2005年08月11日

外貨預金を勧める銀行!「お客様第一」の看板をはずせ!

 今日は外貨預金の話をしよう。毎日ブログを拝見するのが楽しみな「為替王」さんのサイトで,外貨預金をこてんぱんにやっつけておられたので便乗。銀行がいかにずる賢いかということを書きつづろうと思います。

 その前にまずお断りしておきますが,僕は,銀行がずる賢いからといって銀行が悪いと決めつけるという意図はありません。銀行だってボランティアで商品を売っているわけではありません。れっきとした株式会社ですから,自分たちが儲かるような仕組みを作って顧客に売るということはどこの会社でもやっていることです。ただし,これが度を越すと「悪く」なります。

 その前提で,僕は「外貨預金は顧客の無知につけこんだ醜悪な商品であり,大事なことを説明せずに販売に注力する銀行は悪い」と断言します。顧客をバカにしたような手数料をとるとか,本来投資家が得るべき金利を銀行がピンハネしているとか,そういう理由は「為替王」さんのサイトでも指摘されてましたので詳しくは述べません。以下では,僕がどの部分をして「度を越している」と判断したのかについて述べます。

 大きな理由として「銀行の二枚舌」を指摘します。どこの銀行でもいいです,HPを見てください。「お客様第一」だとか「親身になって」だとかのきれい事ばっかり書かれています。さて,その実態は?言わなくてもわかりますよね。客のことを大事に考えていたら外貨預金なんて絶対勧めません。勧めてはいけません。ペイオフの対象外だわ,金利はピンハネされるわ,手数料は銀行ホクホクだわ・・・。それなのにそれなのに。平然とデカデカと真ん中に金利が書いてあって,小さな字でこちょこちょと但し書きが書いてある金融広告を店舗中に貼り出しまくるんです。銀行が無茶苦茶有利になるような但し書きばっかりなのにも関わらず「お客様第一」なんですよ。

 銀行はこれまでにも散々国民の富を奪ってきましたよね。それらのいちいちは示しませんが,反省が全く見られません。特に,デフレだからといって超低金利を強いたのにもかかわらず,彼らの手数料体系はむしろ値上がりしていることなんて,許されるはずがないんですけどね。外貨預金の手数料は言うに及ばずですが,数年前からも投資信託などの販売手数料とか信託報酬が値下げされたことなど一度もありません。店舗に行けばずらっと並んでATMの順番待ちをしている人たちがいますし,結局は銀行のコストダウン=顧客へのコスト転嫁でしかなかったわけです。しかも今後もこの作戦が成功すると見ているようだから始末が悪い。「二枚舌」を眺めているとその証拠が嫌というほど見えてきます。

 「二枚舌」が生じる原因はいくつかあるでしょう。その中で僕は成果主義の導入に注目してみました。銀行業界にも成果主義ってのが入ってきていて,銀行を儲けさせるような営業をすればするほど自分の給料が上がるわけですから,逆に考えれば顧客のことなんて考えていたら出世できなくなるということです。これは意地悪で言っているわけではなくて実際に起こっている話です。正直に「お客様第一」でやっていたら,「お客様第一」でやっていない同僚達にどんどん差をつけられる。販売している人たちが一番,「外貨預金って悪どい商品だね」っていうことがわかっているんだからなおさらです。かくして正直な営業マン(セールスレディ?いずれにしてもジェンダーフリーにひっかかるかな)が悪徳セールスに変質していくわけです。人間が壊れる音が聞こえます。

 銀行も儲かって,かつ顧客も儲かるというような金融商品はいくらでもあります。適正な金利水準での預金や貸出などはその典型でしょう。しかし,これではお互いの儲けが薄い。超低金利がさらに拍車をかけている状況ですし。そこで考え出されたのが,「顧客の取り分を減らして,その分銀行の取り分にしてしまえ」作戦なのです。外貨預金がその典型。この取り分の偏重が度を越しているのです。「二枚舌」を駆使して度を越した偏重を隠す。だから外貨預金は醜悪な商品だと断定するわけです。なお,投資信託のほとんどもこの作戦どおりに売られていると言っても良いでしょう。

