2005年09月29日

ホリエモンの動きが見えませんね

 ちょっと財政破綻とか辛気臭い話が続いたので話題を変えよう。選挙が終わってから見ないホリエモンについて。

(Sep/23/05 ストレイ・ドッグより引用開始)
【ホリエモンの“天皇発言”に、右翼が攻撃開始】
 関係者等、複数の情報によれば、9月26日(月)から、ライブドア・堀江貴文社長の先の総選挙期間中の“天皇発言”に反発した右翼団体が街宣活動を本格的に開始することがわかった。
 警察庁などは、万一の実力行使も視野に入れ、相当、厳重な体制を敷くようだ。
 ただ、街宣先に関しては諸説あるようだ。
 常識的には、堀江氏自身(海外に出ているとの説もある)が一番ターゲットになるわけだが、天皇を否定するような者を実質、公認した自民党にも怒りの矛先は向けられており、選挙期間中、立候補した堀江氏応援のため、2度も広島入りした自民党の選挙総責任者・武部勤自民党幹事長もターゲットにされる(その場合、自民党本部に街宣か)との説もあれば、堀江氏の福岡県の実家を街宣するとの見方もある。
 堀江氏は選挙期間中、「象徴天皇制はなくていい」、「皇族はいらない」、「米国のような大統領制がいい」、「でも、右翼が恐いから、そう思っていても誰もいえない」等、旨の発言を行い、その当時から右翼団体の間では激しい怒りの声が上がっていた。
ちなみに、26歳と最年少で当選した自民党の杉浦太蔵代議士(比例南関東)に関しては、自民党支援者から、なぜ、あんなお調子者を公認したのかと、自民党本部などに批判の電話がたくさん掛かっているそうだ。
(引用終了)

 特にニューズになっていないのでガセだったのかな?それとも何らかの手打ちがあったんでしょうか?どちらにしても,ホリエモンは踏んではイケナイ虎の尾をぐりぐりと踏んでしまったようですね。天皇発言の直後はネットでもホリエモン批判が吹き荒れていましたし,僕も彼がここまで歴史音痴なのかと思うとゲンナリしました。こんな天皇発言をしたらどうなるかぐらいのことすら想像できないのであれば,彼は政治家には向いていないことは明らかです。タブーに挑戦!っていう前向きな評価もしようと思えばできますが,それはたかだか候補者がしなければならないことではありません。候補者は当選するのが仕事。タブーに挑戦するのは別に候補者じゃなくてもできますから。結果的に落選して日本のためにも彼のためにも良かったんじゃないかな。

 でもよく考えてみると,逆に彼が政治に首を突っ込んだ本当のねらいは何だったのだろうか。社長職を続けながらの立候補でしたから,間違いなく自社に便宜を図るための「広報活動」であり,うまくいけば技術的に先を越されているソフトバンクなどのネットビジネスを抑えて自社が有利になるように官僚へ圧力をかけてやろうぐらいのことではないかなと個人的には思っていますが。パフォーマンスも度を越すとダメですね。

 このブログも彼の会社のシステムだから,ひょっとしたら彼の悪口を書くと退去させられたりして(^^; なんてね。今日はかったるい話ですみませんでした。  

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2005年09月27日

国家破綻論,賛成か反対か?どちらの言い分ももっともなようでそうでもないような

 昨日は日本の財政状態について,一般会計のみならず特別会計なども含めた全体像で議論をすべきであると書きました。特別会計について付け加えると,これは非常にやっかいでありまして,昨日紹介した参考書(→松浦武志『特別会計への道案内 〜387兆円のカラクリ〜』創芸出版)をパラパラっと眺めても,よほど内部事情に詳しい人でもない限り財務諸表の数字からはどの部分が不良化しているかなどはわかりません。また,赤字だからといっても,間抜けな経営が原因なのか,そもそも民間で出来ないようなリスクの大きい案件(宇宙開発事業など。農林水産業なども含まれるでしょう)を扱っている構造自体に原因があるのかについても数字だけではわかりえません。現在の国のディスクローズ水準ではわからないことだらけなのです。ま,そんなことは時間が経てば解決されるだろうし,特別会計の財源の大部分を占める財投債なども今後議論されるでしょうから改善の方向へ向いていくとは思いますが・・・。

 今日もこの特別会計についての話はここらで置いて,昨日の破綻論者の主張についての考察を進めます。
 日本財政破綻論は,とにかく情報をネガティブにとらえるところから始まります。そのネガティブな考察を進めていけば必然的に日本の財政は破綻するだろうという結論に行き着くわけです。それが正しいかどうかは数年後にならないとわからないのですが,破綻論が間違っているとしたら,はじめの「ネガティブに情報を解釈する」というスタンスが間違っているということになります。ではどのようにすれば,そのネガティブな解釈が間違っていると決めることができるのでしょうか。
※あくまで,仮定から結論へ至るまでの論理に狂いがない場合の話です。この論理展開の部分さえネガティブなバイアスがかかっている主張も散見されますが,それはただの二流の破綻論者によるものです。

 実はここが永遠のテーマであり,財政破綻賛同者と反対者が決して折り合えない「情報解釈」の葛藤なのです。冷静に公表あるいは非公式データを集めて分析した結果,ネガティブな結論が出たのだとしても,ハナっから破綻論者=うさんくさいという目でしか見れない人には伝わりません。また,これまで日本は破綻する!と言い続けてきた側にとってみてポジティブな結論が出てきた場合は,それを認めたくなくなって無理やりネガティブな解釈に換えてしまうこともよくあります。このようなポジション・トークは第三者として鳥瞰していれば,そのバカバカしさに気付くものですが,論争の当事者になってしまうとそういう余裕は持てなくなります。ネガティブな解釈が正しいのか正しくないのか,誰もわからなくなってしまうのです(実際は起こってみないとわからないもんですが)。

