2005年11月29日

西村議員逮捕で武部の妄言が隠れるか?伊藤の無能が忘れられるか?

 今日はまず自分の読みの甘さを詫びねばなりません。先日のエントリ(→リンク)で西村議員のスキャンダルについて触れた件です。まさか逮捕までされるとは思いませんでした。読みが甘かった。でもなぜこの時期に逮捕されなきゃいかんのかという仮説をたてるにはもってこいの事件です。
 
 弁護士法違反は立派な法律違反だから逮捕されても仕方がないとはいえ,なぜこの時期なのか?自分の脱税を図っていたとはいえ,一般の国民に迷惑をかけたのか?もっと大事な事件が追及されることをかわすための国策逮捕ではないか?

 最後の疑問については半ば憶測ですが,ここのところ自民党のスキャンダルというか頼りなさが光っていただけに,誰かが,そのガス抜きというか追求の矛先を他に向けることを思いついて情報をリークしたのでしょう。「誰か」というのは,民族主義で過激な憲法改正を主張していた西村容疑者(※)が「悪者」に仕立て上げられることで改正議論が前進するだろうと考える人たちかもしれないし,ヒューザーとか木村建設とか姉歯建築士がらみで国民に注目されたくない代議士の方々かもしれないし,朝鮮利権にどっぷりつかった野中一味の残党によるものかもしれない。とにかく今は政府自民党のかじ取りに不備が目立つので,いろんなところの利害が絡んでいて批判をかわしたいと考える人たちがいっぱいいるのだろうということは容易に想像がつきます。

※逮捕されたんだから容疑者でいいでしょう。昔SMAPの稲垣吾郎が逮捕されたときに各メディアは一斉に「稲垣メンバー」と言っていたのを思い出しました。稲垣容疑者とはいえない業界の裏事情をそのとき知りました。真須美容疑者の日本生命外務員という肩書きもすぐに大手生保外務員に自主規制されてました。おっと余計なことでしたね。

 その中でも僕はやはり耐震偽造問題が一番大きいと思います。姉歯がらみね。自民党の幹事長がこんな暴言を吐いていたことを思い出してみよう。

(Nov/27/05 東京新聞より引用開始)
【武部幹事長『悪者捜し終始…景気に響く』】
 自民党の武部勤幹事長は二十六日、北海道釧路市で講演し、マンションやホテルの耐震強度偽造問題について「悪者捜しに終始すると、マンション業界は、ばたばたとつぶれる。不動産業界も参る。景気がこれでおかしくなるほどの大きい問題だ」と述べ、慎重な対応を求めた。(略)
(引用終了)

 バカ丸出しの暴言,いや妄言,世迷いごと。マンション業界がつぶれるなんてことがなぜわかる?正しいことをやっている業者が少ないというデータでもあるんか?おまえ実情知ってるんとちゃうか?知ってて追求されたくないから慎重な対応を求めるんかい?おまえ業界からいくらもらってるんだ?

 この発言を容認するなら大きな業界ほど悪さし放題ってことになります。大地震がおきてあちこちのマンションやビルが倒壊しても,「あのときの景気を支えるためには仕方がなかった」という発言をすれば許されるわけですから。悪さの上に成り立っている景気が本物かどうか,それぐらいの倫理観はもってくれよ。共産党独裁で市場経済を導入しているような中国の経済がいつまでも続くとは思っていないだろう?それと同じだぞ。自民党の名が泣くぞ。

 悪者を捜して説明を求めずして,欠陥マンションを買ってしまった人たちが納得するとでも思っているのか?
 悪者かどうかわからない人に賠償責任を求めるつもりか?
 そんなにお前さんはマンション業界からリベートもらっているのか?

 いくらBSE潜伏期間中でイエスしかいえない武部の発言だとしても,幹事長なんだからいい加減なこと言うなよ。ま,あんたのいい加減さは農林水産大臣のときのBSE対応でこっちは嫌というほど経験しているんだから今更驚きはしないけど,逆に,いい加減なことをあわてて言い出すってことを考えれば,この発言は勇み足というか軽口がすべったというか,そういう類いの発言なんだろう。

 とにかく,この耐震偽造問題には触れられたくないのだ,自民党は。そりゃそうだ。民間に任せればすべてうまくいくというのが小泉改革のスローガンだからだ。うまくいっていない実例をほじくり返されるわけにはいかんのだ。せっかく国民をうまく騙せてきたのにウソがばれてはまずいのだ。

 でも騙された人たちは「自己責任」で済まされるのか?じっくり調べて買わなかった方も悪いと言えるかもしれないけど,そういうデータが出されないからわからなくても仕方がないでしょう?マンションを買った人が業者から「このマンションは震度5で倒壊する恐れがあります」とか「民間業者がチェックしているので杜撰な分安くなっています」とか説明を受けていたっていう証拠があるんなら別ですけど。「株式日記」サイトで紹介されていた記事(→リンク)などによれば,現場の人たちで今回の問題の発覚を意外だと思っている人間なんていないことがわかります。つまり皆グルで違法建築の建物を売っていたわけ。ボロボロの建材と手抜き基礎工事でコストを徹底的に下げて破格の値段で売り出して大もうけしたヒューザーはおそらく氷山の一角でしょう。だから調べられるとボロボロ出てくるので,BSEくるくるパーの武部はびびっているわけだ。建築事務所の社長も海にドボンしたし(自殺か他殺かは知らん)こんな問題が西村事件だけで消されてたまるもんか。
 それとも武部がびびっているのはこれかい?

(Nov/29/05 日刊ゲンダイより引用開始)
【小嶋社長の政界人脈に浮上した小泉首相】
 マンションの耐震強度偽造で大揺れのデベロッパー「ヒューザー」の政界工作が次々と発覚。ついには小泉首相との浅からぬ関係も浮上した。社長室には小泉さんとのツー写真を飾ってあるとの情報を耳に、当の小嶋社長を直撃すると、「知らね〜な。オタクの好きなように勝手に書けよ。ゲヘヘヘ」ときたもんだ。
(引用終了)

 イエスマン武部だからな,いろいろ動かねばならない理由もわかる。ま,ヒューザーがらみのスキャンダルはあちこちに情報があって(ネットで調べたらわんさか出てきますよ)今後も週刊誌あたりが書いてくれるだろう。
 それよりも自民党として無茶苦茶まずいことになっているのがこれだ。

(Nov/26/05 毎日新聞より引用開始)
【<耐震偽造>伊藤元長官「間違ったことはやっていない」】
 自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官(64)が、耐震データ偽造問題で建築主として国土交通省から聴取を受けている不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長(52)を、「友人が困っている」として、問題の公表2日前に国土交通省幹部に引き合わせていたことが分かった。「今さら建物を壊さなきゃいけないというのは困る」「建て替えるなら公的支援を」と話す小嶋社長と同席し、伊藤元長官は「何とか考えてもらえないか」と要請したという。多くの居住者の安全を脅かす問題の公表前に、政治家が業者とともに監督官庁に介入していた疑いが出てきた。(略)
 建築指導課長によると、小嶋社長は「イーホームズが審査を通した物件なのに、今さら壊さなきゃいけないというのは困る」と発言。さらに、建て替えには費用がかかるとして「100億円や200億円を国が負担してほしい」と話した。これらの要請に、課長は「入居者の安全が第一だ」と答えたという。(略)
 伊藤元長官は26日朝、東京都町田市の自宅前で毎日新聞などの取材に改めて応じ、「詳しいやり取りは覚えていないが、間違ったことはやっていない。こういう相談なら小嶋社長じゃなくても連れていったと思う」と答えた。小嶋社長は4年前から伊藤元長官の資金管理団体「東京公友会」の年会費16万円を納め、昨年9月にはパーティー券100万円分を購入している。(略)
(引用終了)
 
 これが「間違ったこと」じゃなくて何なのか。民間のマンション業者が公的支援をお願いすること自体が「民営化」を理解していない証拠。その意を酌んで「何とか考えてもらえないか」と政治家が要請することが「間違って」るということがわかっていないのなら,あんた抵抗勢力だよ。小泉酋長が髪振り乱して民営化民営化と叫んでたのを横で聞いてなかったの?民営化ってのは政府は何も知らん,責任もとらんってことだぞ。行政に要請するようなことはタブーだぞ。財務省だって今後赤字国債がうまくはけないだろうから郵政民営化して悪者を郵便局にして,自分たちは悪くないっていう既成事実を作ってるんだぞ。国民は知らないだけで,民営化ってのは政府の責任放棄なんだから,いまさら政府に泣きついてくる業者を助けようとしてどうすんねん?あほか。