 さて,それでも外貨預金は銀行に行けば手軽に始められるから良い商品だ!と主張して投資する方を僕は止めることはしません。そういう価値観もあるでしょう。少なくとも裁定について勉強した方がいいとは思いますがね。裁定こそが儲けの源泉です(安間伸『ホントは教えたくない 資産運用のカラクリ パート3』東洋経済参照)。ずる賢いってことは裁定チャンスが大きいってことです。みすみす裁定チャンスを銀行に与えるなんて,僕ならそんなことしませんね。

 騙されても騙されても小泉について行きたい人はついて行ったら良いし,貢いでも貢いでも貢ぎ足りないと感じる人は外貨預金とか銀行の投資信託を始めればいい。本質を知らずに表面だけにとびついたらいい。どっちみち新聞とかテレビからしか情報を得ない人がほとんどなんだから,そうなってしまうのは仕方がないとも言えます。でも僕は違います。僕は「愛」のない政治や,「二枚舌」の金融なんて唾棄すべき存在だと思っているからこういうエントリを残すんです。

 例えば,NHKの国会中継で「年次改革要望書」の存在が明らかになったのに(→参考)未だに大手新聞は一行もとりあげない。飯島のマスコミコントロールはここまで進んでいるという実例ですが,総選挙が決まった翌日に経済が踊り場を脱しただとか4年ぶりの株価最高値だとかのわっしょいわっしょいニューズが飛び交っているのも気味が悪い。では郵政民営化推進者の頭の中の実態は・・・。しょせんは↓の程度なんです。「二枚舌」そのものです。

(Jul/02/05 東京新聞より引用開始)
【郵政民営化 政府プレゼン資料で“差別” 主婦・高齢者IQ低い】
 郵政民営化に関する政府の広報をめぐる資料に、主婦や高齢者は知能指数(IQ)が低い、と受け取れる記述があるとして、国会で問題化している。南野知恵子法相が「人権侵害にはあたらない」と強気の答弁で押したこともあり、野党などから批判を浴びている。
 資料は、民営化をめぐる政府の折り込みチラシが、特定企業との随意契約であることなどを追及している五十嵐文彦議員(民主)が衆院「郵政民営化に関する特別委」に提出した。民主党によると、その随意契約した企業から政府へのプレゼンテーション資料で、冒頭に「ターゲット戦略」との題字が打たれている。
 国民各層に、郵政民営化をどう広報するかを示しており、「財界勝ち組企業、大学教授」などを「A」、「主婦層、シルバー層、具体的なことは分からないが、小泉総理のキャラクターを支持する層」などを「B」と分類。「IQ軸」を記した図が添えられ、AのIQは高く、Bは低い、と見える配置になっている。
 六月二十九日の同委員会で民主党は「あるグループをターゲットとしている。チラシが配られた方、ごらんになった方はIQが低いんですよ、というのに近い話だ。人権上、好ましくない」(山花郁夫議員)と追及した。
 しかし、南野法相が「特定個人の人格を攻撃するようなものでない限り、人権侵害にはあたらない」と突っぱねたため、山花氏から「部落差別なども特定個人じゃなくて地域(全体への差別)ではないか」と追い打ちをかけられた。
 法相は「一般論として、厳密な意味で人権侵害にあたらなくても、不当な差別を助長させる恐れが大きい場合は差別助長行為となり許されない」と、再答弁したが、政府から女性、高齢者への説明は、いまだになく、「人権」に関する政府の認識が問われそうだ。
 東京新聞は一日、内閣府に事実関係の説明を求めたが、回答はなかった。
(引用終了)

 あーあ。バカバカし。

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なぜか昨日からニュージランドドルの外貨預金についての問い 合わせが増えています。
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ご承知のとおり金利には、単利と複利があります。 単利は元金に対して利子をとるもの
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