 ちょっと抽象的な話ばっかりで眠たいですね。具体的な事例を出しましょう。
 例えば「国の借金は700兆円だ」というニューズを見たときに,破綻論者と反対論者ではどのように解釈するのでしょうか。
 破綻論者なら,これは国民一人当たり580万円超の借金を背負っていることになる!赤ん坊もお年よりも580万円だ!えらいこっちゃ!返せるわけない!という解釈をして,一気に「もう日本はダメだ!」にたどり着きます。
 一方で反対論者なら,待て待て!国民は1,400兆円も金融資産を持ってるんだぞ。借金だとしてもたかだか半分じゃないか。他にも海外債権いっぱい持ってるんだぞ。いざとなったらそれを回収して借金返せばいいじゃないか!脅かすなよバカヤロー!ってところでしょう。

 どちらの意見も正しいようで実は正しくない。どうしてだかわかりますか?(ま,僕の解釈では・・・という注釈つきですが)
 気になるところですがこの続きは明日にしよう。  
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2005年09月26日

毎年恒例!日本の財政赤字と債務超過を巡る報道が出そろいました。どうなるニッポン?

 日本の財政赤字に関するニューズが相次いでいるので(毎年恒例なのですが)僕の考え方,というか今後の見通しについて簡単に記しておこう。あんまりエントリが長いと読むほうも書くほうも疲れるので何度かに分けます。とりあえずは国の借金のニューズからご紹介。

(Sep/22/05 Sankei Webより引用開始)
【国の借金795兆円 6月末、過去最大を更新】
 財務省は21日、国債や借入金など国の債務(借金)残高が今年6月末時点で795兆8338億円に上り、過去最大を更新したと発表した。
 歳入不足を補う国債の大量発行が続いたことが響き、今年3月末より約14兆円増えた。国の借金は2005年度の税収見込み額(約44兆円)の約18倍の規模。国民1人当たり約631万円の借金を抱えている計算になり、危機的な財政状況をあらためて裏付けた。
 今年3月末の地方の債務残高は204兆円程度と推計され、国と地方を合わせると借金残高は1000兆円規模に膨らむ。
 国の債務残高は国債と政府の借入金のほか、短期的な資金繰りに使う政府短期証券(FB)の残高を合計する。
 内訳は、国債残高が640兆4002億円と、3月末より14兆369億円増加。国債の中心になる普通国債のうち、10年以上の長期国債は324兆1447億円、2―6年の中期国債は138兆5291億円、1年以下の短期国債は47兆6512億円だった。
 一方、借入金は8480億円減って、58兆2642億円だった。
(引用終了)

 本家本元のここから詳細データがとれます。時系列データもとれるのでヒマな人はExcelなどで分析してみてもいい勉強になるでしょう。続いて,これも毎年この時期に行われる報道ですが,国が債務超過だというもの。

(Sep/26/05 時事通信より引用開始)
【国の債務超過288.7兆円=財務省】
 財務省は26日、国の決算に民間企業の財務諸表の考え方を取り入れまとめ直した「国の財務書類(2003年度版)」を公表した。それによると、03年度は一般会計ベースで288兆7640億円の債務超過となった。税収減などにより前年度より約25兆円悪化した。
(引用終了)

 どうして2003年度が今ごろにならないとまとまらないの?という素朴な疑問が湧いてきましたが,悪いニューズほど後出しになるのが官僚思想ですから気には留めないでおこう。ま,特別会計やその他の国の出先機関などでは複式簿記を導入しているところが少ないので集計が遅れるのではないかという話を聞いたことがありますがね。
 このニューズで気になる点は,「一般会計ベースで」というタームと,「前年度より約25兆円悪化した」というターム。国家経済がいつまでたってもデフレから抜け出せないのだから債務超過が解消されないのは仕方がないにしても,このニューズを流す意図はどこにあるのだろうか,というのが今回から始まるエントリの本題。

 結論から言うと,特別会計を精査しないとどの程度日本の財政がむしばまれているのかという判断のつけようがないんじゃないか。15/3末の数字になりますが,特別会計は合計387兆円(一般会計の約4.7倍!)にも上ります(※)。これを議論の中心に据えずして一般会計のみを侃々諤々と議論するのはナンセンスではないか。それともわざとそのような議論に持っていこうとしているのだろうか?そうだとしたら国の債務超過が288.7兆円という数字が決して大きい数字だとは思えないのです。特別会計の債務超過も合算したらもっとすごい数字が出てくるんじゃないの?
※→松浦武志『特別会計への道案内 〜387兆円のカラクリ〜』創芸出版

 いわゆる財政投融資なんかも特別会計です。先月でしたか山拓も100兆円ぐらいは焦げ付いているはずだというコメントを出していましたし(※),ぴっかぴかの財務状態で一般会計の赤字分をカバーしているなんて言えないだろうことは容易に想像できます。なんせ首相補佐官(当時)のコメントですからねえ。無視できるはずがないでしょう。
※→山崎拓・首相補佐官が「財投不良債権100兆円」と言明
(Aug/26/05 東京アウトローズ WEB速報版)


