2005年09月24日

郵政民営化は政官財の思惑が一致したからこそ強力に推進されるのだ!東京新聞の記事でようやくわかった。

 前日にカトリーナの話をしばらくしよう,なんて書いておきながら,今日はまた郵政民営化の話をしよう。ようやく東京新聞(中日新聞)という比較的まともなメディアが大手メディアを差し置いてまっとうな意見を載せるようになったからです。早速その記事を紹介しよう。

(Sep/23/05 東京新聞より引用開始)
【何のための郵政民営化か 世川行介氏に聞く】
※世川行介氏:大和証券勤務後,実家の特定郵便局を継ぐため,島根県に帰郷。29歳から13年間,3局の局長を務める。渡切(わたしきり)費問題の告発を企てたことをきっかけに郵便局を去り,米穀商などを経て作家を目指す。53歳。
※引用者が要点を箇条書きにしています。原文は上記リンクを参照ください。
    「民営化することは構わない。でも,財政の無駄遣いを減らすことが改革の主眼なら,官僚支配をつぶすことが先決だ」。これを問わない民営化法案は無意味だ,と世川行介氏は語る
    世川氏は今回の法案では国民への恩恵などないとみる。与党は二十八万人に及ぶ国家公務員である郵政職員の人減らしを説いた。しかし,郵政事業はトータルで黒字であり,その給与も税金で賄われていない。
    しかし,首相の執念はともあれ,財界からの熱望もない状況で,誰が民営化を強く押したのか。世川氏は「財務官僚には動機がある」と指摘する。きっかけは「二〇〇八年問題」と呼ばれる国債の危機だ。
    破綻(はたん)寸前の財政運営が続く中,ことし三月末で国債や国の借入金残高は七百八十一兆円に上った。このうち,郵貯,簡保はその資産の52%,総額で百七十二兆円(今年七月末現在)を国債購入にあてている。
    償還できない国債は借換債に借り換え,その場をしのぐ。しかし,その額は〇八年度には単年度税収分の約三倍,百三十四兆円に達する見通しだ。
    この年度には他に新規の国債や地方債,財投債も発行される。「総額は二百兆円に達しかねず,消化しきれるのか,が懸念されている。
    国債の暴落は民営化とはかかわりなく,国債を大量に引き受けている郵貯と簡保を直撃する。民営化されていれば,破綻,崩壊(倒産)という最悪のシナリオすら否定できない。
    世川氏は「そもそも,郵貯,簡保の肥大化が民業を圧迫しているというが,それを進めたのは財務(旧大蔵)官僚たちだ。一九八五年のプラザ合意で米国から『輸出より内需』と政策転換を迫られた。その資金に国民のタンス預金が集められ,郵貯は肥大化した。資金は公共事業や公益法人に回され,バブルは崩壊。焦げ付きの責任はほおかぶりしたままだ」と指摘する。
    さらに「郵貯,簡保資金の無駄遣いが本質的には問題だったが,その使い方を決めてきたのは他でもなく財務省。その出口部分は改革が乏しく,国債を垂れ流してきた結果が今日の状況だ。国債が暴落し,郵貯が崩壊しても国の借金はその分,軽くなる。泣き寝入りするのは国民。政府は『自己責任の時代』とでも言うのだろうか」と懸念する。
    原則論では民営化されていれば,国に責任はない。世川氏は「国債暴落,郵貯崩壊の責任逃れのため」に民営化が急がれたのでは,と疑念を呈す。
(引用終了)

 なんともまあ,先日の勉強会で述べた僕の指摘そのものです。内部事情に詳しい人が口を開けば,これまで僕のような一民間人の推論にすぎなかった結論の確度が一気に高まってきます。この瞬間のなんと清々しいものか!調べた甲斐があったなあという思いは隠せませんが,まあそれは置いておいて。それよりも大事なことは,ではどうしていくべきか?ということ。このまま過去何度も繰り返されてきた官僚の責任逃れを今度も見逃していいのか?
 先日の勉強会でそういう熱い話をしたところ「そんなこと言ったって彼ら(財務官僚達)が責任とるわけない。バブルの犯人探しをするようなものだ。」という意見をいただいたことを思い出します。でも仮にそうだとしたら,いったい政治の役割って何なんですかね。小泉首相や竹中大臣が声高に批判する「役人天国」を擁護するってことですからあなたは立派な抵抗勢力ですよ・・・なんてね。こんなこと言うと不毛な議論が広がっていきそうだったので言いませんでしたが。

 官僚の全てが悪いなんて僕は思っていません。実際,優秀な彼らのおかげで日本は回っているわけだし。ただ,今回の郵政民営化の問題は,財務省の責任を全て郵政の責任にすり替えて,そのうえ財務省はだんまりを決め込み,郵政だけが一方的に悪者にされているという構図にあるのです。これは捨てては置けない,本物の悪をこらしめてやらねば!と思う人こそが本物の「保守」でしょう。だからこうして僕はブログに意見表明をしているわけですね。ま,影響力は乏しいですけど・・・(^^;

