2005年09月10日

「情報」へのアクセスに能動的な人間しか真実を知り得ないという時代における投票の意味って?

 明日は投票日。新聞を読んでいる限りではもはや大勢は決したようですね。だからもう今日を最後にして郵政民営化のことは書きません。国民が大事なことを何も知らされずに政府のプロパガンダに乗っかってどこに投票しようと,僕は知らん。
 
 さて,今回つくづくマスコミの怖さを体感しました。怖さっていってももちろん身体的・精神的な怖さではなくって,マスコミが一斉に右を向いたら国民のほとんどが右をむくんだなあということがわかったこと。原因はいいくつかあるんだろうけど,一番大きな原因はほとんどの国民が情報を受動的にしか利用していないということでしょう。

 毎日届けてもらう新聞とか,何気なくスイッチを入れるテレビとか,数十年前と何も変わらない方法でしかほとんどの人々は情報にアクセスしない。マスコミの役割がきちっと機能していればこのこと自体が悪いわけではないけれど,今回のように産経新聞から朝日新聞まで一斉に郵政民営化マンセーの記事・社説が揃うような不気味な状況が出現すると,情報への受動的なアクセスという態度をとればとるほど人々は容易にミスリーディングされてしまう。文明の機器はものすごい勢いで進化しているのに,それを使うほうの人間が全く進歩していないんです。平和ボケ?それもあるでしょう。でも,基本的にはマスコミ性善説を盲目的に信じ込んできたところに根源的な原因がありそうです。

 小泉・竹中が郵政民営化法案の中身を具体的に語りましたか?嘘ばっかりのプロパガンダしか発していないし,この事実すらも大手メディアは書き立てない。マスコミは読者・視聴者に知らせようという気概が一つも見られないし(アメリカの保険業界などから日本の報道機関に千億単位の金が入っているという陰謀論まがいの情報までありますが),一方で人々は大手マスコミ以外の情報なんてゴシップ程度の扱いしかせず,質の良い情報は待ってたら向うからやってくると未だに思っている。自分たちの方から情報を探ろうという動きは,一部の「自分の頭が理解できないことを放っておけない」人たちを除けば非常に小さい。

 自分が理解できないことをなんとかして理解したいという欲求を持ち続けることが出来る人ならば,こんな茶番劇みたいな郵政民営化に賛成できるわけがないと思います。そして,その時点でなぜマスコミはこっちが疑問に思っていることを書かないのかと不思議になるでしょう。その時点でマスコミ性善説を疑ってかかる準備ができるのですが,理解したいという欲求をもたない人はその準備ができない。理解できないことを放っておくのか,理解したいと思って自分で調べようとするか,この部分が一番大事なわけですが,まさにこれを境にして郵政民営化法案の受け取り方が分かれるでしょう。理解を求めることをやめてしまう人たちにとっては,他人事だからどうでもいいという判断をするわけで,結局は賛成だろうと反対だろうとどっちでもいいはず。逆にどうも政府の説明が腑に落ちなくて自分たちでいろいろ調べる人たちは,いかに政府が正しい情報を国民に与えてこなかったかということに気がついて,とても賛成しようとは思わないでしょう。

 ま,そうはいっても難しいのは,だからといって自民党はダメだとか言い切っていいのかどうかという点です。小泉は今回の選挙は郵政民営化が最大の争点だと言っているので,法案反対なら自民党に入れてはいけないということになってしまう。でも実際はそんな単純なものではない。年金問題は大事だし,自民党候補者が全く語らない拉致問題を横において選挙すべきではないから。じゃあどこに投票するの?民主党?ふざけないで。中国利権に繋がった烏合の衆を応援する気はない。うーん。総合的に判断してどの政党に入れるかを個別に判断するしかない。

 なんだか教科書的な結論になって全く面白くないね。ま,ようするにその判断の材料が,情報を受動的にしか利用できない人と,自らの好奇心を失わず能動的に情報にアクセスしようとする人とでは,量と質の両面で比べ物にならないぐらいに差が出てしまうしまうということ,これって放って置いていいの?という話なんですが,今日は時間がなくて文章走り書き。結局言いたいことがまとまらないままエントリを閉じてしまいそうです(笑)。

 日本の国益という大きな枠組みで見た場合,やみくもに雰囲気だけで賛成!に回る国民にだけはなりたくないなあとだけ言っておきます。あと,最後に小泉政権になってから各種の経済指標・社会統計がこんな感じで推移していますよという説明リンクを紹介して終わります(→参考サイト)。

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