 で,今更債務超過だからイケナイとか,初学生のママゴトみたいなことを言うつもりはなくって,現実的に,じゃあどうなるの?どうするべきなの?っていう話をしないといけない。そこで採られるアプローチはいくつかあるのですが,今日は僕も学生時代によく読んだ,破綻本の類いが導き出す結論を紹介しよう。

 破綻論者として有名なのは浅井隆,太田晴雄などです。それから最近の言論を見ている限り,副島隆彦も入ってくるでしょう。彼らの主張は「日本国の財政破綻は不可避なので国民はしっかり財産を守ろうね」に尽きます。官僚悪者論,アメリカ陰謀論などなど論者によって思考プロセスは様々ですが結論は同じです。はなっから日本の財政赤字がなんとかなると考えないのが彼らの特徴。個人的には上の記事などを読む限りでは,これはこれで考え方としては間違ってはいないと思うのですが,一般社会人から見ると異端児の扱いを受けているという印象は否めません(本自体は結構売れているらしいが)。人間誰しも悪いほうへ悪いほうへと考える人の話は聞きたくないものですし,内容がデタラメの嘘っぱちでも,小泉首相のように薔薇色の未来を語る方の話を聞きたがるものですから。しかしここでは破綻論が正しいかどうかについては述べません。誰にもわかりませんから,実際になってみない限り。

 赤字の額自体はアメリカの方が大きいですから,単純に数字だけ見れば日本より先にアメリカが逝ってしまうでしょう。しかし,アメリカ国民は借金してでも欲しいものを手に入れる民族性を持っていますから,デフレにはなっておらずフローは元気です。世界最強の軍隊をもっていて893な商売だってできますし(前日のエントリなど参照)カトリーナ被害だって商売に代えてしまうぐらいのしたたかさと強欲さを持つ国です。軍隊をもたず,中国や韓国,北朝鮮からカツアゲくらってばっかりの国とは比べようもないパワーをもっているので,実際は日本の方が破綻する可能性は高いのではないかと,僕も思っています。ま,実際に起こってみないとわからないけど。

 おっと。長くなりそうだ。続きは明日にしよう。明日はこの破綻論のどこに問題点があるのかについて見ていきたいと思います。  
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2005年09月24日

郵政民営化は政官財の思惑が一致したからこそ強力に推進されるのだ!東京新聞の記事でようやくわかった。

 前日にカトリーナの話をしばらくしよう,なんて書いておきながら,今日はまた郵政民営化の話をしよう。ようやく東京新聞(中日新聞)という比較的まともなメディアが大手メディアを差し置いてまっとうな意見を載せるようになったからです。早速その記事を紹介しよう。

(Sep/23/05 東京新聞より引用開始)
【何のための郵政民営化か 世川行介氏に聞く】
※世川行介氏:大和証券勤務後,実家の特定郵便局を継ぐため,島根県に帰郷。29歳から13年間,3局の局長を務める。渡切(わたしきり)費問題の告発を企てたことをきっかけに郵便局を去り,米穀商などを経て作家を目指す。53歳。
※引用者が要点を箇条書きにしています。原文は上記リンクを参照ください。
    「民営化することは構わない。でも,財政の無駄遣いを減らすことが改革の主眼なら,官僚支配をつぶすことが先決だ」。これを問わない民営化法案は無意味だ,と世川行介氏は語る
    世川氏は今回の法案では国民への恩恵などないとみる。与党は二十八万人に及ぶ国家公務員である郵政職員の人減らしを説いた。しかし,郵政事業はトータルで黒字であり,その給与も税金で賄われていない。
    しかし,首相の執念はともあれ,財界からの熱望もない状況で,誰が民営化を強く押したのか。世川氏は「財務官僚には動機がある」と指摘する。きっかけは「二〇〇八年問題」と呼ばれる国債の危機だ。
    破綻(はたん)寸前の財政運営が続く中,ことし三月末で国債や国の借入金残高は七百八十一兆円に上った。このうち,郵貯,簡保はその資産の52%,総額で百七十二兆円(今年七月末現在)を国債購入にあてている。
    償還できない国債は借換債に借り換え,その場をしのぐ。しかし,その額は〇八年度には単年度税収分の約三倍,百三十四兆円に達する見通しだ。
    この年度には他に新規の国債や地方債,財投債も発行される。「総額は二百兆円に達しかねず,消化しきれるのか,が懸念されている。
    国債の暴落は民営化とはかかわりなく,国債を大量に引き受けている郵貯と簡保を直撃する。民営化されていれば,破綻,崩壊(倒産)という最悪のシナリオすら否定できない。
    世川氏は「そもそも,郵貯,簡保の肥大化が民業を圧迫しているというが,それを進めたのは財務(旧大蔵)官僚たちだ。一九八五年のプラザ合意で米国から『輸出より内需』と政策転換を迫られた。その資金に国民のタンス預金が集められ,郵貯は肥大化した。資金は公共事業や公益法人に回され,バブルは崩壊。焦げ付きの責任はほおかぶりしたままだ」と指摘する。
    さらに「郵貯,簡保資金の無駄遣いが本質的には問題だったが,その使い方を決めてきたのは他でもなく財務省。その出口部分は改革が乏しく,国債を垂れ流してきた結果が今日の状況だ。国債が暴落し,郵貯が崩壊しても国の借金はその分,軽くなる。泣き寝入りするのは国民。政府は『自己責任の時代』とでも言うのだろうか」と懸念する。
    原則論では民営化されていれば,国に責任はない。世川氏は「国債暴落,郵貯崩壊の責任逃れのため」に民営化が急がれたのでは,と疑念を呈す。
(引用終了)

