2005年11月27日

たばこ税は一般財源化すべきという読売の軽薄な思想。それって詐欺の幇助だぞ。

 前回の続きを書こうかと思ったけどいつも批判的エントリばっかりだと旧社会党みたいな印象をもたれると困るので,今日は久しぶりに賛同できる記事を採り上げることにします。

(Nov/24/05 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[たばこ税]「引き上げ論には一理がある」
  • 巨額の財政赤字の削減に,政府がもっと目を向けていい税がある。増税しても経済活動に与える悪影響が少ない酒,たばこなど嗜好(しこう)品に対する課税だ。
  • 代表的な銘柄のたばこ小売価格(20本入り1箱)は,今年1月現在で日本のマイルドセブン270円に対し,イギリスが982円,フランスが621円だ。米国はニューヨーク市で736円,ヒューストン市で376円となっている。
  • 日本の税は,たばこ税と消費税を合わせて171円だが,イギリスは758円,ニューヨーク市は428円を税金で占めている。
  • 仮に税率を倍に引き上げ,消費量が変わらなければ2兆円以上,消費税率1%分に近い増収を期待できる。
  • 自民党の厚生労働部会は,たばこ税の増税を党の税制調査会に要望した。その税収は健康増進対策に充てるというが,使途の特定は予算の硬直化を招く。あくまで一般財源として扱うべきだ。
(引用終了)

 最後の点を除けば,たばこ税には大賛成です。最後の点については後記。

 僕がたばこ税に賛成する理由は,石原都知事もおっしゃっているように生活必需品でない嗜好品の課税を強化することは必要だと思うし,課税することで健康を害する喫煙者が減少することが予想されるだけでなく,副流煙で健康を損なう一般の人たちの肺ガンなどの罹患率も減少するだろうからです。ニコチン中毒の人は高い税金を納めて吸い続けなければなりません。二重の意味でふところを痛めるのも「中毒」だから仕方ないでしょう。

 一方で,酒に対する課税には反対です。嗜好品という位置づけであれば酒もたばこも同じように考えるべきかもしれません。でも酒には一定の健康効果があります。もちろん中毒になるぐらいの大酒については問題外ですが,ストレス解消のための適度なアルコールであれば,かえって健康を増進することも医学的には証明されていることです。庶民の楽しみをお上が奪うという感情的な反対論も当然起こるでしょう。第三のビールにも課税するとか,企業の開発努力を水泡に帰すような近視眼的な政策はいわずもがなです。

 たばこ税の話に戻そう。この社説で僕は始めて諸外国のたばこ税の高さを知りました。何でもかんでも外国と合わせる必要はないにしても,同じ人間なんだから(地域差はあれ体の造りは一緒という意味)たばこが健康を害するリスクが税金として上乗せされるのだと「金融論的」に解釈するのならば,日本のたばこは外国に比べてかなり割安だということになります。赤の他人に副流煙という形で害をふりまくたばこのリスクが日本だけ「低い」という状態を放っておくのはもちろん良くない。もちろん自己責任の範囲内で収まるのなら,これを具体的に言い直すと分煙がきっちり行われるのであればということになりますが,高い税金を収めてもらって思う存分自分の体を傷つけてもらえばいい。毒をまきちらすものを税金という形にして取り締まるのは必ずしも悪いことだとは思いません。

 しかし,一般財源として扱うべきという読売の論調は甘すぎます。たばこ税は国民の全員から徴収するものではなく,自分の体を傷つけてまで国家のために税金を差し出してくれる人たちだけが拠出してくれるものです。そのお金が,日本の破綻財政を支えるための国債費に化けることになるのはおかしい。道路財源の一般会計化を小泉首相は言い出しましたが,それに迎合して特別会計を何でもかんでも一般化しようとする詐欺幇助です。

※道路財源の一般会計化に批判的な新聞がほとんどない。詐欺だという指摘がなぜなされないのか不思議でしょうがない。ここまで小泉礼賛ばかりだと気味悪いし,ちょっと考えればわかりそうなことすらメディアは国民に考えさせないつもりなのでしょうか。
 僕が中学生の頃所属していたブラスバンド部で,楽器を買うための積立費という名目で毎月数千円を皆で出し合っていましたが,いつの間にかコンクール県大会出場を祝うテレホンカード代に化けていて新しい楽器を買ってもらえなかったことを思い出します。ちなみに,それを保護者に指摘された教師はなぜか逆ギレしていましたが(その後別件でこの教師は逮捕されました)。
 もっと下世話な例えを出せば,息子に教科書買うお金を渡しているのに,そのカネで風俗に通うようなもんですよ。こんなことを自分の息子がしたら怒るのが普通ですし教育でしょう。風俗に行きたいのなら自分でカネかせいでそのカネで行けって言うでしょう(風俗に行くなって言うかも?)。
 同じことですよ。将来の道路工事のためにお金を集めたのに,プール金額が大きいからというだけで,これから大量償還を迎える国債の借換えに充当するために一般財源に組み入れることが狙いなんですから。本来の目的に使わないこと(新たな道路を造らないなど)を決めたのなら,拠出してもらっていた利用者に返金するのが先です。

