍事利用できないものは政治家の段階で見向きもされないだろうから実現性が低い(紹介する意義もない)と僕は判断しました。
     さて,記事によれば,これからの原子力の平和的利用のためにはウランを直接使うのではなくてトリウムを使おうぜというように読めます。ウラン用の設備しかないので現段階ではトリウムから電気を作ることはできないようですが,新興国のインドが実験を始めたらしい。これは個人的にはインパクトかなりでかいです。インドはすでに核をもっていますし,極端な話,一つあれば地球を壊せるぐらいの威力があるわけですからたくさんもいらない。だからこれからはあり余る新しい資源を使って国民や企業が喜ぶ電気の安定供給をより効率的に実現できれば,中国が日本から技術を泥棒するために手をこまねいている間に,一気に中国を追い越して先進国の仲間入りができるのではないでしょうか。

     ちょっと浮き足立った論調だったか。まだトリウムを使った発電は実験自体が始まったばっかりのようなので楽観視すらできる状況にもありませんでしたね。本当にウランから発電させるのよりも安全で効率が良いのかどうかについても,僕は絶対的な知識不足ですからどうにも判断できません。もうちょっと知識を仕入れながらこの話題をワッチしていく必要がありそうです。

     ところで,僕は理系出身で原発問題はけっこうワッチしていたはずなのですが,恥ずかしながらこの記事を読むまでトリウムについてはよく知りませんでした。そこで,Wikipediaをひくとこんな内容でした。

    モナズ石(モナザイト)に含まれる。安定同位体は存在しないが、トリウム232は半減期が140億年であり、比較的天然に多く存在する。トリウム232はトリウム系列の親核種である。
    トリウム232に高速中性子を当てると、トリウム233となり、これがベータ崩壊して、プロトアクチニウム233となる。これが更にベータ崩壊して、ウラン233となる。ウラン233は核燃料になるが、この一連の核反応による原子力利用はほんとんど行われていない。


     インターネットって便利だなあという話はまた今度にしよう。ここでは2度のベータ崩壊でウランができるというところに注目。これなら高校物理のレベルだから理解できます(笑)。もちろん高校物理ではベータ崩壊なんて実験させてもらえませんから(笑)書生ちっくに「ふーん。高速中性子を2回ぶつければウランになるんだー」と理解しておきましょう。どんぐらいお金がかかるのかは知りませんが,これが安くできるようならマッドサイエンティストがネットで作り方を公開して高校生が真似したりして(不謹慎かな)。ま,机上の空論で言わせてもらえばトリウムのベータ崩壊を安全に効果的にできる施設さえ作れたらなんとかなりそうな気もします。僕は原則として原子力には反対の立場ですが,それは危険すぎるのに情報公開が杜撰だしキナ臭い利権がいっぱいだからであって,安全でかつ効果的ならば話は別です。しばらくはトリウムについて勉強しようと思います。  
    Posted by p-5796189 at 21:48Comments(0)TrackBack(0)

    2005年07月09日

    『創価学会』

    76ed4be4.jpg島田裕巳『創価学会』新潮新書 お勧め度★★★★
    (内容紹介はじめ)
     いまや国家を左右するほどの勢力にのし上がった創価学会・公明党。国民の7人に1人が会員とも言われるが,全容はなかなか一般国民には知らされていない。そこで客観的事実に基づいてこの巨大組織の成り立ち,歴史,組織力などについてまとめてみた。教団トップは何を考え何を為してきたか。教団が力をつけてきた背景は何か。公明党は今後どのような役目を負っていくのか。本書は学会について知りたい人への最適な入門書である。
    (内容紹介おわり)

     本書は創価学会研究の入門書です。まず全ての偏見を捨て去ったうえで本書を読むとよいでしょう・・・なんてね,実際そんなことは不可能ですが。誰かが言ってたから気持ち悪いのだろうとか,誰かが被害にあったらしいからとんでもない教団だとか,本書を読もうとする人は何らかの先入観をもっていることだろうと思います。でも,できるだけそういう気持ちは置いておいて,自分の目で真実の創価学会について勉強しようと考えてください。そういう意味で本書はベストの入門書です。

     創価学会のスキャンダルなどについてはテリー伊藤の本とかを読めばいくらでも事例が書いてありますが,あれはあくまでエンターテイメントの世界の話ですから,教団についてきっちり勉強できるという本ではありません。あの手の本は逆に信仰そのものを否定するような意味合いも含まれることがありますので,僕としては感心しません。とっつきやすさはありますが,先入観がますます増幅されていくようで冷静さが保てなくなってしまうように思います。ま,読み手の力量次第でセーブできたりすることではありますが,ああいう読みやすい本ばっかり手に取ってしまう人たちは(偏見かもしれませんが)簡単に洗脳されてしまいやすいようにも思いますので,まずはきっちりした本,例えば本書などを読んでからの方が良いでしょう。