 ちょっと珍しく語気が荒っぽくなってしまいました。武部はどこかで手打ちを考えているのであの発言が出たのでしょうが,ワルばっかりに景気を頼っていたら真面目な国民がそろそろ蜂起しますよ。いや,天皇ご一族の継承者問題をロボット工学者とか車屋が考えて首相が皇族の発言を無視するような国だから,天罰が下りますよ。ホントに。  

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2005年11月27日

たばこ税は一般財源化すべきという読売の軽薄な思想。それって詐欺の幇助だぞ。

 前回の続きを書こうかと思ったけどいつも批判的エントリばっかりだと旧社会党みたいな印象をもたれると困るので,今日は久しぶりに賛同できる記事を採り上げることにします。

(Nov/24/05 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[たばこ税]「引き上げ論には一理がある」
  • 巨額の財政赤字の削減に,政府がもっと目を向けていい税がある。増税しても経済活動に与える悪影響が少ない酒,たばこなど嗜好(しこう)品に対する課税だ。
  • 代表的な銘柄のたばこ小売価格(20本入り1箱)は,今年1月現在で日本のマイルドセブン270円に対し,イギリスが982円,フランスが621円だ。米国はニューヨーク市で736円,ヒューストン市で376円となっている。
  • 日本の税は,たばこ税と消費税を合わせて171円だが,イギリスは758円,ニューヨーク市は428円を税金で占めている。
  • 仮に税率を倍に引き上げ,消費量が変わらなければ2兆円以上,消費税率1%分に近い増収を期待できる。
  • 自民党の厚生労働部会は,たばこ税の増税を党の税制調査会に要望した。その税収は健康増進対策に充てるというが,使途の特定は予算の硬直化を招く。あくまで一般財源として扱うべきだ。
(引用終了)

 最後の点を除けば,たばこ税には大賛成です。最後の点については後記。

 僕がたばこ税に賛成する理由は,石原都知事もおっしゃっているように生活必需品でない嗜好品の課税を強化することは必要だと思うし,課税することで健康を害する喫煙者が減少することが予想されるだけでなく,副流煙で健康を損なう一般の人たちの肺ガンなどの罹患率も減少するだろうからです。ニコチン中毒の人は高い税金を納めて吸い続けなければなりません。二重の意味でふところを痛めるのも「中毒」だから仕方ないでしょう。

 一方で,酒に対する課税には反対です。嗜好品という位置づけであれば酒もたばこも同じように考えるべきかもしれません。でも酒には一定の健康効果があります。もちろん中毒になるぐらいの大酒については問題外ですが,ストレス解消のための適度なアルコールであれば,かえって健康を増進することも医学的には証明されていることです。庶民の楽しみをお上が奪うという感情的な反対論も当然起こるでしょう。第三のビールにも課税するとか,企業の開発努力を水泡に帰すような近視眼的な政策はいわずもがなです。

 たばこ税の話に戻そう。この社説で僕は始めて諸外国のたばこ税の高さを知りました。何でもかんでも外国と合わせる必要はないにしても,同じ人間なんだから(地域差はあれ体の造りは一緒という意味)たばこが健康を害するリスクが税金として上乗せされるのだと「金融論的」に解釈するのならば,日本のたばこは外国に比べてかなり割安だということになります。赤の他人に副流煙という形で害をふりまくたばこのリスクが日本だけ「低い」という状態を放っておくのはもちろん良くない。もちろん自己責任の範囲内で収まるのなら,これを具体的に言い直すと分煙がきっちり行われるのであればということになりますが,高い税金を収めてもらって思う存分自分の体を傷つけてもらえばいい。毒をまきちらすものを税金という形にして取り締まるのは必ずしも悪いことだとは思いません。

 しかし,一般財源として扱うべきという読売の論調は甘すぎます。たばこ税は国民の全員から徴収するものではなく,自分の体を傷つけてまで国家のために税金を差し出してくれる人たちだけが拠出してくれるものです。そのお金が,日本の破綻財政を支えるための国債費に化けることになるのはおかしい。道路財源の一般会計化を小泉首相は言い出しましたが,それに迎合して特別会計を何でもかんでも一般化しようとする詐欺幇助です。

※道路財源の一般会計化に批判的な新聞がほとんどない。詐欺だという指摘がなぜなされないのか不思議でしょうがない。ここまで小泉礼賛ばかりだと気味悪いし,ちょっと考えればわかりそうなことすらメディアは国民に考えさせないつもりなのでしょうか。
 僕が中学生の頃所属していたブラスバンド部で,楽器を買うための積立費という名目で毎月数千円を皆で出し合っていましたが,いつの間にかコンクール県大会出場を祝うテレホンカード代に化けていて新しい楽器を買ってもらえなかったことを思い出します。ちなみに,それを保護者に指摘された教師はなぜか逆ギレしていましたが(その後別件でこの教師は逮捕されました)。
 もっと下世話な例えを出せば,息子に教科書買うお金を渡しているのに,そのカネで風俗に通うようなもんですよ。こんなことを自分の息子がしたら怒るのが普通ですし教育でしょう。風俗に行きたいのなら自分でカネかせいでそのカネで行けって言うでしょう(風俗に行くなって言うかも?)。
 同じことですよ。将来の道路工事のためにお金を集めたのに,プール金額が大きいからというだけで,これから大量償還を迎える国債の借換えに充当するために一般財源に組み入れることが狙いなんですから。本来の目的に使わないこと(新たな道路を造らないなど)を決めたのなら,拠出してもらっていた利用者に返金するのが先です。

 要するに読売の社説が言うことは的外れというだけでなくて,小泉にすり寄っているだけのまともな論説ではないということです。
 大事なことを書きます。
 なんとしても一般会計にしたい政府はまたしても国民をペテンにかけるために論点をはぐらかそうとしていますが,特別会計そのものが悪いのではないということです。特別会計を自由に差配できるのが,官僚というペーパーテストに強いだけの才能を持った一部の人間達だというのが本質的な問題点なのです。政治家という国民の代表達によって議論される国家予算はたった80兆円の一般会計であって,その4倍近くの特別会計は,名前も顔も知らない自称エリート達によって額が決められて運用されているという状態が異常であり問題なのです。だからいまやっている特別会計改革なんて単なる論点のすり替えに過ぎないんだけれども,読売みたいに本質がわかっていない論者は,小泉に気に入られたい一心で政府の詐欺の片棒を担ぐわけ。だから詐欺幇助と書いたのです。

 特別会計改革がどうあるべきかというのは,何でもかんでも一般会計化するのではなく,政治家の正しい審判を経て決められる制度に変えることです。そんなあたりまえのことすら新聞は書きません。結局は国債費がもうどうにもならないレベルに来ちゃったから,小泉人気が続いているうちに超法規的に何でもかんでも都合のいいようにしてしまえという,その程度の議論に堕して,国民は気付かないまま(気付かせてもらえないまま,というのが正しい)改革者ぶって悪者を成敗する小泉に酔っているだけなのです。

 金融マーケットは正直ですよ。

(Nov/17/05 NIKKEI NETより引用開始)
【外国人投資家,日本株買越額が過去最高に肉薄・累計9兆円】
 2005年の外国人投資家による日本株の買越額が過去最高ペースとなっている。年初からの累計は9兆円を突破し,最高だった1999年に肩を並べた。(略)
 外国人買いの加速は8月の政府・日銀による景気踊り場脱却宣言がきっかけ。それ以降銀行など内需関連銘柄を中心に外国人の「日本買い」に拍車がかかった。
(引用終了)

 こんなに外人さん達が外貨を売って円を買って日本株に投資しているのに(日本株は円でしか変えませんから手持ちの外貨を円に換える必要があります)ここ数ヶ月はものすごい円安になっています。本当なら円高がものすごく進まないとおかしいでしょう。株式相場を一気に持ち上げる演出をさせた程の金額ですよ。それほどの金額の円を外人が買っているのにそれ以上の円を誰かが売っているんです。日本の財政はもうどうにもならんということをマーケットは示しているわけです。もちろん,アメリカの本国投資法の効果もあるかもしれませんが,売られている円は対ドルだけではありませんからね。主要通貨のほとんどで売られていますから。

 さらに言うと,株が上がって底値で買った外人さんたちが今度は売りに回るとき,円が大量に外貨に換えられる可能性があります。円安圧力がさらにきつくなることがありうるのです。まあ実際そうなったら外人達は安い円をバンバン買って東京の一等地とか目ぼしい不動産を買いあさると僕は思いますけどね。

 政府が特別会計の一般化にあがけばあがくほど,問題点がくっきりと浮かび上がってくるはずです。その時期になっても僕のような論述が新聞で見られないのなら,国民の洗脳はほぼ完了している,つまり小泉劇場が再開するということです。こうなったら手遅れです。一般会計化に反対する人たちが一方的に悪者にされてマスコミが煽って悪者が成敗されて国民が喜ぶ・・・そういう構図の焼き直し。

 ありゃ。結局批判になっちゃったか。
 進歩しなけりゃ生きてる価値がないと思いますけどね。時節に流されるだけの国民には僕はなりたくないなあ。本当のことを知らされずに三流新聞の論説にコロッと騙されてしまう国民になってしまわないように,日ごろから情報リテラシーを磨きたいもんですね。  
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2005年11月25日

銀行が利益をいっぱい出したのは良いとしても,本質を見誤っていないか?