 なんともまあ,先日の勉強会で述べた僕の指摘そのものです。内部事情に詳しい人が口を開けば,これまで僕のような一民間人の推論にすぎなかった結論の確度が一気に高まってきます。この瞬間のなんと清々しいものか!調べた甲斐があったなあという思いは隠せませんが,まあそれは置いておいて。それよりも大事なことは,ではどうしていくべきか?ということ。このまま過去何度も繰り返されてきた官僚の責任逃れを今度も見逃していいのか?
 先日の勉強会でそういう熱い話をしたところ「そんなこと言ったって彼ら(財務官僚達)が責任とるわけない。バブルの犯人探しをするようなものだ。」という意見をいただいたことを思い出します。でも仮にそうだとしたら,いったい政治の役割って何なんですかね。小泉首相や竹中大臣が声高に批判する「役人天国」を擁護するってことですからあなたは立派な抵抗勢力ですよ・・・なんてね。こんなこと言うと不毛な議論が広がっていきそうだったので言いませんでしたが。

 官僚の全てが悪いなんて僕は思っていません。実際,優秀な彼らのおかげで日本は回っているわけだし。ただ,今回の郵政民営化の問題は,財務省の責任を全て郵政の責任にすり替えて,そのうえ財務省はだんまりを決め込み,郵政だけが一方的に悪者にされているという構図にあるのです。これは捨てては置けない,本物の悪をこらしめてやらねば!と思う人こそが本物の「保守」でしょう。だからこうして僕はブログに意見表明をしているわけですね。ま,影響力は乏しいですけど・・・(^^;

 さて,事実関係をおさらいすると,年間の税収の3倍以上にものぼる借換債の消化懸念が2008年にやってくる(小渕の呪い)。法案通りいけば2007年に民営化されるわけですが,大量に国債を買ってくれていた郵貯簡保が2008年の直前に民営化されていて,旧勘定の資産運用を一任されている会社が超超低利回りかつ先進国中最低の格付けを誇る我が日本国債を売ってしまったら,冗談ではなくえらいこっちゃということになります。でも財務官僚は知らん顔。だって民営化されてるもん。我々の責任ではないよ,と。

 そしてIQの低い「B層」国民に対するプロパガンダ作戦が奏効して見事勝利を収めた小泉首相(→参考)は,悲願だった旧田中派の解体に成功。1000ページを超える「郵政民営化法案」の一体どれだけを首相が把握できているのか知りませんが,「郵政改革は政策ではなくて政治なんだ」とのたまった首相のことです,中身は竹中大臣などに任せて自分は敵対派閥潰しだけにとりかかっていたのでしょう。だから数々の法案の問題点を首相につっついたところでまともな答えが返せるわけがないですね。だって彼にとっては政策じゃないんだから。

 最後はアメリカから毎年突きつけられる「年次改革要望書」などの,いわゆる国際金融組織からの要望。郵貯・簡保の330兆円の運用をどうにかして握って好き勝手に相場をいじれる影響力をもちたいという人たちですね。アメリカ国内の年金破綻懸念問題に使われるのか,イラク戦争の資金調達に使われるのか(いずれもアメリカ国債を買わされるということ),はたまた,民営化後の新会社から運用手数料をふんだくるためなのか,はっきりした目的はまだわかりませんが,確かなことは目の青い人たちが熱烈に郵政民営化を望んでいるということです。

 さて,見事に3次方程式が解けたような気がしました。つまり,郵政民営化って何が本当の目的で誰が得をするの?という解を僕なりに解くことができたということです。わかりますか?

 財務省は自分たちの責任問題にしたくないから郵政を悪者にしてさっさと2008年の呪縛から解き放たれたい。小泉首相は長年にわたって邪魔されてきた郵政の集票システムや主君福田の敵田中派の解体を心底望んでいた。アメリカは自国の財政赤字をファイナンスするためか,巨額資金をマーケットに投入することであらゆる相場を握るためか,日本国債の命運を握るためか,なんせ郵政民営化はなんとしてでも進めろという命令を日本に送り続けてきていた。これら政・官・財(アメリカの,ですが)の思惑が一致してトリプルタッグを組めば,そりゃどんな反対を叫んでも敵いっこない。小林興起や城内実がいくら正しいことを言ったって,財務省出身の片山さつきとか,外資系證券会社出身の佐藤ゆかりには敵いっこない。そういうことです。

 3次どころか瑣末なものも加えれば,さらに高次元の方程式を作って解くことができます。例えば,数々のスキャンダルを暴かれながらも強力な圧力がかけられている大手メディアの規制のおかげで大臣を辞めないですんでいる竹中大臣は,おそらくアメリカ政府の日本担当班からも多くのスキャンダルを握られていて,彼らの言う通りにしか動けなくなっていること。「民業圧迫」という錦の御旗を振りかざして郵貯・簡保のおいしいところだけもらおうと考えている銀行・生保業界の発言などです。
※竹中大臣は衆院選挙中に刑事告訴されているんですけど,知ってましたか?
日刊ゲンダイ:三澤千代治元会長 竹中大臣を「職権乱用罪」で刑事告訴 ミサワホーム“買収”仲介疑惑

 郵政民営化に賛成する人達のうち,IQの高い人たちは自分たちが儲かると判断しているから賛成しているだけのことで,国家国民のことなんて考えている余裕はないんですね。郵貯・簡保が持っている国債の運用の自由をどう考えるか,2008年の借換債の問題をどう解決するつもりなのか,それらについて突っ込んで意見表明している賛成派の人を見たことありませんから。石原慎太郎都知事にしたって2人も息子を自民党に人質にとられているから民営化賛成と言わざるを得ない立場になっちゃったし。一方でIQの低い人たちは「B層」戦略にまんまと乗せられて,小泉改革=善,抵抗勢力=悪の勧善懲悪・水戸黄門現象のまっただ中で,黄門様に喝采を送っている状況です。その実,強きを助け弱きをくじいているニセ黄門様なんだけどね。

