『英文法の謎を解く』副島隆彦・ちくま新書 お勧め度★★★★
(要約はじめ)
日本人の英語は、地面につっかい棒を立てて、その上にコンクリートのビルを建てたような倒壊の危険性を持つ英語である。何の実感も伴わない"This is a pen."式英語の、やせこけた細々とした英語の基本理解の心許ない土台の上に、まるで50階建ての英語知識の高層ビルを建てたようなものである(以上第1章から引用)。「こうなっているからこう覚えるのだ」式の根拠のない構文暗記教育は知的副産物を何も産み出さない。なぜこの場面でこの動詞を使ってはいけないのか?仮定法や現在完了形がいかに含蓄の多い表現であるか考えたことはあるか?日本人が学校で習う英語はこのままでは世界には通用しない。
(要約おわり)
副島隆彦の英語教育批判本第一段です。意外と知られていませんが、著者は以前代々木ゼミの英語講師だったんです。生徒から寄せられる質問に非常に学術的に回答したものが集まって本書ができたようです(もちろん動機はそれだけではないようですが)。実は続編も続続編もあります。
say,tell,speak,talkの違い、あなたは言えますか?いわゆる仮定法ifとただの条件文ifの違い、わかりますか? I am running.のrunningが現在分詞であるという説と動名詞であるという説で論争が起きているなんてこと知ってました?まあ最後のはともかくとして、はっきりと答えることができなければ本書を読む価値は十分にあるでしょう。
英文法なんて知らなくていいんだ!構文を丸暗記したら十分だ!という英語教育論者がいます。海外旅行でちょっと現地の人と話するぐらいが目的ならそれでいいと思います。しかし、海外のニュースを自分の力で読もうとすると、文法をきっちり知らないと読めません。ノリには限界があるのです。僕も一時期どうやれば効率的に英語ができるようになるかなあといろんな本を立ち読みしたのですが、結局は文法がやっぱり大事なんだという結論に至りました。じゃあどうして中学高校と勉強したのに日本人は英語をしゃべれないのか?それは聞く訓練をしていないのと、Repeatingが決定的に不足していたからだろうということも結論として良いと思います。決して文法偏重主義だったからしゃべれないのではないです。英語の授業数が少な過ぎるのが原因です。
最近は僕もVOAぐらいの英語ならすぐに読めるようにはなってきました。さすがにTIMEとかNewsweekクラスになると単語がさっぱりわかりませんが。千里の道も一歩から。コツコツやることですね。
さて本の話は終わりまして、最近のニュースを紹介しましょう。海外ボツニュースから「海外で笑われているぞ!定率減税廃止案」です。このHP製作者レベルまで翻訳能力があれば言うことなしなんですが。
(引用開始 注:文字スタイルは揃えてあります)
あ〜あ、コイツらマジで記憶能力に致命的な欠陥があるんじゃね〜かなぁ……。
先日、発表された税調答申で、定率減税の廃止を打ち出してきたことに関する感想です。まあ、予想通りっちゃ予想通りだったけど、政府税制調査会長の石弘光が「景気へのマイナスは覚悟の上」とか無責任な発言しているのを読んで、むかついた人、多いと思います。ったく、性懲りもなく、またおんなじことやんのかよって感じ。
97年に橋龍が、景気が後退し始めていたにも関わらず、消費税率を5%にアップするなど9兆円の増税をした結果、どうなったかみんな覚えていますよね。
景気が後退し、株が暴落、株を大量に抱え込んでいた銀行がヤバくなって金融危機が起きる《平成大不況》になった。あの時、補正予算を組んだり、銀行救済に公的資金をぶち込んだりして、正確な額は忘れたけど、何十兆円という税金を使う羽目になったはずだ。
目先のことしか考えない財務官僚の言いなりになって、たった9兆円をわれわれからむしり取った愚挙の挙句が、このザマで、いったい何やってんだ!と天を仰いだもんです。
アレからまだたったの7年しかたってね〜のに、もう忘れちゃったのか?
わたしは経済には詳しくないが、海外の経済関係のメディアは、今、定率減税を廃止するのは自殺行為だ、絶対に止めろ、と論じている。経済オンチぶりが笑いものになっているといっても過言じゃない。
先日、日本のメリルリンチの首席アナリスト、イェスパー・コールという人が香港の英字経済紙に書いた経済コラムを訳したんだけど、そのタイトルは「日本経済の殺しかた」。定率減税廃止は100%、日本経済を不況にするレシピだ、と指摘した内容だった。
コールによると、いろんな経済指標を分析すると、今の日本経済は、雇用は増えているものの収入は増えていない。しかし、サラリーマンが預金を崩して物を買っているから、なんとか消費主導で景気が上向いている状態らしい。
ここで定率減税を廃止すると、一般消費者の可処分所得が1・1%減る。そうなると一気に景気が減速してリセッションになるのは火を見るより明かなんだそうだ。
英国の経済紙「フィナンシャル・タイムズ」も26日の社説に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という皮肉なタイトルをつけ、定率減税を廃止して橋龍の平成大不況をまたやるつもりか、と呆れかえった調子で小泉に警告を出している。今朝の日経にダイジェストが出ていたので、読まれた方も多いでしょう。
日経は例によって味も素っ気もない調子でまとめていたが、原文のほうは過激な表現が何度も出てくる強烈なものだ。まず冒頭に、マルクスがナポレオン3世をコケにする時に使ったヘーゲルのセリフ
歴史は繰り返す。1度目は悲劇として、2度目は笑劇として。
を引用している。今度、橋龍と同じ失敗をしたら、お前らホントにバカだぞ、と言外にほのめかしているのだ。そして小泉に税調のアドバイスを言下に拒否すべきだ。と強い調子で警告している。根拠はコールとほぼ同じです。ちょっと原文の雰囲気を知ってもらうために、最後から2番目のパラグラフを訳してみましょう。
消費のおかげで経済がなんとかリセッションにならずにすんでいる時に、所得税の増税など、それを口にすることすら無責任の極みである。そう、確かに日本の財政の累積赤字は巨大である。しかし、財政赤字を管理できる規模に縮小するための、いかなる戦略においても、経済成長と健全なインフレーションは決定的要素ではないか。財政の地固めに先走ることは、致命的な失敗を招く。
まったく、お説のとおりじゃありませんか。小泉さんよ、あんたの居直りとペテンには心底うんざりしてるが、頼むから、ここだけは突っ張ってくれ。財務省のクソ官僚どもの犬になるな!
11/27/2004 10:23
情報ソース
FT.com : Back to the future
(引用おわり)
確かに5年前は「恒久的な減税」って言ってたよね?恒久の意味わかってない人が多すぎるね。