2005年11月05日

財務省は景気回復なんてして欲しくないんだ だから増税するんだ

 サラリーマン増税から目が離せなくなってきました。今日は増税の話題をからめて,せっかく大企業の景気が回復してきたのに,なぜわざわざ景気の腰折れ政策をとるのかについて持論を展開したいと思います。

(Jun/24/05 東京新聞より引用開始)
【サラリーマン“増税”→GDP押し下げ】
『控除縮小など慎重に』
 第一生命経済研究所は二十三日、サラリーマンの必要経費に当たる給与所得控除を現在の三分の二の規模に縮小するなどした場合、「国内総生産(GDP)は実質で年率0・4−0・6%押し下げられる」との試算をまとめた。政府税制調査会(税調)は数年内の実現を視野に、給与所得控除(年収五百万円で百五十四万円)や配偶者控除の見直しを提言したが、各種控除の廃止・縮小に一気に踏み切れば景気に大きな影響が出そうだ。
 同研究所の熊野英生・主席エコノミストが(1)給与所得控除を三分の二に縮小(2)十六歳−二十三歳未満の子供を持つ納税者に、控除の割り増しを認める特定扶養控除を廃止(3)定率減税を廃止−の「三つの増税」を一度に実行した場合の景気への影響を調べた。
 試算では、個人が自由に使えるお金を示す可処分所得は、給与所得控除の縮小で二兆二千七百億円減少。「三つの増税」の合計では四兆一千二百億円減る。
 これにより「増税」の実施一年目の実質GDPの成長率は、年率で0・4%、個人消費は0・7%押し下げられる。二年目は給与所得控除の廃止などに伴う影響が設備投資や輸入の減少にも波及するため、実質GDPは0・6%、個人消費は1・1%押し下げられる。
 二〇〇四年度の実質GDPの成長率は1・9%増、個人消費は1・2%増だった。熊野氏は「各種控除の廃止や縮小は、賃金の改善具合を確認しながら慎重に行う必要がある」と指摘している。
(引用終了)

 シンクタンク1社だけの見解を全面的に支持するつもりはありませんが,増税して景気が良くなったという話は過去にも他国でも聞いたことがありません。ではこの時期に増税案を出してくる理由は何でしょうか。
 副島隆彦はアメリカのためのウォータックス(戦争税)だと論じていますが,一理はあるにしてもにわかには信じがたい話です。僕は,財務省が日本の景気が回復して欲しくないと考えているからではないかと思っています。

 どういうことか説明しましょう。景気が回復するということは,消費者はじめ経済主体の消費活動が活発になって,企業などが積極的に設備投資や事業拡大を期して資金が必要になるということです。資金需要が高じると金利は上がります。金を貸す方から見ればこれは明らかですね。

 金貸しの代表である銀行は企業に貸すお金を用意しないといけません。では急に預金を集めるかというとそれは無理なので(長期的には低利調達というメリットを享受するために預金金利を上げてきます)いままで債券とか株とか投信などに投資していたマネーを回収(売却)することになります。
注)?銀行にはたくさんお金があるんじゃないの?というツッコミ大歓迎です。複式簿記を理解すればそのツッコミが間違いであることはすぐわかりますが,おそらく国民の大半が,なぜ銀行にお金がないのか説明できないのではないかと思います。集めたお金は株とか債券とか投信とか不動産に化けているという事実をしっかり理解してください。お金のまま置いていても増えませんからね。

 さてでは何が優先的に売られるでしょうか?株?そんなはずはありませんね。景気回復が見込まれるのに真っ先に株を売るようでしたらその担当者は銀行の中で出世はできません。ここでは債券が中心に売られます。特に回転売買の激しい国債が売却対象の中心になります。すぐに使える(貸せる)金を準備するために国債を売るんです。

 ここで売らなければどうなるか?他の銀行が売ってきます。当然ですね,他の銀行にも借入の打診はたくさん入っていますから,どこもお金を用意したいので国債を売ってきます。そうすると債券価格は下落していきますから,保有している国債の価値も下落することになります。そうなってはまずいのでやっぱり早く売ります。