 今日の暴きはこれぐらいにしておこうかな。それにしても新聞読んでいるだけでは本物の情報は入ってきませんね。暴露本が出るのを待っていては旬を逃しますし。ネットの情報は玉石混交ですが,玉と石を見分ける力を磨けばこんなにすばらしい情報ツールはありませんね。活用しないと損だと思います。Macを使った情報整理術なんかも別のブログで紹介していこうと思っています(でもいつになることやら・・・)。  
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2005年09月22日

カトリーナ報道からアメリカの政治の実態を垣間見る 日本は他山の石とできるか

 アメリカにはリタが近づいているらしいのですが,後発ニューズも含めてカトリーナ関連で気になる記事などをこれから何度かに渡って紹介しておこうと思います。もちろん全ての情報を網羅して紹介することはできませんが,無視できない記事などをとりあげます。リタが去った後,前回の失政を挽回すべく,行政がどのような対策をとれるのかなどについて非常に興味があるからです。もっとわかりやすく言うと,「小さい政府」アメリカが陥ったワナへの対処方法を日本は他山の石として学べるのかということです。でなければ「小さい政府」そのものが実現不可能ではないかということにもなりますので。

(Sep/11/05 CNNより引用開始)
【ハリバートンなど米政権関係企業,ハリケーン復興を受注】
 ロイター通信によると,ブッシュ政権高官との関係が強い企業が,ハリケーン「カトリーナ」被災地の復興関連事業を次々と受注していることが明らかになった。
 被災したメキシコ湾岸地域の復興事業の一部を,石油関連大手ハリバートンの子会社ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)と,ショー・グループが受注した。両社とも,2000年米大統領選挙のブッシュ陣営全国選挙対策委員長で連邦緊急事態管理庁(FEMA)の前長官,ジョセフ・オルボー氏がロビイストとして代理を務める企業。ハリバートンは,チェイニー副大統領が1995〜2000年にかけて最高経営責任者(CEO)を務めていたことでも有名。
 ハリバートン子会社KBRは9日,ルイジアナとミシシッピー両州の海軍基地復旧事業を受注。事業規模は2980万ドルという。ハリバートン広報はロイター通信に対して,今回の復旧事業は海軍とKBRの間の包括的契約の一部で,ハリバートンがオルボー前FEMA長官をロビイストとして迎えた今年2月より前に締結されていたものだと説明している。
 オルボー氏がほかにロビイストとして代理するショー・グループ(本社・ルイジアナ州バトンルージュ)も8日,1億ドル相当の住宅建設事業をFEMAから受注したと発表。9日には,米陸軍工兵隊から1億ドル相当の契約を受注したと明らかにしている。
(略)
 FEMAはさらに,サンフランシスコに拠点を置くベクテル・グループ参加のベクテル・ナショナルに,被災者の仮設住宅建設を発注した。ベクテルのライリー・ベクテル会長兼CEOは,ブッシュ大統領の輸出諮問委員会の委員。ベクテル・エネルギー・リソーセスのロス・コネリー元CEOは現在,政府機関・海外民間投資公社(OPIC)のCEOを務めている。
(引用終了)

 もちろん,このニューズだけでブッシュ政権を批判しようという意図はありません。アメリカのどこでも見られるロビー活動の一環だと割り切ってしまえば特段悪いことをしているわけではないし,そもそもアメリカ国内の話だから僕がとやかく言える話ではない。
 ただ,僕としては,地元企業に受注させてあげろよと言いたいのです。ハリバートンなんてイラク戦争後の復興事業でしこたま儲けているわけでしょう?大量破壊兵器で爆破しておいてそのあと新しい建物を建てるっていう「スクラップアンドビルド」そのままの手法で。自然災害で町一つが壊滅状態になっているのに,被害を受けた地域住民(黒人層がほとんど)の雇用は改善されないままピンハネ団体がさらに儲ける構図っていうのは,単なる「勝ち組,負け組」という構造以上の問題を含んでいると思うのですが,いかがなもんでしょうか。
 当然,災害後すぐに略奪などが起きるような民度だから彼らに任せられない,という理屈は成り立つでしょう。でもだからと言って,きつねの皮を被った狼達に全てを差配させるというのでは,いつまでたっても民度は向上しない。中央政府やその息がかかった少数の商人達が取り仕切るのではなくて,中央政府が強力な警察権をちらつかせながら予算を渡して,当事者達に責任を負わせて復興事業をさせることが本当の政治だと思うんですが。
 逆に考えると,そうしてしまって民度が上がってしまうと少数の人たちがおいしい汁が吸えなくなるので,一向に民度向上の政策がとられないのかもしれません。もちろん考えすぎであってほしいのですが。部下を育てるといつか自分を上回る成績をあげるのではないかと危惧するような成果主義人事制度と同じような理屈ですかね。せっかく良い芽を持っていてもそれを活かせてやらないと花は咲きませんし,自分も含めたコミュニティがどんどん陳腐なものになっていく。政治力とは畢竟,花の咲かせ方の善し悪しなんだと思います。

(その他の参考記事)
金持ち天国アメリカ:企業CEOの平均年収は一般労働者の431倍、イラク戦争効果で急上昇  
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2005年09月21日

Google Earthってすごくない?

