2005年11月22日

僕は株はやってませんよ。しつこいですが。

 僕の資産運用についてどうも誤解されている方が多いようなので,ここではっきりと言明しておこうと思います。間違った情報で僕の名誉が傷つけられる事態に及んでいるからです。

 まずは投資に関する僕の基本的な考え方から。
 僕の本業は坊主です。ですが,寺の財産をリスク商品で運用するなんてことはありえません。あくまで僕個人の資産のうち,「なくなってもかまわない」と思っている金額をリスク商品として運用するものです。当然ながら「なくなってはいけない」資産は安全運用にしています。また,当然ながらそういう資産はひっくるめて自己責任で運用しています。

 本業に集中できなくなるような投資は,はっきり言えば有害です。金融機関の職員なら本業が資産運用なので本気で情報収集や分析することが仕事になりますが,僕にとってはリスク資産での運用は趣味であり勉強でしかありません。金融機関の職員でないにしても相場師じゃあるまいし,ずうっと相場につきっきりなんて性に合いませんから,今流行のデイトレーダーでもありません。ここは絶対に誤解して欲しくない点です。

 それから,投資の対象について無茶苦茶誤解されているのですが,しつこくここでもあっちのブログ(→リンク)でも書いているとおり,「株」はやりません。グローバルソブリンなどの「投資信託」(ファンド)もやっていません。「FX」(外貨証拠金取引)しかやっていませんし,他のことをやる余裕がありません。
 株で儲けているなんていう噂がたって非常に不愉快です。まったくノータッチですから。

 なぜ流行の株式投資をやらないか?
 答えは単純「わからないから」。
 知らない商品を買えますか?チャートを見て上昇しているから(今後も上昇するだろう)っていう理由だけでその会社の株を買えますか?
 答えがYESの人は別にそれはそれでいいと思いますが,僕はそうは思わないので,株はやらないんです。知らない会社の成績なんて興味もないし勉強しようとも思わないので。楽しくなけりゃ趣味じゃないでしょ。

 もう一つの理由をあげるなら,「政府のプロパガンダの手伝いをしたくないから」。
 どういうことか説明しよう。小泉政権になって竹中大臣が構造改革とか小さな政府だとかのデフレ政策を強力に推進したので,株価は急落して日経225は7,000円台まで下落しました。それでも,彼らは日本人の「勧善懲悪・水戸黄門大岡越前選好」を利用したプロパガンダを展開して,テレビ・新聞などの主要メディアを通じて,政敵を悪者にしたてあげて自分たちを正義の味方だと信じ込ませることで,事態を誤魔化しながら天下を握ってきたわけです。電通という巨大広告会社に牛耳られた大手メディアはワイドショーと小泉礼賛しかできなくて,彼らの言動を信じるしかない「B層」有権者達によって,ついには国民の9割が本当のことを理解していない郵政民営化なんていう穴ぼこだらけの法案を通してしまった。350兆円もの資金を自由にできる権利がどうしても欲しい外人達は,援護射撃として,衆議院解散直後から小泉応援のための日本株買付けを開始し,ついには日経225は小泉就任時点の水準にまで戻ってきたのです(実際に民営化法案が否決されたときに株価は急落して,衆議院解散されてすぐに外人達が買っている事実を見れば,法案可決のための世論誘導を目的とした景気回復報道が必要だったことは間違いないでしょう)。株価回復=景気回復というロジックで,小泉・竹中の構造改革が成功しているという演出をする必要があったから,外人が大量に買って,それを新聞とか株雑誌があおって個人を引き込んで今の株高が演出されているのです。
 そういうプロパガンダに乗って儲けることがいけないことだとは当然思っていません。騙されていた方が幸せっていうこともありますし,事実,今まで株を買っていた人たちは儲けていることでしょうから。でもこれじゃあバブルのときと一緒じゃん。周りの人が儲け出したから自分も乗り遅れないようにしよう,簡単に儲けられるよっていうノリの本しか売れていないし,学校での投資教育が進んだわけでもないし。本当に自己責任っていう言葉の意味をかみしめて株に投資している人がどれぐらいいるのだろうと僕は心配なんです。ま,そうはいっても他人が自己責任だと思い込んでやることですから心配したところでどうしようもないですがね。