     さて,ここまで書けばなぜ本書がベストの入門書かという理由がわかると思います。創価学会について書かれた本は実はいくつかありますが,テリー伊藤氏の本のようにほとんどが攻撃であったり主観が入りまくった批判であったりというものなので,そういう本とは区別させるために著者は客観的事実だけを並べて分析しているという点に好意がもてるからです。事実を並べてそこから見えてくる創価学会像について考察するというスタンスをとっていますから,解釈の仕方を除けば批判の入る予知はない。したがって落ち着いた評価ができるというものです。僕も創価学会の成り立ちとか歴史とか公明党の活動とかについてほとんど知りませんでしたから非常に勉強になりました。

     内容について一つ紹介します。
     創価学会が今の形になる種を蒔いた人物は二代目会長の戸田城聖です。彼は進学塾の経営を手がけるなど商売人の感覚が鋭かったらしく,日蓮正宗を利用して様々な野心を実現させてきたようです。パフォーマンスも一流だったようで,肉声テープが今でも残っていて内容を聞くと,論旨が簡単明瞭で人をその気にさせる力が大きかったようだ。そして彼の跡を継いだのが今の名誉会長である池田大作。ちなみに今の会長の名前は本書を読むまで知りませんでした。おそらく皆さんも同じなのではないかな。それほど,創価学会といえば池田というイメージが強い。
     話を戻して,池田が三代目会長に就くときのエピソードがいくつかあって,かなり美化されて本になったり映画になったりしているらしい。ここらあたりから,日蓮上人崇拝から池田崇拝に変わっていくのだろう。テレビで見るような中国共産党とか北朝鮮のマスゲームと同じような行軍をさせているらしいし,池田は庶民出身という点を大きくアピールして人の心に入っていくのが非常に上手だから簡単に「将軍様」ぐらいにはなれる。公明党を動かして自民党の大物とも数々のケリをつけてきたことも本書を読めばわかるし,闇将軍のような存在だったのだろうなあということも容易に想像がつきます。

     しかし,僕がこのエントリで言いたいのは別に池田批判ではありません。本書を読んだ後の感想としてはそういうものが出てはきますが,僕としては客観的に一つの宗教団体がいかに力をもつに到ったかという歴史,またそれを動かしてきた人物などについて一通り勉強できる本として,しかも入門書的な位置づけとして本書を紹介したいと思ったのです。とにかく客観的に宗教を論じるのは難しいのです。それに全てをささげている人を非難するのはたやすいが,ではお前がその人をきちんと導けるのかと問われればほとんどの人間が無理と答えるのではないでしょうか(できなければ責任をとれということです)。それではその人は救われないままなので,本人が救われると思っている方法をそう簡単に非難するわけにもいかないという結論になります。うーん,僕って保守的すぎるかな。でも人の思想だし人生だし。簡単に自分のものさしだけで測ってしまうことにはやっぱり抵抗はあります。自分もされたらいやだし。

     そもそも宗教対立は教条上の齟齬や矛盾といった点からの批判合戦になりやすいのですが,実は末端の信者はそういう点はどうでもよかったりする。助かるのかダメなのか。極楽にいけるのか否か。先祖は喜んでいるのかどうか。そういうありがたみが得られれば実はそれでいい。よほどの宗教家とか宗教マニアでない限り,教条の深いところまで立ち入る必要もないし,知ったところでそんなに実りがあるとも思えない(特に日本の大乗仏教については信頼できる文献が非常に少ないですし)。理屈が通らなければ通るように後付けで説明していけばいい。ま,そういうことの積み重ねで矛盾だらけになったりして炎上してしまう宗教(派)もあるわけですが。そういうわけで宗教を論じることには僕は消極的なわけです。寺の坊主のくせにね。

     本書を離れた話が続きましたので最後締めましょう。
     本書を読んで冷静に創価学会について知識を得ることができれば,これから起こってくる様々な学会・公明党関係のニューズを客観的に判断できるようになるでしょう。もちろん本書はエッセンスだけがつまっている入門書に過ぎませんから,より詳しく掘り下げていくには他書も読んでいかないといけません。でも我々一般の人間にとってはこの一冊だけでも何も読まないよりは何倍も効果が違うと思います。  
    Posted by p-5796189 at 17:22Comments(0)TrackBack(1)