 今日はみなさん新聞を読まれたら,銀行が儲けまくっているという記事に遭遇したことでしょう。これについての雑感を少々。

 主要6紙の社説を読み比べましたが(書いていないところもありました),読売新聞の社説は面白みのないものでした。今度は顧客の方を向けという主張でしたが,そんなことは皆が感じていること。オピニオンリーダー(なのか?)らしい社説を展開してもらわないと困ります。
 そこで,まずツッコミどころありという意味で,産経新聞の社説から引用しよう。

(Nov/25/05 産経新聞新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【企業収益 始まった優勝劣敗の時代】
  • 東証一部上場企業の九月中間決算は過去最高の経常利益を更新。
  • 好決算は増復配だけでなく,株価上昇,従業員の収入アップといったかたちで家計を潤す。これが消費拡大,設備投資増に結びつき,再び企業業績に跳ね返る。景気の好循環のかたちがくっきりと見えてきたのは心強い。
  • 長期不況に苦しんだ企業は,不採算部門の整理,人員削減などを断行し,投資も厳しく精査した。こうした努力が企業の財務体質を強化し,好決算を生んだのは間違いない。
  • 追い風に乗れなかった企業は,戦略構築の失敗や,リストラの不徹底を指摘されてもやむを得まい。
  • こうした企業改革の背景に,日銀の超低金利政策があった点も忘れてはならない。企業の利子負担を軽減し,リストラや設備投資を促したのは確かだ。
  • 超低金利政策は当分維持されるだろうが,量的緩和は解除に向けた議論が行われている。解除された場合の市場金利の動きは予測できない。企業の備えは万全なのか。
(引用終了)

 あいかわらずの”上から目線”の主張は気分を害しますが,いつものことだから許してやろう。
 まず,根本的な内容の矛盾を指摘しよう。
 本当に「景気の好循環のかたちがくっきり」見えて来たのなら金利が上がらないとおかしい。実際は長期金利が徐々に上がってきているのですが,なぜ最後に「超低金利政策は当分維持されるだろう」などという予想がたつのでしょうか。長期金利が上がって短期金利が上がらないという現象はもちろん一時的には起こりうることですが,よく考えてみてください。国債売買市場で決まる長期金利(指標としては10年利付債の利回りがよく使われる)が上がるということは,それだけ国債の売り圧力が大きくなるわけです。なぜそうなっているかというと,「くっきり見えた」景気回復のおかげで,銀行は儲からない国債になんて投資する理由がなくなるからです。当たり前でしょう。銀行は株式会社ですよ。儲かる事業が目の前にあるのに放ったらかしにして儲からない事業にばっかりカネ注いでたら,経営者はすぐにクビになりますよ。
 郵政民営化にだって産経新聞は大賛成だったはず。民営化して官から民へ資金が流れるというアナウンスに何の疑いも持っていなかったはずで,郵貯が低利回りの国債を売って高利回りの企業向け貸出とか外債を買うとかすれば,官から民に流れるし円安になるし金利は上がるってことぐらいはわかってたはず(実際,郵政民営化法案が通ったあとの円売りはものすごいですよ。おかげで僕のFXは空前の利益をあげていますがね)。
 次に起こるのは長期金利の上昇に伴って起こる,長期貸付の金利上昇です。これは,設備投資しようという需要が大きくなったら少々金利が高くても借りたいと思いますから金利は上がるのだと考えてもいいでしょう。長期金利が指標になってさまざまな金利体系が決められていますから,例えば住宅ローンの金利も上がっていくことにもなります。借りる側にとっては金利負担の増加になりますね。
 一方で低金利政策が維持されたらどうなるか。無担保コール金利がゼロ金利(かそれに近い)ということは,銀行は別に預金者から集める預金金利を上げなくても銀行間で超低金利で借りられるということです。わかりますか?銀行が稼ぐであろう利ざやの額がかなり大きなものになるということです。預金者の金利はゼロに近いままローン金利だけが上がって,銀行は調達金利を低く保ちながら高金利運用ができるのでさらに利益を伸ばし続けることでしょう。
 ・・・銀行至上主義論者ばかりじゃあるまいし,こんな状態が続くでしょうか?

 この状態が続いたら困る機関で放っておけない存在なのが日銀です。日銀だって本当は日銀法で禁止されている国債の引受をさせられていて(注:もろに禁止されているプライマリーな引受ではなくて,セカンダリーでの買切りという実質的な引受という意味です)損切りもさせてもらえない国債をたんまり持っているので,長期金利が上昇し続けたら含み損で債務超過になってしまう可能性だってあります。ま,これを見越してか,日銀は保有国債の会計上の評価法を,決算時に国債相場下落による評価損を計上しなくてよいというような変更を施しているわけですが(これって本当は許されないことなんですけどね)。とにかく実質的な債務超過ってことはありうるわけで,もちろんそういう事態は避けたいから日銀だってゼロ金利を解除しないとやっていけなくなるのです。彼ら自身がわかっているから早いこと量的緩和をやめてゼロ金利もやめたがっているわけでしょう?銀行から買い取った株の含み益があるうちに処分して少しでも財務体質を強化しておかないと,保有国債の暴落は円そのものの信頼をも失墜させることになるからね。

 そんなわけで,産経新聞は「経」の字が入っている割には金融経済のことが全くわかっていないことが判明しました。
「企業の備えは万全なのか」には笑いました。ホリエモンに買収されかかった当事者がえらそうなこと言うな。

 続いて毎日新聞のコラムを引用しよう。

(Nov/24/05 MSN-Mainichi INTERACTIVEより引用者による要点箇条書きにて引用開始 ※原文はリンクへ)
【大手銀行:「もうけ過ぎ批判」が再燃か】
  • 大手銀行が05年9月中間決算で空前の利益を上げたことで,不良債権問題の深刻化以降,目立たなくなっていた「もうけ過ぎ批判」が再燃する可能性がある。
  • 日銀が量的緩和政策を続ける中,預金者へ支払う利息は事実上,ゼロに張り付いている。100万円預けた場合,利子はスーパー定期でさえ年間1500円。「これだけもうかっているのに,なぜ,預金者に還元されないの?」との疑問が出ても不思議ではない。
  • みずほフィナンシャルグループの前田晃伸社長は「非常に大きな額の不良債権の処理をして,過去の資本の蓄積をほぼ全部使い切った。今は資本を少し戻している最中」と,衰弱した体力の回復過程にあると説明。
  • さらに「(小口顧客の)預金対応収益はマイナス。デフレが解消してから預金金利をお返しすることしかできない。」とも述べ,預金金利の引き上げは,日銀の金融政策が変更され,短期金利がつくようになった後との考えを強調した。
  • 株主への利益還元は早めに行われるが,超低金利の解消には当分,時間がかかるとみられることから,預金者への還元は株主より遅くなりそうだ。
(引用終了)

 景気回復なのに超低金利継続というような産経新聞のような矛盾した論理展開ではないのですが,いまいち弱い。国民を動かすにはアピールが足りない。僕なら次のように書くね。
 
「何十兆円もの国民のカネを公的資金などという誤魔化し用語で投入されておいて(もとは郵貯簡保などの資金を大蔵省(当時)が財政投融資で支出),責任者の追求もなあなあで退職金もたっぷり支払って,デフレが進んでいるのに手数料だけは値上げして,国民には十分な金利も払わずに中小企業の虎の子資金を貸し剥がして,外貨預金みたいなうさん臭いバッタ商品を甘い言葉で売りつけたらアホでも儲かるはずだが,実際は貸倒引当金の戻り益で利益を底上げしないと最高益を達成できない本当の理由を彼らはわかっているのか?国民の税金をバカスカ使ってるのに自らの高給を下げることに目一杯抵抗して,自らを「勝ち組」と呼んではばからない。このたわけが。いろんな犠牲のうえに自分たちの虚業が成り立っていたんだという自覚と反省がないのなら,邦銀が欧米銀行に肩を並べることなんて永遠にできないだろう。」