 今日は別ブログ(→リンク)で記事更新したので軽いネタにしておきます。でも興味ある人にはツボにはまるかも。

(Sep/20/05 X51.orgより引用開始)
【Google Earthで古代ローマの新遺跡を発見 伊】
※原文はこちら(→Nature
 イタリアにて,プログラマーがネット上でGoogle MapとGoogle Earthのサービスを使っている最中に,古代ローマの新遺跡を発見したとのこと。発見者のルカ・モリ氏は,最初同サービスでパルマからほど近い自宅のソルボロ周辺地域を眺めていたところ,全長500m以上の巨大な楕円形の影を発見。それは曲がりくねった古代の川の跡だった。(略)
 更にモリ氏は,その側にある長方形の影に目を奪われた。そして画像を分析していくうち,それが地面に埋没した人工物であることを確信,最終的に住居の中庭であることを突き止めたのである。
 その後,モリ氏はパルマ考古学博物館の専門家や考古学者らに連絡を取り,それが遺跡であることが実際に確認されたと自身のブログ"QuelliDellaBassa"に記している。また当初,それは青銅器時代の遺跡であると推測されたものの,調査の結果,陶器が出土した為,ローマ時代の住居跡であることが判明したという。(略)
【参考】Google Maps - 44.881722,10.423450:発見された遺跡付近の衛星写真
(引用終了)

 こういうことってあるんだね。日本でも富士の樹海とか調べたらいろんなものが出てきたりして。
 さらに興味がある人はこの記事も読んでみてください。  
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2005年09月20日

『トップ・レフト 〜ウォール街の鷲を撃て〜』

5fa86ceb.jpg黒木亮『トップ・レフト 〜ウォール街の鷲を撃て〜』角川文庫 お勧め度★★★★
(内容紹介はじめ)
 日系メーカーのトルコ法人による大型融資案件がもちあがり,シンジゲートローンの主幹事(トップ・レフト)を目指して世界のトッププレイヤー達による激烈な競争が始まった。境遇も思想も異なる二人の主人公のそれぞれの狙いは何か。思わぬTOBでの退却,それを挽回するための驚くべき策謀。敵味方が入り乱れ,社会情勢に翻弄されながらも1本のディールは動いていく。最後まで気を抜けない国際金融のダイナミズムを体験せよ!
(内容紹介おわり)

 専門用語が飛び交う国際金融の世界。そこは一握りのトップエリート達が集い策謀を巡らせて覇を競う場です。ちなみに僕が5年間働いたドメスティックな金融の世界とは全くレベルの異なった,いわば雲の上の人たちの主戦場でもあるわけですが,本書は僕があこがれつつも体験できなかった世界の大きさと厳しさをまざまざと見せつけてくれました。僕があのまま目一杯勉強していても到底彼らには敵わなかっただろうなあという読後の憔悴感。それを体験できただけでも本書を読んだ価値があったかなとさえ思います。

 本書は,シンジゲート・ローンの主幹事(専門用語でトップ・レフトと言う)を巡る銀行同士の攻防の激しさや,ボロワー(借り手)との条件交渉,主幹事を獲得してからの様々な障害との闘いなどが小説という形で直に体験できる良書です。銀行員の,しかもほんの一部の人間しか体験できない話をまるでわが事のように疑似体験できるという本書の役割は,現役の銀行員はもちろん,多くのビジネスマンにとっても有益であろうと思われます。シンジゲートローンを初めて扱う新米銀行員にとっては銀行側の論理を学んで交渉に活かせる場面は多いですし,逆の立場であるボロワー側の財務担当者にとっても交渉の焦点をどこに置くべきかというような視点も養われるからです。

 ただし,金融に興味がない人には本書の内容は難しくて面白くないでしょうから,お勧め度は★4つにしておきます。別に本書の内容がわからなくても生きていけますし,知ってしまったら余計に金融が嫌いになることも予想されますし。本書は最後の最後に「あっ」と言わせる仕掛けがあちこちに仕込まれており,実は細部まで読み込まないとその面白さがわからなくなっていたりしますので,やっぱり金融に興味がある人を中心にお勧めしたいと思います。

 内容を簡単に紹介しましょう。
 本書の主人公は二人。邦銀のロンドン支店で外銀とバリバリ闘っている今西と,十数年前に今西と同じ銀行に勤めていて外銀へ転職した龍花です。龍花は邦銀のバカバカしい官僚主義のせいで行内で散々な目に遭わされ,ようやく決別して国際金融の中心プレイヤーである外資系投資銀行へ転職するわけですが,もといた銀行にいつかは復讐してやろうと企んでいたところに,元同僚の今西が手がける案件と遭遇するわけです。今西も邦銀の経営方針に疑問を抱きながらも粛々と自分の務めを果たしている。この立場の違う二人がどのような攻防を見せるのか。
 今西があらゆる根回しをして貴重な情報源をたどり,日本の優良会社のトルコ現地法人の大型投資案件への融資を見つけて積極的にアプローチすると,龍花は外銀の雄である地位を利用してさらに魅力的な条件をボロワーに提示する。そして国際金融のイロハがわからない現地法人の財務担当者をたらし込んだ龍花が勝つかなと思っていたところに,その外銀に対するTOBがかかって,結局は邦銀がトップ・レフト(主幹事)の地位を得る。
 しかし物語はここで終わりではない。龍花の邦銀へ対する復讐心はこんなことでは消えない。彼はさらなるトルコの大型案件を発掘してあらゆる手段を使って案件をつぶしにかかる。ここにエマージング・マーケットとしてのトルコのリスクがクローズアップされて,思っても見なかった事件が引き起こされる・・・。