 要するに読売の社説が言うことは的外れというだけでなくて,小泉にすり寄っているだけのまともな論説ではないということです。
 大事なことを書きます。
 なんとしても一般会計にしたい政府はまたしても国民をペテンにかけるために論点をはぐらかそうとしていますが,特別会計そのものが悪いのではないということです。特別会計を自由に差配できるのが,官僚というペーパーテストに強いだけの才能を持った一部の人間達だというのが本質的な問題点なのです。政治家という国民の代表達によって議論される国家予算はたった80兆円の一般会計であって,その4倍近くの特別会計は,名前も顔も知らない自称エリート達によって額が決められて運用されているという状態が異常であり問題なのです。だからいまやっている特別会計改革なんて単なる論点のすり替えに過ぎないんだけれども,読売みたいに本質がわかっていない論者は,小泉に気に入られたい一心で政府の詐欺の片棒を担ぐわけ。だから詐欺幇助と書いたのです。

 特別会計改革がどうあるべきかというのは,何でもかんでも一般会計化するのではなく,政治家の正しい審判を経て決められる制度に変えることです。そんなあたりまえのことすら新聞は書きません。結局は国債費がもうどうにもならないレベルに来ちゃったから,小泉人気が続いているうちに超法規的に何でもかんでも都合のいいようにしてしまえという,その程度の議論に堕して,国民は気付かないまま(気付かせてもらえないまま,というのが正しい)改革者ぶって悪者を成敗する小泉に酔っているだけなのです。

 金融マーケットは正直ですよ。

(Nov/17/05 NIKKEI NETより引用開始)
【外国人投資家,日本株買越額が過去最高に肉薄・累計9兆円】
 2005年の外国人投資家による日本株の買越額が過去最高ペースとなっている。年初からの累計は9兆円を突破し,最高だった1999年に肩を並べた。(略)
 外国人買いの加速は8月の政府・日銀による景気踊り場脱却宣言がきっかけ。それ以降銀行など内需関連銘柄を中心に外国人の「日本買い」に拍車がかかった。
(引用終了)

 こんなに外人さん達が外貨を売って円を買って日本株に投資しているのに(日本株は円でしか変えませんから手持ちの外貨を円に換える必要があります)ここ数ヶ月はものすごい円安になっています。本当なら円高がものすごく進まないとおかしいでしょう。株式相場を一気に持ち上げる演出をさせた程の金額ですよ。それほどの金額の円を外人が買っているのにそれ以上の円を誰かが売っているんです。日本の財政はもうどうにもならんということをマーケットは示しているわけです。もちろん,アメリカの本国投資法の効果もあるかもしれませんが,売られている円は対ドルだけではありませんからね。主要通貨のほとんどで売られていますから。

 さらに言うと,株が上がって底値で買った外人さんたちが今度は売りに回るとき,円が大量に外貨に換えられる可能性があります。円安圧力がさらにきつくなることがありうるのです。まあ実際そうなったら外人達は安い円をバンバン買って東京の一等地とか目ぼしい不動産を買いあさると僕は思いますけどね。

 政府が特別会計の一般化にあがけばあがくほど,問題点がくっきりと浮かび上がってくるはずです。その時期になっても僕のような論述が新聞で見られないのなら,国民の洗脳はほぼ完了している,つまり小泉劇場が再開するということです。こうなったら手遅れです。一般会計化に反対する人たちが一方的に悪者にされてマスコミが煽って悪者が成敗されて国民が喜ぶ・・・そういう構図の焼き直し。

 ありゃ。結局批判になっちゃったか。
 進歩しなけりゃ生きてる価値がないと思いますけどね。時節に流されるだけの国民には僕はなりたくないなあ。本当のことを知らされずに三流新聞の論説にコロッと騙されてしまう国民になってしまわないように,日ごろから情報リテラシーを磨きたいもんですね。

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