 ああ,ちょっと書きすぎたな。話の続きはまた明日。  
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2005年11月24日

西村議員のスキャンダルを潰せない民主党の弱さ

 情報の少ない今書くべきことではないかもしれませんが,西村議員立件について一言書いておこう。

(Nov/24/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【西村真悟議員,弁護士法違反認める方針…大阪地検立件へ】
 西村真悟・民主党衆院議員(57)の法律事務所元職員らによる弁護士法違反事件で,西村議員が,今後予想される大阪地検特捜部の事情聴取に対し,同法への抵触を認める方針を決めたことが24日,関係者の話でわかった。西村議員は同日朝,読売新聞の取材に対し,元職員の鈴木浩治容疑者(52)(逮捕)らによる非弁活動について,「弁護士として考えると,今回の疑惑を捜査機関が疑問を持つのは当然であり,反省している」と述べ,同法違反を認識していることを初めて示唆した。特捜部も,西村議員と政策秘書について同法違反容疑で立件する方針を固めた模様だ。
 西村議員は,これまで「監督がずさんだったと反省しているが,必要に応じて指示していた。指示を超える部分で鈴木容疑者が非弁活動をしていたことは全く知らなかった」などと関与を強く否定していた。
 しかし,西村議員はこの日,「私の名前をかたった事件であり,捜査機関が疑問をもつことを私は否定できない。全ぼうを知るに及び,弁護士として考えてみると今回の疑惑は当然で,痛切な反省の念を持って過ごしている」と話した。(略)
 弁護士法は,弁護士でない者が法律事務の取り扱いなどを行う非弁活動を禁止。さらに,これらの者と提携し,名義を利用させてはならないとしており,いずれも2年以下の懲役,または300万円以下の罰金を科している。(略)
(引用終了)

 このニューズに接して僕が考えたことは二つ。
 一つ目は情報ソースがどこなのかということ。もう一つは彼が自民党議員だったらこのニューズは表に出ていただろうかということ。

 一つ目についてこれから書くことは完全に僕の憶測ですが,左寄りあるいは朝鮮・中国にどっぷり取り込まれている人たちによるものでしょう。民主党内での主導権争いで仲間内からという線も考えられないことはないでしょうけど,民主党に今そんなことやっている余裕はないはずなのでまずあり得ない。だとしたら,やたらとテレビや雑誌などでタカ派的な主張を繰り返す西村議員を疎ましく思っている連中による仕業だろうと考えて差し支えない。ちょっとオイタがすぎましたな。
 とはいえ容疑の内容を冷静に見ていくと,これってけっこう悪質だなあという印象ももちます。元職員に名義貸しして毎年1,000万円近くの弁護士報酬を献金(?)として受け取っていたわけで,本人は当然そういう指示をしたことは否定するだろうけど,そう見られても仕方がない。弁護士印まで使わせていたんだったら,知らなかったではすむはずもありません。この事件は彼の議員生命にとって致命傷にはならずとも,表舞台での活躍はしばらく控えなければいけなくなるぐらいのインパクトはあると思います。

 二つ目。選挙に大敗してメディアへの影響力を格段に落としてしまった民主党が,彼をかばいきれず事件が表に出てきたという見方ができます。およそ代議士たるものクリーンな活動だけで票がとれるっていうのは教科書の話か,漫画か,そうでなくともかなりの名声を持っている人だけの話。きれい事だけで回るような甘い世界ではない。だからどんな議員でもすねに傷を持つスキャンダルは多かれ少なかれ持っているもんです(安倍官房長官にもありますよ。例えばこれ)。そのスキャンダルが表に出ないようにするのが党の仕事でもあるわけで,過去にもいろんな事件が闇に葬られてきたことはいろんな本を読めばわかります。今回,民主党は看板議員である彼のスキャンダルを潰せなかった。
 彼は自民党にいないのがおかしいぐらいのバリバリの保守派なわけですが,民主党なんかで出てしまったから小選挙区で勝てず,なんとか比例で通してもらっています。彼のこれまでを全く知らない人が彼の主張を聞いたら民主党の人間だとは思わないだろうし,これだけ中国・朝鮮の暴挙がクローズアップされている中で彼の発言が支持されないはずがないので,自民党で出てたら圧勝だったに違いありません。その勢いをかっていれば自民党ならばこの程度のスキャンダルは簡単にもみ潰せたでしょう。「亡国のイージ○」が大手メディアに圧力をかけて,きれいさっぱり押さえ込めたと思います。前原のようなアマちゃんじゃあそこまでのことは無理。
 
 この事件,どこまで広がるかな?ま,個人的にはどうでもいいことなんだけど。
 西村議員にはこの際,議員生命をかけて,郵政民営化のカラクリとかBSE問題,タミフル問題,皇室典範改悪の件だとかをいろんなメディアにぶちまけてほしいね。  
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2005年11月23日

BSE問題の報道を見ればいかに日本人の情報リテラシーがおそまつなのかがわかる

 ブッシュ・小泉会談のによって,事実上,アメリカ産牛肉の輸入解禁宣言が出されましたが,各メディアはあんまり騒ぎませんね。早ければ来月ですよ。もっと消費者への注意喚起をすべきだと思うのですが,なぜされないのでしょうか。吉野家などの賛成派も,今のままじゃあ国民の大半が不安を抱えたままという状態を改善できるとは思っていないでしょうに(→ 【4割強が「購入しない」 米国産牛肉でネット調査】(共同通信))。
 こりゃあ,なんかあるなあと思っていたら,やっぱりあったよ。

(Nov/22/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【変異型ヤコブ病、米で2人目発症…英国で感染か】
 米疾病対策センター(CDC)は21日、テキサス州の男性(30)が、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)に感染した牛を食べてかかる「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」と診断されたことを明らかにした。米国で2人目。
 AP通信や地元紙によると、男性は今年初めまで4年間、同州ヒューストンに在住し、現在は英国に戻って治療を受けている。この病気に感染する危険性が高かった1980年代初めから90年代半ばまで英国に住んでいたことから、英国で感染したとみられる。
 米国在住中に発症したため、CDCは米国の患者に含めた。
(引用終了)

 もちろんアメリカ産牛肉が原因とは書いていませんが,イギリス産だったとしても今の時期にBSE=ヤコブ病という図式を定着させるのは得策ではないですからね。ましてやアメリカのBSE対策が杜撰そのものだという正確な指摘がテレビなどでされては,せっかく脅し外交で小泉を屈服させたブッシュ様もお怒りになるのでしょう。
 だとすればこういうニューズはしばらくひっそりと,インターネットのような,自分から進んで取りに行かないとわからない形でしか配信されないでしょう。寝ている間に届けてくれる新聞とか,スイッチつければ教えてくれるテレビでの報道効果には期待できませんね。

 それでも大手メディアは,こそこそとこのような報道をして,さも「ちゃんと報道していましたよ」っていう証拠を残しておくつもりなんだろう。茶の間に届けるつもりがなければ届くはずがないってことぐらいはわかっててやってるんでしょうけど。
 自分の頭でじっくり考えることのできないB層の人たちが決して読まない,Newsweek(日本版)とか文芸春秋とかの雑誌にはBSE問題についてあらゆる問題点が採り上げられているんだけど,人目に触れないもんだからいつまでたっても愚民は愚民のまま,知らされずに終わっているんだよね。ま,そういう人たちは足しげく吉野家に通ってもらってもどうってことはないけどね。その程度の情報リテラシーしかないんだから騙されても仕方がないわけで。

 大手メディア以外ではこんな報道もありましたよ。
 → 【米国産牛肉、やっぱり危ない?=ディアハンターも真っ青「鹿プリオン病」、霊長類に感染】(ニッポン消費者新聞)

 ま,多くの日本人ってのは情報はタダでもらえる,あるいは教えてもらえるもんだと思っている平和な人種。大陸のイカレタ国々の報道場面を見て笑っている自分たちも,同じような位置にいるってことにも気付いていない。マイナス100を見て自分たちのマイナス80に気付かないわけね。愚民戦略のイロハですね,見事にハマっている人が多いですね。

