2005年09月02日

『騙しのカラクリ』

41db3c17.jpg横田濱夫『騙しのカラクリ』角川文庫 お勧め度★★
(内容紹介はじめ)
 子供を芸能界デビューさせたい!でも今からレッスン始めるには遅すぎる。そんなとき「ウチは厳しいですが夢を叶えられる環境が整っていますよ」なんて言われたら飛びついてしまいませんか?本書ではそんな人の弱みにつけこんだ悪徳商法の事例をたっぷり紹介します。老人訪問介護制度を悪用した泥棒,NPO団体を装った詐欺など,その手口はどんどん巧妙化してきています。どのような点に留意すべきか事例を通して学んでおこう。
(内容紹介おわり)

 著者はおなじみ「はみだし銀行マン」。でも実務から遠ざかってしまったからでしょうか,最近切れ味が鈍くなってきたかなあと思っていましたら,案の定,本書もいつもの著者らしさが見られない内容となっていました。良く言えば上品になったなあと。「べらんめえ」調のはみだし銀行マンシリーズに慣れてしまった僕にとっては物足りなさを感じてしまいました。

 本書の内容は,最近巧妙になってきた悪徳商法の実例紹介。一つのエピソードのあとに著者が対策案を並べていて,それを覚えておけば騙されるリスクを軽減できるだろうという作りになっています。うーん。でも物足りない。もっとグサグサっと悪徳商法業界のタブーに踏み込んで,逆に彼らの弱みを突いて撃退するなんていうアドバイスを期待していたのだが・・・。角川の方針なのかな。上品すぎて迫力がない。

 とはいえ読者が感情移入しやすいような被害者の描き方はなかなか面白い。これは「べらんめえ」調ではない利点とも言えるので,純粋に著者のファンだという僕のような場合を除けば,本書で紹介される事例は十分参考になるでしょう。物語仕立てで「僕(私)でもこういう状況だったらそうするよなあ」と思わず納得してしまうような事例も見られますので,騙される前の予備知識として頭に入れておくのも良いでしょう。お勧めターゲットとしては大学生とか新入社員。一番足下をすくわれやすい年代ですから,社会の悪知恵を本で知っておくのには良いと思われます。それ以降の年代の方々は,騙されるのも経験ですから特にお勧めはしません。

 内容のネタバレを少々しておこう。本書で示される事例は「子役タレントオーディションの罠」「夜の生活を楽しくするサプリメントと秘密クラブの誘惑」「狙いは子供部屋!シックハウス商法」「別荘地の販売代行,騙しのテクニック」などなど。そういやウチにも電話がかかってきたことあるなあとか,本屋とかで声かけられたことあるなあとか,意外と身近にありそうな話題が多いです。でも本書を読む限りでは,相当に騙しのテクニックが巧妙になってきているなあと感じます。敵もさる者。どう言えば相手の警戒感を解いていけるかなどのテクニックをきっちり研究しているのでしょう。少しでも弱気なところとか,逆に乗り気なところを見せてしまうとどんどんと引き込まれていってしまう話術なんかは,口下手な僕から見たら良い方に使えばいいのにっていう能力なんですけど,やっぱり悪徳商法の方が割が良いのですかね。悪貨は良貨を駆逐するってか。

 文庫本は読みやすいんだけど内容が物足りないと,なんだか読んだ気にもなりませんね。読みかけの文庫本がいくつか残っていますが,お勧め度★1つで紹介するのもアホくさくてエントリにはしていません。「読書日記」というわりには本の紹介が少ないという弱点はなかなか克服できませんが,あしからずご了承下さい(って誰に言ってるんだろう?)。さあ次は浜田和幸氏でも読むかな。

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