 こうした実需を起因とした債券売却の他にも,投資マネーも安全性重視だった債券取引から高利回り期待の株式投資にシフトされます。つまりどんどん国債が売られて金利はどんどん上がっていくことになります。実は今,アメリカがちょうどその状態にありますし,日本も何年かぶりに長期金利が1.6%を超えてきています。

(Nov/04/05 Nevada経済速報より引用開始)
【金利の上昇】
 5年米国債  98.6875% 利回り 4.54%
10年米国債  96.6875% 利回り 4.65%
 今、米国金利は、FFレートで4.0%にまで引き上げられ、市場金利も上記のように4.5%を越えてきています。
そして、同時に、額面の100%を大きく割り込んできており、米国債を保有している個人・機関投資家・投信は、膨大な含み損を抱えはじめてきています。
最も信用力がある米国債が<額面>を割ってきているのです。
そして、FRBは今後も利上げを継続していきます。
膨大な含み損を<債券ファンド><債券投資家><機関投資家>が抱えています。
そして80兆円にも上る米国債を保有する【日本銀行】も同様です。
額面を10%下回るだけで【日銀】は8兆円を越える含み損を抱えることになるのです。
中国も同様です。
この含み損を回避しようと売却に動けば、額が膨大なだけに更なる値下がりを招くことになります。
もはや動くに動けない状態に追い込まれているのです。

この先、金利が日本でも上がっていくのは必至であり、含み損拡大を前にただ呆然とする投資家が出てくることになります。
そして、ぎりぎりまで持ちこたえて、もう駄目だと投げを打てば、債券価格は急落し、これが売りの連鎖反応を生み、国債・債券価格は更に急落していくことになります。

今、円がじわりじわりと売られ、今日は117円台にまで下落してきていますが、その理由の一つにはこの金利引き上げリスクがあります。
0%金利で日本経済は回復したかのような幻想を見せていますが、この0%金利が終わり、金利が上昇してくれば、日本経済、なかんずく、日本の金融機関の自己資本など一瞬にして吹き飛びます。
いつまで宴が続くでしょうか・・・。
(引用終了)

 必要以上の破綻リスクにおびえる必要はありません。でも水面下ではこういう動きがすでに起こっているわけで,日本やアメリカのように莫大な財政赤字を抱えて国債を乱発しているような国の金利上昇リスクというのは非常に高まってきているのがわかります。
 ではなぜアメリカの通貨ドルが独歩高になっているのかという疑問も起こります(今週末でついに118円を突破しました!)。これは簡単にいうと日本の郵政民営化で米国債は買い支えられるだろうという見方が強いのと,グローバルソブリンなどのドル建てファンドの人気が強くてやっぱり米国債が円との交換で変われているからです。それでも全体として売り圧力が強くなっているので債券価格は下落するわけですが,これはドル同士の売り買い(ドル通過での株と国債の売買)の結果だから為替の影響はありません。まとめると,日本人が米国債を買う一方で,アメリカ国内で売られた米国債は株とか他のドル建て資産に変わっているという現象です。

 これらのとばっちりを受けるのは日本だけ。国際金融という観点で見ればそれもそのはずで,日本国債は発行残高の95%を日本人や日本の機関投資家が保有しているので,大事になったとしても損をするのは日本人だけだからです。ドルの場合はそうはいかない。世界中が大混乱になりますから。

 ちょっと脱線しました。こうやって景気が回復してしまって金利が上がってくると財務省は困るのです。これからどんどん国債を市場で売りさばいていかないといけない立場の財務省は,金利が上昇してもらったら困るんです。毎年100兆円ぐらい新たに国債を発行していますが(借換債含む)その時に金利が上がっていると利払い負担が上昇して,小泉構造改革による歳出削減とかのちっぽけな効果を消し飛ばしてしまいます。それぐらい危機的な国債発行残高であり,金利上昇というのはそれぐらいのパワーをもっているのです。上記レポートはそういう心配をしているわけですね。

