2004年09月21日

がんばるぞ!仏教

0a9d4560.dat『がんばれ!仏教』上田紀行・NHK出版 お勧め度★★★
 この本にかなり刺激を受けた。でも一般の人にお勧めするのも変なのでこのレーティングとした。自分の近辺に起きた一代転換をつづり、この本をとりあげた理由を述べる。

 先日、ちょっとしたことから、医者への道を閉ざすことにした。簡単にあきらめるなと怒られるかもしれないが、合理的に考えるとこういう結論にならざるを得なかった。

 理由の第一は、恥ずかしい話だが、医者になりたくなくなったのである。そもそも医者を目指すきっかけも不純なもので、悪く言えばそそのかされたからであり、そもそも自分自身医者になりたいわけではなかった。会社では責任重大な仕事を任されていたこともあって、退職には非常に不満だったが、家族の説得とかもあって、しぶしぶ退職の道を選んだのだ。おじいちゃんを始め、僕のご先祖様の業を消すには医者になるしかないとか言われて、はあそんなもんかと思って勉強したが、所詮は3ヶ月で国公立の医学部には入学できるはずもなかった。今年度になって時間ができたので、医療関係の本をよく読むようになり(今にして思えば去年の時点で読んでおくべきだったかもしれない)ますます医者の世界で自分の生計を立てることに疑問を覚え始めた。でも皆が期待するのでしぶしぶ受験勉強を続けていたし、最近の模試では第一志望の大学が150人中4位という好成績まで出ていた。そうこうしてもやもや感が消えないまま、転換の日を迎えた。結局、今後も医者になりたいという気持ちは出てこないだろうと結論付けた。

 理由の第二は、実家の寺、仏教に興味をもったからだ。この本を読んだ影響をもろに受けたとも言える。確かに、本書で述べられている活動的な僧侶は全体から見るとごくごくわずかだ。しかも何かやろうとして失敗した例なんてもっともっとあるに違いない。でも、やっぱり今の仏教は堕落しており、それに危機感をもっている人は少なくないということは言えるだろう。ウチの寺は田舎にあるので、ここで述べられているような派手なことは却ってする必要はないのだが、「葬式仏教」と揶揄されて坊主丸もうけの現状が今後もずっと続くとは思えないし、僕自身そんなことを続けるつもりはない。本書で紹介されたような活動を参考にしながら、わが町にあったコミュニティを作っていきたい。

 医者になりたくなくなったら、そりゃがんばって合格しようなんて気持ちもどっかに行ってしまう。決定的な影響を与えたのが『患者見殺し 医療改革のペテン』という本。詳しくは明日にでも書くが、ここからはいつもの論調だ・・・、病院の株式会社化、混合医療の解禁なんていう外圧に屈して、世界に誇るべき現在の日本の医療水準が明らかに劣化させられようとしている状況をストップさせることがどうやらできなさそうだからだ。アメリカでさえうまくいっていない株式会社化を無理やり日本で進めて医療費を上げて外資に貢ぎましょうと、またそのおこぼれをオリックスとかセコムというような売国企業がもらいましょうなんていう方向づけがすでに決定されている。もうあほらしくて患者のための医療なんてやってられない。真面目で患者思いの医者ほどバカを見る世界が着実にせまりつつある。同じことを何度も書くが、マスコミはやたらとアメリカの肩を持って国民をミスリードするし、政治家は相変わらず事実を公表しないし、こんな状況で一人正論を吐き続けても潰されるか無視されて終わるだけだ。本当にあほらしくなった。それでも医者になりたいという方は、『患者見殺し 医療改革のペテン』を読んで理解したうえで目指して欲しい。明日はこの本について書く。

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