 へそまがりな僕はどう考えたか。この政府プロパガンダを利用してやれ。
 本当に景気が回復していたら,即刻,ゼロ金利なんていうバカな政策にピリオドを打たないといけません。政府はいまだにデフレが抜けたかどうかわからないという理由で日銀に圧力をかけ続けていますが,デフレが抜けていないのに景気が回復しているなんていうからウソがばれるんです。金利を上げたくないならそう言えばいいのに,本当のことを国民に知られたくないから,過去のゼロ金利解除のときの失敗をあげつらっていろんな理由を引っ張り出しては愚かな政策を続けようとしている。彼らはここまで借金が膨らむとは思っていなかったんでしょうねえ。本気で構造改革で景気が良くなると考えていたようですし。マクロ経済学をちょっとかじればウソだってこと,大学生でもわかりそうなもんでしょ。
 こりゃあ,ゼロ金利はしばらく続くな。福井総裁がどう考えているかは知らないけど,財務省とアメリカの意を酌んだ武藤副総裁が簡単に解除させるわけがない。となれば,これを利用して外貨との金利差(スワップ)をいただいてしまおう。ということでFXでスワップ中心の投資をやろうと思ったわけです。
※注:実際には今年の3月からFXを始めていますが,当初からスワップ中心の運用を考えていたわけではありません。小泉マジックのカラクリが透けてきた8月ごろから運用スタイルを変更しました。

 消費税率が上がる,サラリーマン増税が待ちかまえている,社会保険料は増額される,こんな状況で金利上げれますか?住宅ローンの支払いまで増えたら,まとまな家計でさえ破綻リスクに直面して,健全な消費活動だって望めなくなりますよ。
 そうは言っても,これまで以上に海外との金利差が開いてしまうとゼロ金利が解除される可能性も出てくるでしょう。先週末からユーロ金利を定めるECBの総裁が利上げについて言及していましたしね。

 株投資をしようと思わない理由はまだあります。FXに比べてメリットが小さいというものです。
 例えば,利益確定しないと複利効果がないとか,東京市場が開いている時間しか取引できないとか,「買い」しかできないとか。いろいろ僕なりに調べてみて「株は面白くない」という判断を下しました。

 株なんてハイリスクハイリターンのギャンブルだから,っていう古くさい理由でやらないのではないですよ。FXだってギャンブルですから。ただし自分でリスクをコントロールできるという利点をもったギャンブルはそれほど多くありません。僕がFXを選んだのはリスクコントロールが可能だからという理由も大きいのです。だって本業じゃなくて趣味で投資するんだから。
 リスク商品ってのは確率に投資するものなので,どんな美辞麗句を並べたってギャンブルです。ましてや短期的な利益を狙いに行くデイトレード,スウィングトレードなんてギャンブルそのもの。パチンコ・競馬・競輪・競艇と同じです。同じギャンブルなら,わかりやすくって読みやすい商品に投資するのが当然でしょう?馬が好きな人は馬のことをしっかり勉強して競馬をやるだろうし,株が好きな人は会社の状況をしっかり勉強して株をやるでしょう。僕は為替が好きだから(銀行員時代に体験して面白さを知ってしまったから)FXをやる,ただそれだけです。

 FXで儲けているって言われるならともかく,株で儲けていると言われるのは心外です。ブログでも儲けを公表しているぐらいFXについてはオープンなんですから,言うならそっちで言ってもらいたいもんです。株はしばらく時間と興味がないのでやりませんよ。

この記事へのトラックバックURL