 情報についてはいろんなアンテナをはっておくべきでしょう。インターネットだけじゃ不十分ですから,僕はお金を出して情報を仕入れていますよ。週刊誌,月刊誌はもちろん専門の調査機関のレポートなども含めて,それなりにね。これは,無料でもブログなどの影響で多くの情報が得られるけど,質という面では不十分だからです(これは批判ではありませんよ。無料なんだから質まで望む方が悪い)。
 このサイトのサイドバーにいくつか有用な情報サイトのリンクを張ってあるので,また参考にしてみてください。  
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2005年11月22日

僕は株はやってませんよ。しつこいですが。

 僕の資産運用についてどうも誤解されている方が多いようなので,ここではっきりと言明しておこうと思います。間違った情報で僕の名誉が傷つけられる事態に及んでいるからです。

 まずは投資に関する僕の基本的な考え方から。
 僕の本業は坊主です。ですが,寺の財産をリスク商品で運用するなんてことはありえません。あくまで僕個人の資産のうち,「なくなってもかまわない」と思っている金額をリスク商品として運用するものです。当然ながら「なくなってはいけない」資産は安全運用にしています。また,当然ながらそういう資産はひっくるめて自己責任で運用しています。

 本業に集中できなくなるような投資は,はっきり言えば有害です。金融機関の職員なら本業が資産運用なので本気で情報収集や分析することが仕事になりますが,僕にとってはリスク資産での運用は趣味であり勉強でしかありません。金融機関の職員でないにしても相場師じゃあるまいし,ずうっと相場につきっきりなんて性に合いませんから,今流行のデイトレーダーでもありません。ここは絶対に誤解して欲しくない点です。

 それから,投資の対象について無茶苦茶誤解されているのですが,しつこくここでもあっちのブログ(→リンク)でも書いているとおり,「株」はやりません。グローバルソブリンなどの「投資信託」(ファンド)もやっていません。「FX」(外貨証拠金取引)しかやっていませんし,他のことをやる余裕がありません。
 株で儲けているなんていう噂がたって非常に不愉快です。まったくノータッチですから。

 なぜ流行の株式投資をやらないか?
 答えは単純「わからないから」。
 知らない商品を買えますか?チャートを見て上昇しているから(今後も上昇するだろう)っていう理由だけでその会社の株を買えますか?
 答えがYESの人は別にそれはそれでいいと思いますが,僕はそうは思わないので,株はやらないんです。知らない会社の成績なんて興味もないし勉強しようとも思わないので。楽しくなけりゃ趣味じゃないでしょ。

 もう一つの理由をあげるなら,「政府のプロパガンダの手伝いをしたくないから」。
 どういうことか説明しよう。小泉政権になって竹中大臣が構造改革とか小さな政府だとかのデフレ政策を強力に推進したので,株価は急落して日経225は7,000円台まで下落しました。それでも,彼らは日本人の「勧善懲悪・水戸黄門大岡越前選好」を利用したプロパガンダを展開して,テレビ・新聞などの主要メディアを通じて,政敵を悪者にしたてあげて自分たちを正義の味方だと信じ込ませることで,事態を誤魔化しながら天下を握ってきたわけです。電通という巨大広告会社に牛耳られた大手メディアはワイドショーと小泉礼賛しかできなくて,彼らの言動を信じるしかない「B層」有権者達によって,ついには国民の9割が本当のことを理解していない郵政民営化なんていう穴ぼこだらけの法案を通してしまった。350兆円もの資金を自由にできる権利がどうしても欲しい外人達は,援護射撃として,衆議院解散直後から小泉応援のための日本株買付けを開始し,ついには日経225は小泉就任時点の水準にまで戻ってきたのです(実際に民営化法案が否決されたときに株価は急落して,衆議院解散されてすぐに外人達が買っている事実を見れば,法案可決のための世論誘導を目的とした景気回復報道が必要だったことは間違いないでしょう)。株価回復=景気回復というロジックで,小泉・竹中の構造改革が成功しているという演出をする必要があったから,外人が大量に買って,それを新聞とか株雑誌があおって個人を引き込んで今の株高が演出されているのです。
 そういうプロパガンダに乗って儲けることがいけないことだとは当然思っていません。騙されていた方が幸せっていうこともありますし,事実,今まで株を買っていた人たちは儲けていることでしょうから。でもこれじゃあバブルのときと一緒じゃん。周りの人が儲け出したから自分も乗り遅れないようにしよう,簡単に儲けられるよっていうノリの本しか売れていないし,学校での投資教育が進んだわけでもないし。本当に自己責任っていう言葉の意味をかみしめて株に投資している人がどれぐらいいるのだろうと僕は心配なんです。ま,そうはいっても他人が自己責任だと思い込んでやることですから心配したところでどうしようもないですがね。

 へそまがりな僕はどう考えたか。この政府プロパガンダを利用してやれ。
 本当に景気が回復していたら,即刻,ゼロ金利なんていうバカな政策にピリオドを打たないといけません。政府はいまだにデフレが抜けたかどうかわからないという理由で日銀に圧力をかけ続けていますが,デフレが抜けていないのに景気が回復しているなんていうからウソがばれるんです。金利を上げたくないならそう言えばいいのに,本当のことを国民に知られたくないから,過去のゼロ金利解除のときの失敗をあげつらっていろんな理由を引っ張り出しては愚かな政策を続けようとしている。彼らはここまで借金が膨らむとは思っていなかったんでしょうねえ。本気で構造改革で景気が良くなると考えていたようですし。マクロ経済学をちょっとかじればウソだってこと,大学生でもわかりそうなもんでしょ。
 こりゃあ,ゼロ金利はしばらく続くな。福井総裁がどう考えているかは知らないけど,財務省とアメリカの意を酌んだ武藤副総裁が簡単に解除させるわけがない。となれば,これを利用して外貨との金利差(スワップ)をいただいてしまおう。ということでFXでスワップ中心の投資をやろうと思ったわけです。
※注:実際には今年の3月からFXを始めていますが,当初からスワップ中心の運用を考えていたわけではありません。小泉マジックのカラクリが透けてきた8月ごろから運用スタイルを変更しました。

 消費税率が上がる,サラリーマン増税が待ちかまえている,社会保険料は増額される,こんな状況で金利上げれますか?住宅ローンの支払いまで増えたら,まとまな家計でさえ破綻リスクに直面して,健全な消費活動だって望めなくなりますよ。
 そうは言っても,これまで以上に海外との金利差が開いてしまうとゼロ金利が解除される可能性も出てくるでしょう。先週末からユーロ金利を定めるECBの総裁が利上げについて言及していましたしね。

 株投資をしようと思わない理由はまだあります。FXに比べてメリットが小さいというものです。
 例えば,利益確定しないと複利効果がないとか,東京市場が開いている時間しか取引できないとか,「買い」しかできないとか。いろいろ僕なりに調べてみて「株は面白くない」という判断を下しました。

 株なんてハイリスクハイリターンのギャンブルだから,っていう古くさい理由でやらないのではないですよ。FXだってギャンブルですから。ただし自分でリスクをコントロールできるという利点をもったギャンブルはそれほど多くありません。僕がFXを選んだのはリスクコントロールが可能だからという理由も大きいのです。だって本業じゃなくて趣味で投資するんだから。
 リスク商品ってのは確率に投資するものなので,どんな美辞麗句を並べたってギャンブルです。ましてや短期的な利益を狙いに行くデイトレード,スウィングトレードなんてギャンブルそのもの。パチンコ・競馬・競輪・競艇と同じです。同じギャンブルなら,わかりやすくって読みやすい商品に投資するのが当然でしょう?馬が好きな人は馬のことをしっかり勉強して競馬をやるだろうし,株が好きな人は会社の状況をしっかり勉強して株をやるでしょう。僕は為替が好きだから(銀行員時代に体験して面白さを知ってしまったから)FXをやる,ただそれだけです。

 FXで儲けているって言われるならともかく,株で儲けていると言われるのは心外です。ブログでも儲けを公表しているぐらいFXについてはオープンなんですから,言うならそっちで言ってもらいたいもんです。株はしばらく時間と興味がないのでやりませんよ。  
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2005年11月19日

グローバルソブリンは今投資すべきか否か

 ある先輩からグローバルソブリンについて質問がありました。今の時期買うべきかどうかについて,「僕の個人的な」意見を述べたいと思います。

 まずは事実確認から。
 グローバルソブリンというのはもともとはどこかの証券会社が設定するファンドの商品名だったと記憶しています。それがカテゴリ的な使い方をされるようになって,特に毎月分配型がものすごい人気を呼んで名称が一般化しました。ソブリン(ソブリン債券)とは「各国政府などが発行する債券」の総称で,一般的には(外国)国債ですから,仕組みは海外債券投資信託の一種と言えます。

