2005年07月28日

日本財政楽観論者は政府がアメリカ国債を売れるものだと思っている。もっと現実を見ようよ。

 友人がMacを購入したそうなので,今日のエントリは決まりかなと思っていたのですが,興味深いニューズがたくさんあったので,今日はこっちを優先します。明日書くから許してね,深井くん。

(Jul/26/05 Bloombergより引用開始)
【日本の米国債投資が中国による減少分を相殺へ?米リーマンが予想】
 米証券リーマン・ブラザーズ・ホールディングスは、中国が先週の人民元切り上げに伴い米国債投資を減らした場合でも、日本からの投資がその減少分を補うとの見方を示した。
 中国が米国債の保有を減らすことで、米国債に対する需要が低下し米国債利回りが上昇するとの懸念は、日本の公的・民間部門で米国債投資が増えていることから、後退する公算があるという。
 リーマンの金利担当主任アナリスト(ニューヨーク在勤)、アミタブ・アロラ氏は25日のインタビューで、「日本はすでに多くの米ドル建て債を保有している。もし中国が円建て資産に投資しドル建て資産を減らしたとしても、日本の投資家がそれを相殺する取引を行う可能性が大きい」と述べた。
 アロラ氏は日本の公的・民間投資家が保有している外国通貨建て資産はお よそ4兆3000億ドル(約481兆円)に達しており、その過半数が米ドル建てだと指摘した。
(引用終了)

 ブルームバーグの書き方がそうなのか,英語を無理やり訳したからなのかわかりませんが読みづらい記事です。しかし内容はすごいことを言っています。日本のマスコミは怖くて書けないようですが,リーマンははっきりと日本が保有している481兆円の米ドル建て資産について言及しています。この事実をどのように受けとめるかによって,じゃあ日本はどうすべきなのかという判断が分かれます。

 まず日本財政強気派の意見。日本は1,000兆円の国債・地方債があるから破綻財政だと言われるがとんでもない。対外資産は記事のとおりドル建てで4兆3000億ドルもあり,その他世界各国に債権を有している。財政が破綻しているのなら今のような異常な低金利が起こる現象は説明がつかない。マーケットを見れば日本が破綻しているという主張はおかしい。

 次に弱気派の意見。ドル建て資産のほとんどが米国債だ。民間はともかく政府が保有する米国債を日本の政治家が売れるはずがない。橋本龍太郎は売却したいと口をすべらせただけで失脚したぐらいの困難がつきまとうのだ。またドルが安くならないように日銀が為替政策で米国債をどんどん買ってきた経緯を見ればこの悪しき循環は断ち切れていないどころか,状況はますます悪くなっていると言える。米国債は売れない資産,つまり不良債権である。1,000兆円も借金があるのに481兆円も不良資産があるのだから,日本は近々財政破綻する。

 僕は悲観論者ではないと自分では思っているのですが,冷静に考えたら後者(弱気派)の意見の方が現実的だという思いを持っています。アメリカを敵に回して生きていけるとは思っていませんから。というわけで,東京に大きな地震がきたりテロが起こったりすれば,ただちに日本売りの動きがマーケットで見られるのではないかと考えています。金利がゴーンと上がるんだろうなあ。ま,今となってはそうならないことを祈るぐらいしかできませんがね。

 ちなみに前回地震があったときこんなことがあったそうです。

(Jul/25/05 NIKKEI NETより引用開始)
【都市のもろさ、地震で露呈・エレベーター4万基停止】
 震度4や5でここまで混乱するなら、大地震が来たときは……。23日に首都圏で起きた地震は、都市機能のもろさを露呈した。停止したエレベーターは4万基を超え、すべて復旧するには25日までかかる見込み。平日なら多数が閉じ込められたに違いない。一部地震データの公表遅れ、7時間に及んだ鉄道の復旧など、今回の地震は首都の防災の欠点をあぶり出した。
 東京都内で約4万4000基のエレベーターを管理する三菱電機ビルテクノサービスでは、地震の影響で約1万2000基のエレベーターが停止し、このうち約10基で人が一時閉じ込められた。同社のエレベーターは震度4程度の揺れを感知すると自動停止するシステムになっているため、震度4だった千代田区や新宿区などでも停止が相次いだとみられる。停止すると自力では復旧しないため、停止信号を受けて係員を順次派遣し、脇のレールやドアの安全性を確認し再起動するなど復旧作業に当たった。
(引用終了)

 今日も地震があったようですね。明日明後日は大丈夫だろうか。

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