 物語は最後の最後にさらなる意外な結末を迎えるのですが,著者はその演出に,よく言われてきた「日本では投資銀行は育たなかった」という命題へのアンチテーゼとして,ある業種の存在を持ち出します。そこにはその業種が日本において投資銀行の代わりを担ってきたことへの称賛が含まれているのですが,だらしない邦銀を描く一方で,日本全体の経済がだらしなかったのではなかったというメッセージが込められているのです。これは不勉強な僕には目が覚める思いでした。

 あらすじを全部書くと面白くないのでここらでやめましょう。いやあ,世界は広いなあ。トルコの通貨の決済方法がドルと違うということや,どれぐらいのインパクトで相場が動くのかなど,いろいろと勉強させてもらいました。一方では邦銀の内部でのバカらしい出世競争とか責任転嫁だとかも物語に花を添えるものとして描かれているのも面白い。久しぶりにハマった経済小説でした。  
Posted by p-5796189 at 22:44Comments(0)TrackBack(0)

2005年09月17日

(お知らせ)当ブログお休みのときは外為ブログを更新しています(本文なし)

こっちはお休み。
外為FX取引のトレード日誌をあっちのブログにアップしました。
当ブログがお休みの時は,大概あっちのブログを更新しています。  
Posted by p-5796189 at 23:26Comments(0)TrackBack(0)

2005年09月16日

新BIS規制の恐怖! 日本国債は新勘定に資産が移動する際に売られる理由

 どうあがいても決まるっちゅうねん,という声が聞こえてきそうな郵政民営化法案ですが,僕はやっぱり最後の最後まで問題点の指摘をしていきたいと思っています。ネット上あちこちで展開される,数々の法案の問題点が実は杞憂に過ぎなければいいのですが,僕にしてみれば今の時点で何も書かずに,問題が起こってから「ほれみたことか」なんていうセリフを吐きたくない。日本国を本当に愛するということはどういうことなのか。真の愛国者の主張と,本音は反対だけど小泉に睨まれたら怖いから賛成みたいな人間の主張との,背負っているものの違いを見せつけてやろう。

 いつも僕が勉強させていただいていて,このブログでも何度か紹介したことのあるサイトに「株式日記と経済展望」というページがあります(このブログの右カラムにリンクあり)。テーマによってはもちろん僕の主張と異なる部分はありますが,TORAさん(管理人さん)の,日本はどうすべきかというブレることのない視点にはいつも感心しきりです。昨日はこのサイトで秀逸な論文が紹介されていましたので,これから一部を引用させていただきます(引用の引用になりますが)。

(Sep/14/05 河宮信郎さん(中京大学経済学部教授)からML[citizens-public](市議調査研究費の情報公開を求める名古屋市民の会)への投稿より引用開始)
【「郵政改革」幻想完勝の衝撃波−不可避となった財政破綻】
(略)
2.小泉首相の「郵政改革」幻想と欺瞞的煽動
(略)
 第二に、郵貯簡保が「民営化可能」というのが幻想である。まず、自己資本の調達ができないであろう。世界最大となる金融機関にだれが十分な自己資金を供与できるか(まさか、自己資本の資金を国債発行で調達するわけにもいくまい)。
 郵貯は、低利国債を大量に抱えている。これは、BIS(国際決済銀行)の考え方では「不健全な金融機関」と認定される。実際、BIS(国際決済銀行)が06年末に導入する新国際ルールでは、「債権を大量に抱える銀行」を「当局の監視・指導下」に置くよう要請する。とくに、日本国債のような超低金利の債権には、「金利上昇→価格低落」という向きの「変動」しか起こらない(いわば経営危機の時限爆弾)。新BISルールのもとで、郵政機関は「民営化・会社設立」と同時に「当局の監視・指導下」に置かれるであろう。しかし、郵貯簡保の資金を食い荒らし、国債だらけにした犯人は歴代政府である。
政府に監視・指導を任せてよいか。
(引用中断)

 新BISの内容については以前務めていた銀行の同期が日銀・財務省との交渉を担当しているので,先日上京したときにいろいろ教えてもらっていたのですが,ここまで具体的なルールが決まりそうだということは知りませんでした。何にせよ,民営化したらBIS規制で国の管理下におかれるかもしれないらしい。これだけで民営化する意味は吹っ飛んでしまうわけですが,実はこの論文には大きな見落としがあります。わかりますか?

 実は新しく作られる郵貯銀行は新勘定しかもてません。つまり今国民が預けている郵貯や簡保は旧勘定扱いで公社承継法人という6番目に作られる会社のものになる。同様に今運用している資産である日本国債なども旧勘定扱いであり,新しい郵貯銀行のものではない。これは郵政民営化の基本方針」にしっかり書かれてあるので時間がある人は確かめてください。新しい郵貯銀行はその旧勘定の「運用」を任されるだけの投資顧問銀行のようなものなので,大量の債券を有するわけでなく,BISの新しい規制にもひっかからない。だから民営化されてすぐに当局の監視・指導下に入るわけではない。