 だから長期的に見ればおそらく今以上の円安が進むんだと思いますが,財務省としては金利が上がるよりもその方がいい。なぜなら保有するアメリカ国債などの為替差益が膨らんでいくという副次的効果もあるからです(米国債の金利上昇による差損をカバーするか和らげる効果)。ま,持っていても売れないので「含み益」に過ぎないわけですが,時価評価すれば日本の財政は表面上かなり改善しているように見えるわけですね。おっと,忘れてはいけません。サラリーマン増税もありますから,ますます改善が進んでいるように見えるでしょう。

 まとめます。円安によって保有米国債の為替差益という含み益が上がり,増税によって景気をわざと腰折れさせることで長期金利上昇をおさえて利払い負担を軽減し,増税のおかげで税収もアップする。一石三鳥ですな。

 僕は今回の増税についてこのように考えます。やっぱり黒幕は財務省。郵政民営化だってそうでしたし(そもそも郵便局が悪者にされるいわれはないはず)。自分たちの財投改革の失敗の責任を郵便局になすりつけたい財務省と,郵政族に積年の恨みを晴らしたい小泉首相と,郵政資金がのどから手が出るほど欲しい国際金融勢力の思惑が完全に一致したから,無茶苦茶な法案が簡単に通ってしまったのでした。今回の増税も同じようにいくつもの利害関係が一致して強力に進められるでしょう。それに気付いた国民はいろいろと対策をとらねばなりません。

 ま,破綻をあおるようなことは僕はしたくありませんけど,この財務省の小賢しい低金利政策を逆手にとってなおかつ円安による利益を目一杯享受しようとして目をつけたのが外貨証拠金取引(FX)なんです。おかげさまで利益は確実にあがってきています(→ 参照)。早めに手を打つことが肝心ですね。

 最後に,庶民の夢を隅々まで打ち砕くこういうニューズを紹介して終わります。

(Nov/03/05 asahi.comより引用開始)
【「第3のビール」増税論議、はや「第4」封じ策 財務省】
 財務省は06年度税制改正で、ビールメーカー各社が酒税率を低くする狙いでビールに似た酒を開発するのを抑える税改正の検討に入った。「その他の雑酒」の税率引き上げ案が有力となっている。現在検討している「第3のビール」の増税を実施しても、メーカーが別の製法や原料で「第4のビール」を開発する可能性があるからだ。低税率のビール風飲料の製品化と、それを標的とする増税の「いたちごっこ」に終止符を打つ狙いだ。
 大手ビールメーカーは昨年以降、エンドウ豆などを原料に、ビールにも発泡酒にも分類されない「第3のビール」を相次いで発売。その多くは1缶あたりの税負担率がビールの半分程度の「その他の雑酒」に分類され、缶ジュース並みの安さで売り上げを伸ばしている。
 一方、税率の高いビールや発泡酒の出荷は減り、酒税の税収は9月まで7カ月連続で前年水準を下回った。税収減に歯止めをかけたい財務省はビール減税とセットで第3のビールの増税を検討している。第3のビールは「その他の雑酒」の分類から外し、ビールや発泡酒と同じ「ビール類」とするか、チューハイ(リキュール類)などと同じグループとし、別の税区分に組み入れる方向だ。
 これと合わせて、どの酒にも分類されない「第4のビール」が今後出ても既存の酒より税率が低くならない税体系に改正する方針だ。
 第3のビールの増税には消費者やビール業界から「大衆課税強化」との批判が上がっており、年末の与党の協議次第で改正が先送りされる可能性がある。同省は、その場合でも、第3のビールの税率を別扱いにして据え置いた上で「その他の雑酒」の税率を上げるなどして、「第4のビール」の芽を摘む税制改正だけは実現させたい考えだ。
 第4のビール阻止の動きに対し、大手ビールメーカー各社には「税率に振り回される開発競争に歯止めがかかるのは歓迎」と評価する声と、「多様な商品開発の足かせになる」と懸念する声が入り交じっている。
(引用終了)

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