    2005年05月10日

    『メタルカラーの時代7 デジタル維新の一番走者』

    5dfe12bb.jpg山根一眞『メタルカラーの時代7 デジタル維新の一番走者』小学館文庫 お勧め度★★★★★
    (紹介はじめ)
     CDからなぜ音が出るのかわかりますか?一般に我々は商品の中身まで見ないし考えない。しかしそこには人知を超えたひらめきによって成されたメタルカラーの努力の跡がはっきりと見える。本書で紹介するものはいずれもこれがなければ製品化は不可能であったであろうという発明の粋ばかり。軽快な語り口調からのぞき見えるメタルカラーのプライドと科学技術への飽くなき探求心。そこに技術大国ニッポンを支えてきた魂が見える。
    (紹介おわり)

     本書はデジタル業界ウォッチャーなら知らない人はいない山根氏の代表作「メタルカラーの時代」の文庫本シリーズです。「メタルカラーの時代」は小学館の週刊誌『週刊ポスト』で連載されていた対談集でして,本書はデジタル技術の発明なりデジタル機器の開発に関するものを再編集したものです。若干誇張して言えば,本書を読むだけで我が子を技術屋さん(山根氏はブルーカラーじゃなくてメタルカラーと命名されました)にさせたいと思う日本のお父さんが多数出てくるだろうというぐらい,すばらしい内容が詰まっています。

     読んでいて圧倒されるのは,多くのメタルカラー達がモノづくりって何て楽しいんだろうとわくわくしながら仕事をしていて,ものすごいプライドをもって技術にこだわっているのが伝わってくることです。対談ですから,話を引き出す山根氏の話術,知識もハンパではなく上手に話をリードして読者を飽きさせない。デジタル技術に興味のない方でも,CDがどのようにして開発されたのか,どのように作られているのか,どのように再生されるのか,そしてデジタルビデオの仕組みや再生秘話,テープそのものはどうやって作るのかや,面白い分野として,精密な半導体を作る工場で使われる防塵服の技術力の高さがいかに大変なものかなどなど,非常にためになる内容が盛りだくさんです。文句なしに★5つです。

     さて,ここ数年で日本の国際的な競争力は悪化の一途をたどっています。学校教育のまずさや偏差値教育,行き過ぎた競争主義と敗者復活のない社会,酬われない大発明・・・まあ理由はいろいろ出てくるでしょうが,そんな戦犯探しはマスコミに任せておいて,こういうときこそ,我々日本国民は本書を読んで「日本発」の大技術の粋を味わい直して欲しいと思います(週刊誌読者を対象とした対談ですので難しすぎる技術の話はほとんど出てきません)。ちょっと大げさかな。でも久しぶりの★5つですから許してください。

     全部を引用して紹介したいぐらいですが,あんまりやりすぎると無粋なので今回は敢えて引用なしにします。個人的にはソニーのCD開発秘話と松下のデジタルビデオテープの話と東レのデジタルビデオテープ用の樹脂フィルムの話が印象的でした。さてここまで引っ張っておけば,買って読んでみようかなっていう気持ちになるんじゃないかな?なんちゃって。基本的には理系向けの本なのですが,そう決めつけてしまうと広がりがないですし,日本企業のお偉いさん(だいたいが文系出身)はメタルカラーをもっと優遇すべきだと僕は個人的に思っていますので,是非とも文系の人にも読んで欲しい。100年に1度の発明と言われた青色LEDの中村教授のように,あまりにも技術に対する対価がお粗末だと日本の高度な技術はどんどん海外に漏れていってしまいます。メタルカラーの皆が皆,島津の田中さんだったらこんな心配はしなくてすむんですけど(こんなこと言ったら田中さんに失礼かな)。日本ってすごい技術をもっているんだなあとあらためて感心しました。  
    Posted by p-5796189 at 22:56Comments(0)TrackBack(0)

    2005年04月12日

    『マインドマップ読書術』

    a40aa956.jpg松山真之助『マインドマップ読書術』ダイヤモンド社 お勧め度★★★
    (内容紹介はじめ)
     読書は本を読むだけで終わらせるべきではない。エビングハウスの忘却曲線によれば記憶は反復されなければ20分で42%,1週間で70%も忘れてしまう。ではどのような方法が効果的かといえば,自分でまとめて書き留めておくことである。本書ではマインドマップを利用した読書ノート作りを提案する。白紙の中心に本のテーマを書き,枝を書き加えて内容を整理する。完成したものは友人などに見てもらうとモチベーションも上がる。
    (内容紹介おわり)