 ではどうしてこのパラグラフを紹介したのかと言うと,書いた本人の河宮教授は気付いていないけど,ものすごい内容が隠れているからです。結論を簡単に言おう。「BIS規制を楯にして日本国債は合法的に売られる」ということです。
 わかりやすく謎解きをします。旧勘定にある日本国債の運用を任されている新郵貯銀行は,国債が満期を迎えたり期中で売却した後,その資金で新たに資産を購入しますが,これは新勘定に入ります。ここで,BIS規制があるので国債は変えませんと言えばどうだろうか。仕方ないね,アメリカの投資信託を買おうかということになる(実際は「やらせ」だから「仕方がない」なんてセリフは表面上だけ)。これが続けば郵貯の国債残高がどんどん減る。

 理由はBIS規制。民営化の基本方針が「自由な運用」であるだけに当局も強く言えないというのもポイントになるでしょう。そして郵貯の国債保有残高の減少に気付いた生保・銀行がとる行動は・・・。これまで絶妙というか微妙なバランスの上でようやく成り立っていた国債市場が大混乱に陥るのは時間の問題ですね。ま,せめてもの救いは,BIS規制により,一方的にアメリカ国債を買うことも許されないということぐらいですかね。でもそんなものボンド中心の別ファンドを作ってそこに投資してしまえば迂回できるだけなんですがね。
 郵貯銀行の運用担当者もそこまで頭が回って日本国を愛する人だったら,同じ手法で日本国債を守るんだろうけど。たぶんそういう提案を上司にした時点で飛ばされるわな。「そんな利回りの低い証券に投資するなんて何考えてるんだ?」ってな怒号を添えられて。

 あんまり長々と書くと読むのがしんどいと怒られましたので(笑),今日はここまで。  
Posted by p-5796189 at 23:14Comments(0)TrackBack(1)

2005年09月15日

郵政民営化勉強会を終えて・・・結論部分を紹介!

 昨日の郵政民営化勉強会はなかなか好評でした。レポート15枚,資料20枚以上に及ぶ知識の結晶をぶつけてきましたが,金融には触れる機会が少なかった参加者の皆さんにもおおむね理解が得られた(と思われる)ので,やってよかったなと思います。今日は僕の主張をまとめた部分を紹介するのと,参考にさせていただいたサイトなどのリンクを貼っておきます。資料のアップはちょっと時間をください(そもそもこのブログにアップできるのかどうか技術的にやり方がわからない)。ま,何度も書きますけどこの法案は通っちゃうんだよなあ。今更なあっていう気持ちが強いのですが,後々に自分の主張を振り返って反省できるようという目的で記録しておきます。

(勉強会資料より引用開始)
    民営化法案をじっくり見ると,大蔵族である小泉首相は,旧大蔵省の財政運営の失敗を郵政に責任転嫁しているように感じられる。それほど,ばら色の未来を説く政府の主張は曖昧で誤りも多い。
    例えば,郵政公社がもつ国債のシェアは暴落を誘発できるほど大きすぎて簡単に売れない。国債を売らなければ資金は官→民に流れないのだが。
    また財政再建が進むというのも嘘。国営のままなら利益処分は全て国が行えるが,株式会社になったらせいぜい40%の法人税しか国庫に入らない。
    さらに財投債という名の国債が発行される限り,郵政民営化しても存在意義のないムダな特殊法人に金が流れる事態は変わらない。実は現行法上でやろうと思えば改革はできるのだが,財務省はそれをやらずに郵政に責任転嫁している。そして出来たのがこの法案。

    驚くべきことに郵貯・簡保の新会社の株は100%売却される。330兆円の資産の運用も他人任せであることが決まっている。自分が集めたお金を自分が運用できないように法律が縛っている。
    このリスクは2つ。株を握った者が本来国庫に入るべき利益を手に入れること。そして運用を任された会社が国債を自由に売却できること。
    民営化して国債を自由に売らせるというのは国家破壊行為である。

    ただし改革は必要である。小泉流のやり方では国に入るはずのお金が外に出ていくし,悪意ある者が国債を暴落させて恐慌を起こすことができてしまうのでダメなのだ。
    法外な高金利で運用できた預託金が2008年にはゼロになる。これで郵政公社の利益はほとんど吹き飛ぶ。低利の国債運用だけでは赤字も免れまい。
    さらに主力の調達手段である「定額貯金」の商品設計が今後の金利上昇リスクを勘案したものになっておらず,金利上昇によって国債下落・調達金利上昇のダブルパンチで一気に資本がなくなる可能性もある。

    正しい改革は例えばこうだ。今回の法案で旧勘定と呼ばれる部分の貯金・保険で調達した資金を別組織(国債運用しかしない国策会社)に移す。その組織は当然,国が管理して運用の外部委託などはさせない。貯金の新規調達や預け替えも受付けるが「定額貯金」は廃止。
    郵便や窓口業務は民間へ完全開放。
    過疎地などの問題は新たに国営法人を作って税金で運営する。


    とにかく330兆円の運用を他者任せにしないこと。国債の運命は国の運命である。財務省は責任を最後まで果たす義務がある。
    しかし結局はいつか日銀引受けをしなければならない時が来るだろう。そしてハイパーインフレになろう。
    あるいはその前に地震とかのドサクサで,その日が早く訪れるかもしれない。


(参考リンク)

よくわかる郵政民営化論
http://www.geocities.jp/dokodemodoa_jp/new_page_4.htm

Speak Easy 社会版
http://blog.livedoor.jp/manasan1/

マーケットの馬車馬
http://workhorse.cocolog-nifty.com/blog/

ジャパン・ハンドラーズとアメリカ政治情報
http://amesei.exblog.jp

副島隆彦の学問道場
http://soejima.to/

西尾幹二のインターネット日録
http://nishio.main.jp/blog/  
Posted by p-5796189 at 21:26Comments(0)TrackBack(0)