 さて,事実関係をおさらいすると,年間の税収の3倍以上にものぼる借換債の消化懸念が2008年にやってくる(小渕の呪い)。法案通りいけば2007年に民営化されるわけですが,大量に国債を買ってくれていた郵貯簡保が2008年の直前に民営化されていて,旧勘定の資産運用を一任されている会社が超超低利回りかつ先進国中最低の格付けを誇る我が日本国債を売ってしまったら,冗談ではなくえらいこっちゃということになります。でも財務官僚は知らん顔。だって民営化されてるもん。我々の責任ではないよ,と。

 そしてIQの低い「B層」国民に対するプロパガンダ作戦が奏効して見事勝利を収めた小泉首相(→参考)は,悲願だった旧田中派の解体に成功。1000ページを超える「郵政民営化法案」の一体どれだけを首相が把握できているのか知りませんが,「郵政改革は政策ではなくて政治なんだ」とのたまった首相のことです,中身は竹中大臣などに任せて自分は敵対派閥潰しだけにとりかかっていたのでしょう。だから数々の法案の問題点を首相につっついたところでまともな答えが返せるわけがないですね。だって彼にとっては政策じゃないんだから。

 最後はアメリカから毎年突きつけられる「年次改革要望書」などの,いわゆる国際金融組織からの要望。郵貯・簡保の330兆円の運用をどうにかして握って好き勝手に相場をいじれる影響力をもちたいという人たちですね。アメリカ国内の年金破綻懸念問題に使われるのか,イラク戦争の資金調達に使われるのか(いずれもアメリカ国債を買わされるということ),はたまた,民営化後の新会社から運用手数料をふんだくるためなのか,はっきりした目的はまだわかりませんが,確かなことは目の青い人たちが熱烈に郵政民営化を望んでいるということです。

 さて,見事に3次方程式が解けたような気がしました。つまり,郵政民営化って何が本当の目的で誰が得をするの?という解を僕なりに解くことができたということです。わかりますか?

 財務省は自分たちの責任問題にしたくないから郵政を悪者にしてさっさと2008年の呪縛から解き放たれたい。小泉首相は長年にわたって邪魔されてきた郵政の集票システムや主君福田の敵田中派の解体を心底望んでいた。アメリカは自国の財政赤字をファイナンスするためか,巨額資金をマーケットに投入することであらゆる相場を握るためか,日本国債の命運を握るためか,なんせ郵政民営化はなんとしてでも進めろという命令を日本に送り続けてきていた。これら政・官・財(アメリカの,ですが)の思惑が一致してトリプルタッグを組めば,そりゃどんな反対を叫んでも敵いっこない。小林興起や城内実がいくら正しいことを言ったって,財務省出身の片山さつきとか,外資系證券会社出身の佐藤ゆかりには敵いっこない。そういうことです。

 3次どころか瑣末なものも加えれば,さらに高次元の方程式を作って解くことができます。例えば,数々のスキャンダルを暴かれながらも強力な圧力がかけられている大手メディアの規制のおかげで大臣を辞めないですんでいる竹中大臣は,おそらくアメリカ政府の日本担当班からも多くのスキャンダルを握られていて,彼らの言う通りにしか動けなくなっていること。「民業圧迫」という錦の御旗を振りかざして郵貯・簡保のおいしいところだけもらおうと考えている銀行・生保業界の発言などです。
※竹中大臣は衆院選挙中に刑事告訴されているんですけど,知ってましたか?
日刊ゲンダイ:三澤千代治元会長 竹中大臣を「職権乱用罪」で刑事告訴 ミサワホーム“買収”仲介疑惑

 郵政民営化に賛成する人達のうち,IQの高い人たちは自分たちが儲かると判断しているから賛成しているだけのことで,国家国民のことなんて考えている余裕はないんですね。郵貯・簡保が持っている国債の運用の自由をどう考えるか,2008年の借換債の問題をどう解決するつもりなのか,それらについて突っ込んで意見表明している賛成派の人を見たことありませんから。石原慎太郎都知事にしたって2人も息子を自民党に人質にとられているから民営化賛成と言わざるを得ない立場になっちゃったし。一方でIQの低い人たちは「B層」戦略にまんまと乗せられて,小泉改革=善,抵抗勢力=悪の勧善懲悪・水戸黄門現象のまっただ中で,黄門様に喝采を送っている状況です。その実,強きを助け弱きをくじいているニセ黄門様なんだけどね。

 今日の暴きはこれぐらいにしておこうかな。それにしても新聞読んでいるだけでは本物の情報は入ってきませんね。暴露本が出るのを待っていては旬を逃しますし。ネットの情報は玉石混交ですが,玉と石を見分ける力を磨けばこんなにすばらしい情報ツールはありませんね。活用しないと損だと思います。Macを使った情報整理術なんかも別のブログで紹介していこうと思っています(でもいつになることやら・・・)。

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