     当ブログの趣旨は,日々の読書を効果的に日常生活に活かしていきましょうというもので,そのために読んだ本がどういう内容でどういう風に感じたかということをつらつらと書いています。本書の趣旨も全く同じで,違うところは僕のやり方はこうやって文章だけで本の評価なり感想を書いているだけですが,本書ではマインドマップを使ってより視覚的な読書ノートを作ることを提案しているというところです。
     
     マインドマップについてはトニー・ブザン『人生に奇跡を起こすノート術』きこ書房という大層な名前の本が有名です。僕がマインドマップを知ったのはつい先日で,Macintoshの月刊誌を読んでいたときに特集で見たのですが,しばらく気になっていました。ブザンの本はそんなに大したことが書いてあるわけではありません。よくある自己啓発の方法論の一つなんだろうと冷静に位置づけてしまいましたが,まあそれでもヒントになる部分はありました。より視覚的に情報を整理するには,このマインドマップを使ったやり方は効率的だなあと。
    (参考)著者のサイト
     
     僕がマインドマップで整理しているのは仏教大学のわかりづらい教科書の内容です。レポートがあるので内容をまとめないといけないからですが,これはなかなか重宝します。学校で授業を受けるわけではないので板書ができない,つまりノートは自分で作らないといけないという時の効率的な補助ツールとして使えます。僕の場合は日常の読書1冊1冊について活用しようとは思いませんが(ブログでやっているという理由とめんどうくさいのと)使い方次第かなと思います。
     
     また,マインドマップについてはWindowsやMacintoshで使えるソフトもあるようです。興味がある方はGoogleや2chなどで探してみるといいでしょう。でも,個人的には紙と鉛筆があれば十分事足りますので,ことさらパソコン使わなくてもいいかなと思いますが。長い文章を書く場合はアウトライナーは使いますが,マインドマップまでパソコンで作ってレポート書くなんてことは今後も僕はやらないでしょう。几帳面な人は本書に感銘を受けてがんばるかもしれませんが。
     
     それにしてもエビングハウスの忘却曲線というのは以前も何かの本で読んで知っていましたが,あらためて見るといかに人間の記憶能力というのは儚いものなんだなあと思わざるを得ません。せっかく集中して読んだ本1冊も何らかのアウトプットなしではすぐに忘れてしまう。ましてや集中できなくて考え事をしながらさらっと読むなんてときも僕の場合はありますから,そもそもの記憶があやふやなら一晩寝たらすっきり忘れてしまっていることでしょう。やっぱりアウトプットは大切です。僕の場合は文章力を磨くためというこのブログを始めたもう一つの理由がありますから,その意味でも読書日記は今後も続けていくつもりなのですが,記憶力という一面からも続けていこうという気持ちになりました。
     
     読書なんて本が読めりゃいいんだよ。別に誰かに話をしないといけないわけでなし,という人にはマインドマップ作りなんて面倒なだけですからお勧めしませんが,そういう人にはそもそも何のために本を読んでるんだい?と問うてみたい気もします。人それぞれ考えがあるので批判するわけではないのですが,せっかく学んだことは使わないともったいないですよね。というわけでこのエントリをご覧の方々には是非なんらかの方法でアウトプットして読書を有効にしていただきたいと思います(マインドマップにこだわる必要はないです。僕もただの読書には使っていませんから)。  
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    2005年03月16日

    『もう牛を食べても安心か』

    3120f868.jpg福岡伸一『もう牛を食べても安心か』文春新書 お勧め度★★★★
    (内容紹介はじめ)
     イギリスで発生した狂牛病の原因は肉骨粉飼料つまり牛の共食いにあった。日本ではそのイギリスからの骨粉輸入量を正確に把握できておらず国内の狂牛病の原因も解明されていない。今までのアプローチは根本的に間違ってはいないか。シェーンハイマーが遺した動的平衡理論を用いて分子レベルでの問題解明を図れば,政策としての全頭検査の妥当性が鮮明になってくる。アメリカが要求する検査基準の緩和は果たして科学的なのだろうか。
    (内容紹介おわり)

     久しぶりに長い時間電車に乗ったので読書が進みました。仏教書ばっかり読んでいてもいっこうに賢くなった気がしないので,またしても俗世間の話題本に引き寄せられてしまいました。何冊か読んだうちの一発目として本書を紹介します。本書は僕がこのブログ上で何度も取り上げている牛肉の話題でありまして,勝谷誠彦氏がHPで紹介されていたので読んでみようと思ったものです。