 基本知識のおさらい。
 海外債券投資信託と聞けば考えられるリスクは,為替リスク,信用リスク,金利リスク,流動性リスクなどです。それぞれ見ていきます。

  • 為替リスクは例えば円高になれば元本を割る可能性が高まります。為替リスクはヘッジするタイプとされないタイプがあるようで,当然ながらヘッジしないタイプはよりハイリスクハイリターンになります。
  • 信用リスクは主に国のデフォルト(債券不履行)にかかるリスクです。巨額の双子の赤字を抱えてどうにもならないアメリカの通貨をどこまで信用するかなどの個別国に対するリスク評価になりますが,まあ通常はことさら危険視するほどのものではないでしょう。そもそも高格付の国の債券しか入れないでしょうし。
  • 金利リスクとは要するにインフレリスクのことです。インフレ懸念などで長期金利が上がると債券価格は下落しますから,当然ファンドとして(時価評価ベースで)元本割れの可能性が出てきます。例えばアメリカでは今インフレ抑制議論が盛んですから,実はグローバルソブリンで最も気をつけるべきリスクであると言えます。
  • 流動性リスクとは,売りたくても買い手が現れず売れない銘柄に対するリスクのことですが,高格付の国債なら心配する必要はないでしょう。

 これらは一般的なリスクについてです。次に,グローバルソブリン特有のメリットについて見ていきます。

  • 債券ファンドであり株などに比べてリスクが小さい。
  • 銀行などでも売っていて,預金のような感覚で取り組める。
  • 毎月分配型が多く,毎月お小遣いをもらえる感覚で投資実績が実感できる。

 細かく見ればもっとありそうですけどこれぐらいでいいでしょう。要するにリスクが低い割にリターンもそこそこよくって,毎月お小遣いをもらえるというところがウケているということです。後でデメリットのところで述べますが,銀行などは売れば売るほど手数料が入ってくるので,彼らにとっても美味しい商品でありどんどんファンドの残高が大きくなっているようです。

 さて,メリットがあればデメリットもあります。で,これらの点は証券会社とか銀行とか売る側にとってマイナス情報ですから,彼らの口から積極的には語られないものです。しかしながら厳然として無視できないデメリットは存在しますから(どんな商品にもあてはまることですが)今度はこれを見ていこう。

  • 販売手数料が高い。
  • 信託報酬が割高。
  • 分配金が流出するということは複利効果が全くないということ。
  • 儲けた分にはきっちり税金がかかる。損しても他の投資商品の利益と通算できない。つまり税制上不利。
  • ファンドが大きくなりすぎてパフォーマンス低下。その結果,赤字配当が多くて元本割れが続いているファンドが多い。

 いいことばかりではありません。最初の2項目ぐらいは銀行も証券会社もボソボソと説明してくれるでしょう。でも3-5項目については誤魔化すか,そもそも説明しないでしょう。ここにグローバルソブリンの最大のデメリットが潜んでいるわけですが,多くの人は気付きません。あなたは気付きましたか?そして気付いた人はこうも考えるはずです。「結局,これだったらアメリカ国債を証券会社で買った方がパフォーマンスいいんじゃないの?」

 そもそもどういう意味かわからないという方のために補足説明をしておこう。
 1点目の販売手数料については,例えばオリックス証券(→ サイト)では1.575%です。1億円以上なら1.05%ですが,無視しましょう。100万円を投資するなら投資する段階で15,750円を証券会社(あるいは銀行)に支払うわけですね。まだ投資してもいないのに。これが高いと見るか安いと見るかは個人の判断次第。

 2点目の信託報酬っていうのは,要するにファンドを運営するファンドマネージャーの取り分です。運用がうまくいけばいくほど彼らの取り分が増えるというものです。これが1.3125%。これは毎年引かれます!運用がうまくいこうといかずとも,100万円に対して13,125円が口座から引き落とされるということ(厳密に言うと運用がうまくいっていればいるほどもうちょっと取られます)。高いですか?安いですか?この水準ははっきり言えば債券投資信託としては割高です。株式投信並み。

 3点目の「分配金が流出する」ということですが,毎月決算を行って得られた金利(債券のクーポンのこと)を分配するときにファンドからお金が出て行くということです。いわゆる「累投」という,分配金をさらに同じファンドに再投資することができません。つまり複利効果がありません。
 なぜこういうことをするかというと,「お小遣い」という効果を演出するためです。ファンドが増えていても運用報告書を隅々まで読む投資家は少ないですから(本来はこういう状態がいけないんですけどね)預金通帳に毎月何千円かの運用結果が反映されている方がウケがいいという,ただそれだけの理由ですね。投資のプロから見れば子供だましそのものなんですが,まあ投資初心者の方々が練習に買ってうまく行ったと喜ぶにはいいのかもしれません。
※ひょっとしたら累投可能なグローバルソブリンもあるかもしれません。僕が知らないだけかも。全てについては調べきれていません。

 4点目の税金については若干専門知識がいります。別にグローバルソブリンだから税金が特別に高いというわけではありませんが,同じような商品なら非課税のものもあるんだよということを知っておいて欲しいから書いたまでのことです。今日はこれについては詳しくやりません。安間伸『ホントは教えたくない 資産運用のカラクリ』東洋経済などを読めば詳しく書いてありますので,そっちをご参照ください。

 5点目のパフォーマンス低下については皮肉なもんです。人気が出れば出るほどパフォーマンスは低下するものなんです。ジョージ・ソロスとか超人気のファンドマネジャーが活躍できたのはファンド自体がそれほど大きくなかったからであって,大きくなりすぎると彼らの動きが相場を引っ張ってしまうようになって,図体のでかさゆえに機動力が落ちてしまう(流動性が落ちるってこと)のです。ファンドを維持しようと思ったら,期日が来て償還になった債券を買い替えないといけないし,大口の解約が集中したら売りたくない玉も売らないといけない場面が出てくるのです。ま,これは有名ファンドの宿命なんですけど,皮肉なもんですね。
 結局,毎月「お小遣い」はもらえるけど,元本は割れてしまっているという状態のファンドがけっこうあります。オリックス証券のものは比較的マシなようですが,人気が出てきてファンドが大きくなったら同じ悩みを抱えることになります。
 また,元本割れしているのにも関わらず,客引きのための「お小遣い」である分配金を出さないわけにはいかないので,赤字配当を余儀なくされているファンドが多いのも事実です。知らず知らず資産が減っている可能性を疑わないといけません。
※何度も言いますが,これはグローバルソブリンだけの問題ではありません。一般の投資信託は全て元本割れのリスクを抱えています。僕はことさらグローバルソブリンを悪く言う意図はありませんのでご了承ください。

 こんなところですか。
 じゃあ,君だったら買うのか買わんのかと問われたら,僕は「買わない」と答えるでしょう。実際に買ってませんし。その理由を書きます。
 
 手数料が高いです。初年度は2.9%も取られます。分配金は100万円あたり毎月4,000円が相場のようですが,年利で4.8%,税金が20%引かれますので税引き後利回りは4.8%×80%=3.84%。ここから2.9%引くと1.0%切りますね。解約するときも信託財産留保額が0.5%引かれますからそれも忘れてはいけません。
 本当にお得でしょうか?
 
 これは元本が不変であるという仮定においての話ですが,実際は元本は変動します。主に為替と金利の影響を受けるということは前述しました。
 為替については円安基調なのでフェイバーに動いていく(つまり儲かるってこと)可能性は高いです。ただし買うタイミングとしてはやや遅いかなと思います。USD/JPYレートが@119.50をつけた段階ですから。それでも長期投資という観点で言えば,デフレと地震リスクと高齢化と財政破綻の役人天国・日本の通貨が高くなることは考えにくいのと,さらには郵政民営化で350兆円もの資金が外貨に変わっていく可能性が高いことから,円安の流れは変わらないと僕は見ていますので,為替だけに着目するのであれば取り組んでも損はないかなあという思いはあります。でも為替ヘッジしているタイプを選んだらその恩恵は少なくなりますからご注意を。
 一方で,金利については僕は悲観的です。どこの国の通貨も基軸通貨の米ドルとの金利格差の変化を危惧して,利上げ基調にあるからです。具体的には,アメリカはFF金利が9.11テロ前の水準に戻っていますが,国内のインフレ抑制を目的にさらなる利上げを考えている状況であり,この短期金利の利上げは長期金利上昇(つまり債券価格下落)に大きな影響を与えますから,実は現在は債券投資は慎重にしないといけない時期なのです。
 EU諸国も今はフランスの暴動などでユーロが売られていますが,米ドルの金利との格差が開くばかりでは国際資金の流入がますます乏しくなってきますので,金融当局は金利引き上げの可能性をここ数ヶ月はずっと示唆し続けています。EUだって金利上昇の可能性です。
 オセアニアも米ドルとの金利差を広げておきたいのと好調な国内経済状況もあって,利下げになる状況にはありません。
 日本は言うまでもないでしょう。景気が回復したら債券が売られて株が買われるので(実際にその動きが出てきていますよね)債券価格は下落しています。
 このように世界中が金利上昇局面にあるため,債券投資はできるだけ控えるべきではないかと思っています。金利分も年利は1.0%を切りますし(ただし1年目のみ)。こんなことなら黙って証券会社でアメリカの国債でも買っておいた方がよっぽど利回りがいいです。FX取引などで為替ヘッジしておけば為替リスクもそれほど心配いりませんし。
 もちろん10年以上資金を寝かせるつもりの長期投資であれば反対はしません。為替差益でカバーできるかもしれないからです。

