2004年10月29日

『清貧どケチサバイバル』

7b02e2a1.jpg『清貧どケチサバイバル』浅井隆/あ・うん お勧め度★★★★
(要約はじめ)
 無駄な浪費を見直してどケチを見習おう。バブルで金を儲けた成金でお金の使い方を間違った人たちで今なお同じようにお金を使っている人はいない。自分のお金の使い方について見直してみるべきである。なぜならこれからやってくるハイパーインフレ時代は特に自分たちのお金について今まで以上にシビアになっていないと生き残れないからである。そのかわり自分への投資になるもの、健康に良いもの、貴重な情報に対しては惜しまずお金を使うこと。これがどケチの精神である。
(要約おわり)

 著者の浅井隆は僕が大学生のときから親しんだ経済評論家です。バブルの崩壊を予測し最高値で所有マンションを売却して今なお海外ファンドなどで資産運用を手がける、大した人物だと思います。今でこそ少年マガジンでさえ言われるようになった「国家破産」という言葉は僕が知る限りこの人が最初に言い出したのではないかと思うぐらい、やけに早い段階から日本の破綻を予想しています。ちなみに政府の財政諮問委員である財政学権威の跡田真澄慶応大学教授でさえ、もう国家破産は避けられないと言っているぐらいなので、必ずハイパーインフレはやってくるものと考えて間違いないでしょう。問題はいつのタイミングでしょうか。著者はあと4年以内(去年12月の刊行段階で5年以内ということだった)と言っていますが、こればっかりはわかりません。僕はアメリカの大統領にブッシュが再選すると思うので、彼の任期中は金づるの属国日本を切り捨てるようなことはできず、まだまだこのままずるずる行くのではないかと見ます。でもイラク戦争の失敗でネオコンの力が落ちてきていると言われているので、これも確実とは思えません。いずれにしても今のうちから準備しておくのは非常に大事なことです。インフレは借金している人たちには良いニュースですが、今までコツコツ買いたいものも我慢して貯めていた一般庶民が泣きを見ることになるので、なんとしても最悪の事態は避けたいと思うのです。僕の両親もせめて三男の私大医学部の学費分は守りたいと言っていますし。

 本書では、どケチとはどういうものかをまず説いています。ネガティブなイメージがあるでしょう。しかし。どケチの本拠地名古屋を見てください。今一番景気が良い都市が名古屋です。名古屋学という学問の分野ができるぐらい、彼らは徹底してケチです。関西人よりもケチらしいです。だってカンバン方式を生み出しさらに乾いた雑巾を絞るようなカイゼンを進める天下のトヨタのおひざ元ですから。反対に大阪なんてオリンピックの誘致とか外資系の誘致とかで莫大なお金をばらまいたくせに全く実を結んでません。
 世界を眺めてもどケチのすごさがわかります。本書で紹介しているイギリス系商社のハイパフォーマンスを誇るファンドの従業員は、出張の地下鉄代までチェックされるぐらいのケチぶりだそうです。その本社もスイスの片田舎のぼろっちいビルに入っているというから驚きです。
 結局お金の使い方を知っているかどうかということに尽きるのでしょう。

 これから僕はお寺の財産管理に手を付けます。檀家さんからいただいた大切なお金の管理をほったらかしにしたままインフレで無価値にしてしまうわけにはいきません。資産防衛の観点から海外ファンドや外貨建て資産に積極的に資産逃避させていきます。時間ができれば我々自身の生活資金の逃避も考えなければいけません。行動に移す時期にきたかなと実感しています。

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