     本書は牛を中心とした海綿状脳症の専門的な話をできるだけわかりやすく一般読者向けに翻訳された本です(といっても内容はかなり高度です)。BSEはいつどこでなぜ起こったのかという根源的なことから,今何が問題になっているのかということまで事細かな説明が必要れあれば,はっきり言って,素人レベルではこの本を読むだけで十分です。それぐらいの情報が詰まっていますし,科学論文のような固い文章ということもあるのでしょうが,僕の足りない頭で読めば論理のほころびは見当たりませんでした。全体を通して,全頭検査緩和や米国産牛肉輸入再開への疑問点を科学的に列挙するという方法が適切にとられており,いたずらに米国産牛肉の危険性をあおるわけでもなく,輸入解禁にやみくもに反対するのでもなくという冷静な言論は非常に好感がもてます。

     日本を恫喝してまで牛肉輸入を再開させようと目論んでいるアメリカが,では自国内でどのようなBSE対策をとっているのかご存知でしょうか。本書を読めば,アメリカが牛肉産業の分野で世界的にいかに孤立しているかがわかります。そのわずかな一例が今日の東京新聞の社説で紹介されていました。

    (Mar/16/2005 東京新聞社説より引用開始)
    (略)BSE検査と並ぶ安全確保の重要な柱である脳など病原体が蓄積しやすい「特定危険部位」の除去を日本は全頭について行っており、今後もこれを維持する考えだが、米国の対象は三十カ月以上で世界一緩い。
     輸入再開に際して米国は日本の全頭除去の要求に応じることを約束しているが、確認のために日本がどう査察するのか。食品安全委では当然議論になる。米国は日本の審議が遅いと批判する前に審議促進のためにこうした対策を先に示すべきだ。
     米国では日本と違い、牛の個体識別情報管理システムが完備しておらず、生産記録などで月齢を正確に把握できる牛は5%にすぎない。それを補うため肉や骨の「成熟度」による月齢判別法を提案しているが、あいまいさが残る。だが、日本の追加データ要求を米国は拒否している。(略)
    (引用終了)

     自分たちが5%しか把握できないような牛肉を,いくら属国相手とはいえよく平気で売りつけようとするもんですね。ま,外交っていうのはえてして無茶言うことから始まりますからいちいち過剰反応すべきでないですが,それにしてもこんな状況ではまともな国なら議論以前の問題ですよね。きっちりやらせたらBSEが見つかって余計に輸出できなくなるしコストもかかるから嫌だっていう本音しか見えないですもん。でも本書を読めばローコストで今よりも1000倍もの正確さで異常型プリオンを検出できる方法(リンタングステン酸法)が紹介されてますよ。アメリカもやったらどうですか。

     外交問題につながる話はちょっと置きましょう。
     さて日本で見つかった狂牛病の原因をあなたはきっちり説明できますか?できなければ農水省のHPとかくまなく探してみてください。わかりませんよね。そう。原因は未だに不明なんです。80年代から90年代にイギリスで大量に発見された狂牛病の「主要な」原因は肉骨粉入りの飼料だったことは間違いないでしょう。しかし肉骨粉だけが原因だったのかというとそうとも言えないのです。だって日本で最近になって見つかっている牛は肉骨粉の利用が禁止されてから生まれたのですから。原因が特定できないから全頭検査が必要なのだとごくごく当たり前のことを著者は説いています。読売新聞だとか島村大臣だとか町村大臣の言動の方がよっぽど非科学的です。危険部位だけに異常型プリオンが存在するという迷信(一部の新聞はさも事実のようにそう書くようですが)も幅を利かせていますが,そもそもプリオンも含めてタンパク質というものが分子レベルでどのような動きをしているか,本書で使われている言葉を使えば「動的平衡」理論というものを理解せずして,悪そうなところだけちょんぎればOKなどという理屈で突っ走ろうとするところに問題があるわけで,全頭を隅々まできっちり検査しないと異常型プリオンが見落とされる危険があることも研究者の手によって周知されてきています。それを無視してでも金儲けを優先させるというアメリカの牛肉業界のやり方は,ただの暴力団,マフィアでしかない。日本国民の健康を傷つけるれっきとした犯罪行為ですが,これに逆らうのがこわい大臣達やアメリカとの「対等」同盟を恥ずかしげもなく宣言する読売なんかは科学的見地をほっぽり出して(もともとそれを理解できる頭ではないのかもしれません)盲目的にアメリカ様々と傅(かしず)いています。