 じゃあ,君は何に投資するつもりなのだ?と聞かれたら,僕は「今ならFX。将来は・・・状況を見て考える」と答えます。
 FX(為替証拠金取引)が「現在」有効であるということの説明はこっちのブログ(→ サイト)で現在も展開しているところです。解除したくてもできない日本のゼロ金利を逆に利用して,円キャリートレードで高金利通貨スワップ獲得作戦を展開するのが一番ラクです。株も最近はパフォーマンスはいいですが,個別企業の分析にはかなりの時間を割かないとできません。為替は通貨ペアも自分が得意なものはせいぜい5種類ですから,これらの通貨を分析しておけば足りますので。

 ゼロ金利が解除されたり,いよいよ日本のインフレ(おそらくスダクフレーションになるかハイパーインフレになると思われます)が始まったらFXから次の商品に乗り換えるつもりです。商品先物になるか海外ファンドになるか,今は勉強中ですが,資産保全のために研究していくつもりです。

 というわけで,グローバルソブリンは「僕なら」今はやらないねという結論。でもプロでもない素人投資家の判断ですから別に参考にするまでもありません。人気商品だし,なんだか得しそうだし,ということであれば取り組んでももちろんかまいません。とにかくいろいろと投資をしてみて経済の勉強を身をもってしていく方が大事かもしれません。やる前からウダウダ考えるよりもね。
 でも大事なのは終わってからの反省です。なぜうまくいったのか。なぜうまくいかなかったのか。うまくいったはずなのになぜうまくいっていないのか。などなど。その繰り返しで金融リテラシーは磨かれていくのです。

 と,かっこいいことを書いて今日は終わっておきます。  
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2005年11月17日

日本の国体のためには国民を危険にしてもいいんだという現代自民党的発想

 案の定というか何というか,小泉首相は薮君に見事なプレゼントを献上してお帰りいただいたようです。

(Nov/17/05 共同通信より引用開始)
【年内輸入再開の方針伝達 首相,米国産牛肉で】
 小泉純一郎首相は16日に京都迎賓館で行われた日米首脳会談で,懸案の米国産牛肉の輸入再開問題について,「内閣府食品安全委員会の正式な答申を受けて,政府がしかるべき措置を取る」と言明,年内輸入再開の方針を伝えた。
(略)
 大統領は,牛肉輸入再開問題について「議会などの関心が非常に強い」と指摘。首相は「できるだけ早期に日米間で双方向の牛肉貿易を再開したいと希望している」と応じ,食品安全委プリオン専門調査会の答申案で年内の輸入再開に道筋が付いたことを説明した。
(引用終了)

 それを受けて米帝はこう語っています。

(Nov/17/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米大統領,米国産牛肉の輸入再開方針を評価】
 小泉純一郎首相は16日のブッシュ米大統領との会談で,BSE(牛海綿状脳症)で中断した米国産牛肉の輸入再開問題について,食品安全委員会プリオン専門調査会が輸入再開を事実上認める答申案を出したことで12月中に米国産牛肉の輸入が解禁されるとの見通しを明らかにした。大統領はこれを評価したうえで早期の対応を求めた。
 大統領は会談後の共同記者会見で「専門調査会は,米国産牛肉は安全で安心であるという判定を出してくれた」と語った。
 調査会は米国とカナダ産牛肉と国産牛肉の安全性を比較するよう政府から諮問を受け,科学的な検証を実施。生後20カ月以下の若い牛に限定することや,病原体であるプリオンが蓄積する脳などを取り除くことが徹底されていればリスクは小さいとの結論を出した。日本政府はこれを受け,12月中の輸入再開に向けた手続きを進めている。
(引用終了)

「専門調査会は,米国産牛肉は安全で安心であるという判定を出してくれた」というのはすさまじい拡大解釈。日経があわてて補足しているように,まず厳格な条件厳守を前提としているのであって,手放しで安全だとは答申のどこにもそんなことは書いていない。っていう正論をクレイジーなアメリカ人にしたところで仕方がないですが。

 こういうわけで,またしても属国日本が宗主国様のいいつけどおりに動くことになってしまいました。自民党って保守政党だと思っていたんだけど違うんだね。アメリカを守るけど日本国民を守ろうという気持ちはないみたい。自民党結党50周年で「独立」を果たすんじゃなかったのかね。国民向けアピールと宗主国様向けアピールをこんなに単純に使い分けて恥ずかしくないのかね。そんなことだから,憲法改正もアメリカに言われているからするんだとしか思えないんだよ。

 では本当の保守派ならどうするか。
 日米関係は重要だから,アメリカ向けには輸入再開OKと言う。でも国が一括して買い上げて税関を通した段階で肉を全焼させる。だって危険部位がきっちりとられてるか,本当に20ヶ月以内の牛なのか判別できない(つまり危ない)から。これはアメリカ企業が全頭検査を開始するまで続ける。文句は言わせない。カネ払うんだから。慰霊碑ももちろん税金で建てて牛の供養もしてあげる。
 財源?国債発行でいいじゃん。どうせ今の金額だって返せやしないんだから。
 国内には「日本の国民を,アメリカの杜撰な食肉産業の圧力のもとに晒すわけにはいかない」とでも言っておけばいい。

 話を戻します。牛丼企業の対応はこんな感じらしい。

(Nov/17/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【牛丼チェーン4社増収,米国産牛使用は判断分かれる】
 牛丼チェーン大手4社の2005年9月中間連結決算(吉野家ディー・アンド・シーは8月決算,なか卯は単独)が17日,出そろった。米国産牛肉の輸入停止による打撃から回復しつつあり,全社が増収を確保し,経常利益でも増益か黒字転換を果たした。
 豪州産牛肉の牛丼が好調だった「すき家」のゼンショーと,食材費の調達コストを削減した「松屋」の松屋フーズは,利益を大幅に増やした。吉野家は,単価の高い新メニューのヒットで単独決算は税引き後黒字を確保したが,連結決算はグループ会社の業績不振などで税引き後赤字だった。
 年内にも輸入が部分再開される見通しの米国産牛肉については「再開決定から2か月以内に牛丼を復活させる」(吉野家),「価格や肉質など条件次第で使用する」(松屋),「当面は使わない」(ゼンショー)と対応が分かれている。
(引用終了)

 吉野家の傾倒っぷりが目立ちますな。ま,そのために臥薪嘗胆,いや臥薪嘗「プリオン」してきたんだから仕方ないか。願わくば,BSE原因のクロイツフェルトヤコブ病患者が吉野家常習者から出てこないことを。
 そうそう,牛丼屋なんかには行かないって言ってる人も安心はできませんよ。

(Nov/14/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米産牛肉,外食や小売りの6割「解禁後使う」・日経調査】
 年内にも輸入が再開される見通しとなった米国産牛肉について,主な外食・小売業のうち6割近くが「使う」と考えていることが,日本経済新聞社の聞き取り調査で分かった。ただより確かな安全性や価格を取り扱いの前提条件とする企業が多く,実際の取り組みは差が出そうだ。
 調査は外食・小売業の大手50社を対象に11月上旬に実施し,44社から回答を得た。全体の52.3%にあたる23社が「(6カ月以内をメドに)様子を見てから使う」と答えた。扱う条件(複数回答)としては米国の加工業者による「安全性の向上」(15社)が最も多く,次いで「仕入れ価格が採算に合う」(14社)が続いた。
(引用終了)

 金,かね,カネ。企業だから仕方ないんだけど(このエントリで「仕方ない」を何回使っただろう)消費者の方も向いて欲しいなあ。毒(と思われても仕方がないもの)を政府のお墨付きで売りつけるんだから。

