2005年05月14日

経済記者の視点はどこを見てるのか?ピンボケ記事が多すぎる!

 大事なニューズはだいたい金曜日の株式市場などが取引終了した後に発表されて,新聞などで公表されるのは土曜日になることが多いのですが,今日もそういう関係の(相場が動きやすい)ニューズがいくつかありました。ただしそういうニューズをこのブログで採り上げても他の専門家の方々の書いたものの方がわかりやすいでしょうから,もっとマイナーな記事に絞って紹介しようと思います。まずはこれからあちこちで異論反論が巻き起こるであろう退職金の課税制度変更の問題から。

(May/14/05 NIKKEI NETより引用開始)
【短期雇用者への退職金課税を強化・政府税調会長】
 政府税制調査会(首相の諮問機関)は給与収入より退職金が税制上、有利になっている現状を改める方針だ。勤続年数が短い従業員が給与相当分を「退職金」としてまとめて受け取り、税負担を小さくするのを防ぐ。一方で雇用の多様化に対応し、勤続年数が長いほど税負担が相対的に軽くなる現行制度も見直す。政府税調は6月の報告書で問題点を指摘、早ければ2006年度の税制改正に盛り込む。
 石弘光政府税調会長は13日の記者会見で「(退職金の課税が)悪用されている面もある」などと指摘、見直しの方針を表明した。
 退職金は給与収入などとは分離して課税所得(退職所得)に対し最高50%(国と地方合計)の累進税率を適用するが、退職所得は支給額から退職所得控除を差し引いた金額を半分に減額して算出する。これを利用すると、外資系企業などに勤務する高所得層が雇用契約を3年や5年といった短期間にしたうえで、給与分をあえて退職金の形で受け取り、税負担を軽減できる場合がある。
(引用終了)

 この記事を読む限りでは外資系で稼ぎまくるヤツらはこんなことして納税を免れていたのか,けしからん,どんどんやっちまえみたいな理論が先走っていきそうです。そりゃあ感情論としてはわかりますが,もっともっと悪いヤツらを忘れてはいませんか?官僚の天下り連中がまさにこれでしょう?民間人から絞り取って役人天国は放置したままってのは許されないのではないかい?日経はもうちょっと後のことまで考えて記事にしてほしいですね。

 次は農中ネタ。

(May/14/05 Sankei Webより引用開始)
【農林中金など3社に売却へ ダイエー保有リクルート株】
 産業再生機構の支援で経営再建中の大手スーパーのダイエーが、グループで発行済み株式の約10%を保有する情報誌大手リクルートの株式を農林中央金庫、あおぞら銀行、投資ファンドの「アドバンテッジ パートナーズ」(東京)の3社に数%ずつ売却することで、リクルート側と調整に入ったことが14日分かった。月内にも正式に決める。
 ダイエーは入札で売却先の選定を進めており、3社に加え三井物産も応札していたが、入札額が低く対象から漏れたもようだ。
 売却額は総額で500億−600億円程度とみられ、ダイエーは借入金の圧縮に充てる。非上場のリクルートは高収益企業で、将来に株を公開すれば市場で高い価格が期待できることなどから、3社はいずれも投資目的などで取得に乗り出していた。
 株式売却にはリクルートの取締役会の同意が必要。経営の中立性を確保する観点から検討するが、3社がいずれも投資目的で長期保有する見通しであることから受け入れるとみられる。
(引用終了)

 先日久しぶりに新聞に出てきたときはFB(ファームバンキング)のシステムエラーという情けない記事でしたが,今日は違います。農中としてはかなりいいディールができたのではないでしょうか。この会社の情報収集能力は邦銀の中では抜群ですし,押しも押されぬ日本最大級の機関投資家ですからおいしい話がけっこう舞い込んでくるようです。リクルートの未上場株式と聞くと竹下登とかを思い出すのですが,あちらはリクルートコスモスでしたね。バブル期に政治家に渡った愚を反省して,明瞭な筋道で投資家にフェアに渡ったということはちょっとは日本の投資環境もよくなってきているということでしょう。

 でも最後の1文が妙にひっかかりますね。投資ファンドがなぜ長期保有する見通しだなんて勝手に決めつけるんだ?上場したら高値で売るのが投資ファンドの理論でしょう?高値で売らなかったらファンドの出資者に責められますよ。ま,この記事だけからはわかりませんが,そういう約定をしているってことも考えられますが,でもそうだったらこの投資ファンドも入札しないでしょう。何のために非上場株式を取得するのかの理由がわからないからです。

 ま,金額が大きい話は自分には関係ないので,次はより身近なこんな話。

(May/14/05 NIKKEI NETより引用開始より引用開始)
【外為証拠金事業者資本規制、140%割れなら届出義務】
 金融庁は、7月から法規制の対象となる外為証拠金取引事業者に一定水準の自己資本を維持するよう求めることなどを盛り込んだ内閣府令案を発表した。固定資産などをのぞいた自己資本が事業で発生するリスク相当額の140%を下回った場合は、金融庁に届け出るよう義務づける。
 府令では事業者に証券会社と同様の「自己資本規制比率」の算出を求め、リスクに見合った財務内容を維持するよう規定した。自己資本規制比率が120%を下回れば金融庁は事業者に業務改善命令を出すことができる。
(引用終了)

 外貨取引を始めた僕としては気になる記事ですが,要するに業者はしっかりしたところを選べよということです。僕が使っているセンチュリー証券とかひまわり証券が今回の基準に照らした結果どうなるかはさっぱり予想できませんが,どちらとも信託銀行と信託契約を結んでいるようなきっちりした会社ですから大丈夫だろうとは思っています。ダメなら業者を変えるまでですが面倒ですね。全部のポジションを決済しないといけないし。

 外貨取引で儲けるコツがだんだんわかってきました。1日4000円程度の儲けですが,1月にしたら大きいですね。実は今,ノーリスクハイリターンのスキームを完成しつつあります。とりあえず1ヶ月それを運用してみてうまくいけば報告します。一つの取引ではノーリスクハイリターンな投資なんてありえませんが,組み合わせるとできるようになります。ま,あくまで理論上はというオチは着きますが。

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