     勘違いしないでいただきたいのは,これは「べき論」であって面と向かってアメリカの牛肉業界にそんなことを言えとは僕は言っていません。大臣達の言動は,前提として国民にきっちり説明したうえでのものなら僕としては許せます。こういう場合は政治家がアメリカに正論を吐けばスキャンダルを起こされて政治生命が絶たれましょう。僕みたいな何の権限もない人間がピーチクパーチク言うのは何の影響も与えませんので命を消されるなんてことは心配いりませんが,相応の権力を持った人間がこういう発言をしてしまうとかなりやばいことになるのです。清廉潔白の政治家であってもでっち上げスキャンダルで失脚させられるぐらいのパワーは先方にはありますから。菅直人がいい例じゃないですか。社会保険庁の事務ミスなのに国民保険の保険料を払っていなかったなんて報道をされて大恥かかされましたよね。謝罪記事なんてよく探さないと見落としてしまうぐらいの小さな扱いでしたよね。

     何が言いたいのか。つまり,正面切って強いものにぶつかっていっても勝てるわけがない。武士道だとか何だとか精神論で勝てるものでもない。強国の要求には表面上応じておき,しかるべき時期にしかるべき演出をもって事態をひっくり返すしかありません。長いものに巻かれるだけではただの負け犬です。一生属国の立場から変われないでしょう。僕は日本は将来真の独立をすべきだと思っていますので,先日もここで書いたとおり,今おかれている日本の状況を考えてアメリカの要求を聞いておいて輸入した税関のその場で牛肉を焼き払えばいいと提案するのです。アメリカの牛肉業者もお金が入ってハッピー,ブッシュも顔が立ってハッピー,日本の国民もおかしな病原体に接することなくハッピーです。買い付け金は国債発行でOK。財務省の為替介入資金の方が手続きは簡単ですよね。国会通らなくていいから。いまさら日本の財政負担が大きくなったってどっちみち返せる額じゃないんだから心配するな。殺した牛が可哀想なので石碑を立てておいたらいいというのも提案しました。ただしアメリカの方に向けて立てるんですよ。あとはプロパガンダです。日本国内向けとアメリカ以外の国に向けた意見発信を必ずすることです。相手がスキを見せなければスキが生まれるまで時期を待つしかありませんが,それでも玉砕でお国のためとか言って突っ込んだって美談にはなってもちっとも国のためになりません。少なくとも今のように大臣達が国民への説明を放り出したまま盲目的にアメリカに歩み寄ろうとしているのは許してはいけません。

     いやいや。ちょっとリキが入りました。明日からお彼岸の法要で忙しいというのに。アメリカの牛の話についてはもう1冊読みましたので,今度はそれを紹介したいと思います。  
    Posted by p-5796189 at 23:28Comments(0)TrackBack(0)

    2005年02月26日

    『情報の「目利き」になる!』

    bdaf3fb2.jpg日垣隆『情報の「目利き」になる!』ちくま新書 お勧め度★★★★
    (内容紹介はじめ)
     情報の目利きとはメディアリテラシーのことである。これは社会人共通の教育的テーマである。なぜなら現代は大量の情報に晒されているがゆえに、リテラシーに欠けた人間は容易に偏った情報に振り回されやすくなるからだ。そこで著者が実証したリテラシーを高めるための効果的な方法やその視点を例示する。特に読書の質を高めることは評価力と仮説力を高めることに通じるため、効果的な読書の方法について多角的に論じている。
    (内容紹介おわり)

     前回まで読んだ本の自分なりの要約を載せていましたが、ネタバレになる畏れがあるので、今回からは内容紹介とします。どう違うって?要約はプロ野球ニュースみたいに要点だけを抜き出す文章であるのに対して、内容紹介は映画の予告編のようにこのブログを読んでくださっている方々にも読んでみたいと思わせる文章のことだと考えてください。美味しいところはオアズケっていうことです(そのわりにはあんまり文章がうまくない・・・)。
     
     それから斎藤孝氏の著作の影響も受けまして、文脈力というか要約力も鍛えないといけないと思いましたので、紹介文は200字以内に収めることにしました。これがけっこう大変・・・始めのうちはどうしても抽象的な紹介文になってしまうのでみっともないのですが、これも練習だと思って続けたいと思います(まだまだ僕の文脈力なんてたいしたことないってことです)。
     