 現状では生鮮肉の原産地表記が法律で義務づけられているわけだけど,これも「加工品」になってしまえばその義務もなくなる。例えば,肉にタレをつけるだけで「加工品」になるので(ウソだと思ったらスーパーに行って確かめてみよう)そんなもんいくらでも誤魔化しがききます。
 外食になればもう何が何だかわからんでしょう。ウエイターやウエイトレスにだって知らされないでしょう。もし客に聞かれたら「当店ではアメリカ産牛肉は一切使用していません」と答えるように教育するけど,それが本当かどうかを知っているのはごく一部の人間だけになるのでしょう。

 というわけで,僕はもうきっぱりと「安物」牛肉との決別を宣言します。国産和牛の「高級」牛肉は食べると。年に数回で十分ですけどね。おっと。そもそも出家の身だったか・・・。  
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2005年11月16日

景気が回復してるんならゼロ金利やめろよ じゃなかったらウソつくなよ

 経済関連ニューズを追っかけるのは面白いです。やっぱり元銀行員の血が騒ぐのでしょうか。まずはこのニューズをご覧いただきましょう。

(Nov/11/05 MSN-Mainichi INTERACTIVEより引用開始)
【実質GDP:景気は回復基調 内閣府が強調】
 内閣府が11日発表した05年7〜9月期の国内総生産(GDP)速報は,実質で前期比0.4%増,年率換算1.7%増と,数字の上で年前半でみられた回復の勢いは鈍ったが,内閣府は景気の回復基調に変化はないと強調した。民間調査機関も「成長減速を過度に悲観的に見る必要は全くない」(第一生命経済研究所)と,景気が底堅さを維持しているとの見方は一致している。
(略)
 一方で,原油価格高騰は依然として不安要素で,中国や米国経済の減速による輸出への悪影響や,国内の個人消費を冷え込ませる懸念もある。増税や医療費の自己負担分増加などが政府・与党で議論され始め,消費者心理にどう影響を与えるのかは不透明で,内閣府幹部も「消費の動きを慎重に見極める必要がある」と話している。
(引用終了)

 景気が回復してるんだったらゼロ金利・量的緩和政策なんて早くやめないといけません。これだけプラスの情報が出そろってきているのだから,日銀が早く解除したがっている方が正論です。景気が回復しているって政府は宣伝したくていろんな数字を大げさに出しているんだろうけど,一番大事な部分でしり込みするんですね。ま,数年前に一度ゼロ金利を解除した後に不況に戻ったもんだから慎重になるのはわかるけど,あの時の不況はいわゆるITバブル崩壊が波及したものだからね。今とは状況が違う。今もいろんなリスクを抱えているじゃないかという反論はあるでしょうけど,問題のない時期なんてないんだから,もっと柔軟になるべきなんです。

 ここまでは僕の正論。というのは,この政府が発表している経済指標が本当にこんなに景気回復を告げているものであればという仮定での話ということ。実際はそんなわけがないでしょう。大企業だけの指標を見たって,膨大な数の一般消費者の消費が戻っていないと判断を誤ります。

(Nov/15/05 MSN-Mainichi INTERACTIVEより引用開始)
【生活保護:04年度100万世帯に迫る 厚労省公表】
 厚生労働省は14日,04年度1カ月平均の生活保護を受けている世帯が前年度比5万7617件増の99万8887世帯に達したと公表した。保護世帯のうち高齢者世帯が46万5680世帯と最も多い。生活保護を受けている人数(1カ月平均)も7万9061人増の142万3388人。一方,04年9月の保護開始世帯1万7050世帯のうち,最も多い理由は「傷病」で,6833世帯(40.1%)を占めた。
(引用終了)

 これが実態でしょう。これからサラリーマン増税とか社会保険料負担増とか相続税強化とか退職金課税強化とか,一般サラリーマンや年寄りをいじめる政策が目白押しなんですから,早いうちに生活保護を受けたほうが生きるためには効率がいいんです。生活保護のお金は非課税ですからね。働いても働いてもいっぱい収奪される羊達が苦悩のうちに人生を終えるのを見たら,働かずに生活保護を受けるほうを選ぶ人が増えてもおかしくないでしょう。

 実態はこうだというのを見た後で,さらに政府の発表した数字が実は???だったという記事も紹介しておきましょう。

(Nov/16/05 Nevada経済速報より引用開始)
【景気指数の悪化】
日経新聞に極めて小さな扱いでこのような見出しがありました。
【景気一致・先行指数 ともに50%以下】
これは本来なら一面トップで報じる事態なのです。
何せ,政府マスコミあげて景気は回復した,株を買いましょうという大合唱をしたものの,実際には景気は急速に悪化してきているからです。
景気一致指数 50.0%(下方修正)
先行指数   45.5%(下方修正)(略)
(引用終了)

 僕と同じくいつも悲観的な記事ばっかりのこの引用サイトですけど,これは事実だから仕方がない。衆議院選挙前からいっぱい株を買ってくださっていた外人さん達が売ってしまいたいと言っているので,個人投資家にはめこんでやろうという動きかもしれません。・・・さすがにそれは悪読みしすぎか。

 ま,しばらくは政府も株高をあおっていくでしょう。円安が進んでいるので輸出企業が儲かるからっていう理由で経済レポートもすぐに書けるでしょうし。でも,実態を無視した株高っていう状況を簡単に見逃すようでは,バブル期の反省が全く活かされていないってことですよね。確かに日本企業にはすばらしい技術をもった会社がたくさんあるんだけど,肝心の国策がこんなんじゃあ外国に札束ビラビラされて強奪されるのも仕方がないことなのかなあ。しっかりしてくれよ。

 それにしても政府はまったくトンチンカンなことばっかり言ってるね。

(Nov/14/05 産経新聞より引用開始)
【量的緩和継続 日銀に要請 中川自民政調会長】
 自民党の中川秀直政調会長は十三日,京都市内での党京都府連の会合であいさつし,財政再建への取り組みに関し「一番バッターは日銀だ。政策目標は常に政権と合致させる責任がある」と述べ,政府が求める量的金融緩和政策の継続を日銀に要請した。同時に「これが分からなければ,日銀法改正も視野に入れなければいけない」と述べ,日銀の対応次第では独立性確保を柱とする同法の改正を検討する考えを明らかにした。
 中川氏の発言は,量的緩和の解除に意欲的な日銀を牽制(けんせい)するのが狙いとみられるが,与党幹部が法改正にまで言及したのは初めて。
(引用終了)

 なんで政治家って経済がわからない人間が多いんだろう。中川には期待するところもあったけど完全にバカを露呈してしまったね。一言で言えば自民党の驕りだね。なぜ日銀が法律で政府との独立性を保証されているのかということもわからんような人間を政調会長に選ぶなんてね。そんなことだから官僚にバカにされて,彼らの作った法案を棒読みするしかできなくなるんだよ。何でもかんでも政治力でなんとかしようなんて,いつから自民党は共産党になったんだ?

 逆から考えてみようか。つまり,日銀の独立性の意義は十分わかってるけど,もうそうは言ってられない事態なんだよってことか。だったらなおさらやばいね。中央集権化と大本営発表ばっかりじゃお先真っ暗だね。IMFはそこんとこもわかってるのかもよ。

(Nov/12/05 NIKKEI NETより引用開始)
【日本,消費税率の引き上げ必要に・IMF副局長が見通し】
 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のダニエル・シトリン副局長は,日本が財政再建に真剣に取り組むべき時期を迎えているとし,将来の社会保障制度の財源として消費税率の引き上げが必要になるとの見方を示した。これらの見通しや提言は,14日付の機関誌IMFサーベイで公表する。
 日本経済はデフレの最終局面にあると指摘。今後2年は年率2%程度の経済成長率を維持できると見通した。日銀にはデフレ圧力が完全に消えるまで,金融の量的緩和政策を維持する必要があると提言した。
 日本で量的緩和解除のタイミングについての議論が高まっていることを踏まえ,金融市場に混乱を引き起こさないように「漸進的かつ透明性の高いやり方」で解除するよう期待を示した。
 日本は「財政赤字に取り組むため真剣に段階を踏んでゆく時期が来ている」と強調。歳出削減と同時に税制改革を実現する必要性があるとした。
(引用終了)

 さ,資産の保全に真剣に取り組んでいこうかな。機は熟したかな。  
Posted by p-5796189 at 23:16Comments(0)TrackBack(0)

2005年11月15日

外為ブログ更新

 あっちのブログ(→ リンク)を更新。新型PowerBookG4のレビューです。  
Posted by p-5796189 at 23:19Comments(0)TrackBack(0)