     前置きはこれぐらいにしましょう。日垣隆氏の著作は以前ここでも紹介しましたが、ちょうど長野県議会の出張旅費の関係で信濃毎日新聞ともめていた時期ということもあり、著者自身の人間的な評価についてはいささかはっきりしない状態になっていました。僕はそれでも今でも日垣氏のものすごい読書力と観察力と直感力には敬服していますので、再度ここでも採り上げます。特に本書を読めば、僕のやっている読書なんてまだまだ赤子のようなもんだなあとカルチャーショックを受けてしまうぐらい、プロの読書というものが見えてきます。プロの物書きってこういう人たちのことを言うんだなあとあらためて敬服しちゃったわけです。
     
     内容については、よくきく(といってももう死語になりつつありますが)リテラシーというものを高めるために著者がこれまでやってきたことや考えたことなどをつづったものです。なぜリテラシーが大事かというと、それが仕事の現場でプレゼンや説得力の善し悪しに多いに関わってくるからですが、取り組み方次第で長い目で見るとかなりの能力の差が開いていくことがわかります。だからこそ今気付いたときからリテラシーを高めることを考えていかないといけない。人間に許される時間は有限ですからね。本書では読書やサイトを通じたアウトプットの効用が詳しく書かれていますが、なかなかこの域まで達するとなるとただ事ではないぐらいの経験が必要になるはずです。僕もこうやってほぼ毎日ブログを更新していますが、ちょっとした量の文章を書くのでさえそれなりの時間もかかるし、そもそもの知識量が少ないですから一つのことを調べ上げるのにものすごい時間がかかってしまいます。それをプロは時間をかけずにやっちゃうわけですから訓練の量が違い過ぎます。そういうプロに追いつくためにどういう視点で物を考えて、そういう営為でもって具現化していくかというところの具体例が本書には詰まっているわけです(著者自身も知の巨人達に挑むために信じられないような課題を自分に課して乗り越えてきたということも書いてあります)。
     
     著者はフリーのライターですからサラリーマンと違って収入は安定していないにもかかわらず、「2001年の飛行機代は320万6000円、JR運賃は224万8629円、書籍資料代は583万6068円でした」という、僕にとっては衝撃的な告白があります。フリーのジャーナリストで生計を立てて、さらに自分の好きな取材対象をどこまでも追い続けることができる人間って、単純に考えてすごいですよ。サラリーマン記者で(つまり上記の代金は全て経費で落とせる人達ってこと)偉そうに物を書く人とはやっぱり腹の据わり方が違うなあと。おっと。気がつけば日垣擁護論ばっかり展開していましたね。まあ今回はゆるしてください。素直にすごいなあと思ったので正直に書きました。
     
     もう一点ものすごく気になった部分を引用しておきます。
     
    (p.198より引用開始)
    毎日毎晩、幾つものテーマが立ち上がり、行く先々で資料も集まってくる。遊んでいても、必ず何かを思いつく。自宅の風呂屋トイレで思いつくことはないけれど、自分が動いているときには、もう勘弁してくださいというほど無数の「考え」が降ってきます。こういうことを言っていいのかどうか、しばしば完成された文章で降ってくるわけです。
    (引用終了)

     一種の霊感でしょうね。自分の頭をギンギンに使いきった後に旅先で遭遇するインスピレーションとでも言うのでしょうか、これは到達したものにしかわからないものなのでしょう。仏教でいうと悟りそのものです。僕は修行僧ですから一日も早くこういう体験をしてみたい(これは本音)。でもなかなか修業が足りていないわけで、そういう意味でも本書を読んで僕はまだまだ未熟だなあと思いました。とにかくこれからもどんどん本を読んでリテラシーを高めないといかんなあと再認識した次第です。  
    Posted by p-5796189 at 23:25Comments(0)TrackBack(0)

    2005年02月09日

    『受験は要領 中学受験編』

    d8ac16d9.jpg和田秀樹『受験は要領 中学受験編』PHP お勧め度▲▲▲▲
    (要約はじめ)
     日本のゆとり教育に我が子を任せていていいのか?周りが勉強しない友達ばっかりだと本人が勉強する気持ちがおきないのは当然だ。そこで子供の将来を案じるなら中学受験をさせてみよう。幸い中学受験の入試問題は、大きくなってからのあらゆる場面において応用できるような頭の使い方が試される良問が多いので、受験させるさせないに関わらず勉強させてみるのがよい。将来の節目節目に役に立つ基礎学力をつけさせるのが中学受験の目的であると言える。できれば小学校4年生から始めるのがベストだが、6年生からでも逆転は可能である。ただし十分な基礎学力が前提になるので、教科書の音読、漢字の書き取り、単純計算の繰り返しを続けるべきである。
    (要約おわり)

     今度から小学生の家庭教師をすることになったので参考までに読みました。「受験の神様」和田氏についてはテレビにもよく出ているので結構ご存知の方も多いでしょう。実は僕はあんまり好きではなかったりします。偏見かも知れませんが、世の中全部ペーパーテストの結果で決まるみたいな思想がどうも合わない。まあそれは家庭教師については関係のない話なので割り切って読みました。

     タイトルからもわかるとおり受験には要領が必要だということは誰にもわかると思うのですが、その要領に関する様々なテクニックが本書にはちりばめられています。塾の選び方や志望校の選び方、毎日の食事ややる気にさせるテクニック、果ては迷信にまで実にいろいろと詰まっています。1,200円で買えるハウツー本としてはまずまずの出来でしょうか。

     昨日も書きましたが、著者も何といっても基礎学力をつけることの重要性を説いています。いわゆる「読み、書き、そろばん」です。「読む」のも声を出して何度も何度も読むと脳全体が活性化しますし(東北大学の川島教授がいっぱい本を書いていますね)手を動かして漢字を書き取りするのも同様の効果があるようです。「そろばん」については単純計算をスピードアップを目的にして毎日続けることと置き換えることができますが、これも小学校の現場で陰山英男氏が実際に試して驚くほどの効果が出たので川島教授が調べたら、脳全体の活性化が見られたそうです。特に、脳の前頭葉を刺激する音読と単純計算は副次的効果も大きく、やる気を起こさせて前向きにさせることが科学的に実証されているようです。

     ですから小学生の家庭教師のやり方としては、基本的にはこのやり方を下地にして、受験用の勉強を積み重ねていくというスタイルをとります。誤解して欲しくないのは、昨日も書きましたが、これは著者や陰山氏や川島教授の受け売りではなくて、僕自身が体験して効果を実感してきたからです。理論的に裏付けが得られたというだけのことです。もちろん人それぞれ効果の出方が違うのでしょうがある程度は続けてみたいです。

     本書で1点大きく共感できるところがあったので紹介します。

    (p.25より引用開始)
     平成十四年からは「ゆとり教育」が始まり、公立小中校ではカリキュラムが三割も削減された。これでは公立中高に行っている子は、塾にでも通わせなければ、中高一貫校の生徒にはとてもかなわない。
     東大をはじめとする有名国立大学に公立中高から進学しにくくするなどというのは、国の政策の方向性が明らかに間違っていると思うが・・・(後略)
    (引用終了)

     まさしくそのとおり。僕が大学を受験した時は「ゆとり教育」なんて言葉はありませんでしたが、公立高校に通っていたその頃、塾に行かないと国立大学に入れないという馬鹿げた思想をどうしても受け入れることができませんでした。だから僕はあくまで公立中高から国立大学に塾に通うことなく現役で通るということにこだわりました。周りからは「なんで塾に行かないの?」とよく言われていましたが、塾なんて自分一人で家で勉強できないような意思の弱い人間が行くところだと決めつけていましたので(今でもそう思っている部分はありますが)塾に行く気はさらさらありませんでした。そのかわり必死でしたね。酒乱で耳がおかしくなって大音量でテレビをつけたままで知らんぷりのおじいちゃんというハードルも越えましたし、阪神大震災も乗りきりました(センター試験の2日後でした)。学校サボって塾通いしていた友人が落ちたときは、なんか勝ったようなおかしな気持ちも湧きました(これはよくないですね)。

     自慢話を書いたつもりはありませんが、要するに小学校時代に基礎学力をつけておくと後々そんなに投資しなくても(塾に通わせるのはものすごいお金がかかりますから)国立大学ぐらいは行けますよと。もちろん自分一人で勉強を継続できるという根性がないと無理ですが。ただ、いつだったか、ある人から「塾に行ってれば現役で京大に行けたのに」と言われたことがありますが、それは価値観の相違です。武士道的に言えばそんなこと自分の誇りが許さなかったので、別に京大に行けなくても全く後悔はしていません。塾に行くお金が惜しかったというわけでもありません。ついでに言えば、日ごろ文句ばっかりつけているくせに美味しいところだけとっていくというやり方は武士道に反します。そういう人間に武士道がどうとか説く資格はないと思います。僕はただストイックにこだわり続けただけです。

     もちろんこれから教える小学生にそれを無理強いはしませんし、そうするべきではないです。ただの参考事例ですのでそこのところをお含みおきいただきたいです。うん。楽しみになってきました。  
    Posted by p-5796189 at 23:39Comments(0)TrackBack(0)