2004年10月31日

『黒いホワイトハウス』

b5d9a11c.jpg『黒いホワイトハウス』浜田和幸・詳伝社 お勧め度★★★★
(要約はじめ)
 ケネディ暗殺と9.11には共通点がある。それは事件が起こった直後に犯人が断定された後、政府の発表と当事者達のいくつもの証言に多くの齟齬が見られることである。JFKはフランク・シナトラなどを取り巻く麻薬マフィアと対立し暗殺され、その黒幕はジョンソン副大統領だったという噂がまことしやかに語られている。9.11も実行犯はアル・カイダだったとしても黒幕はCIAだったのではないかという噂が絶えない。政府が強引に事件の幕引きを図るべく公表した文書はどうしてもクビをかしげざるを得ない点が多くあり、今なお多くの国民が興味を示している問題である。
 ケネディは悲劇の英雄扱いをされているが、裏の世界では実に様々な黒い交際があったようだ。ケネディ自身はこれまでの古いやり方を廃して新しい政治手法によってアメリカの舵取りをしようと目論んでいたが、背後にいる黒い人たちはそれを認めず、最終的には銃弾を浴びることになる。ケネディ家の悲劇はその後も弟のロバート、息子のジュニアなどなど非常に多くの親類が、事故に見せかけた暗殺によって命を落としている(本書では最近明らかになった事実をまとめて単なる事故説を否定している)。殺してまで口を塞がなければいけない理由があるからである。
 本書の最後には最も民主的であるはずのアメリカでの大統領選挙において驚愕の選挙対策が行われていることにも触れている。死人に票を与えたり、投票のボタンに細工をしたり・・・。ホワイトハウスまでの道のりは黒い。
(要約終わり)

 一気に読み終えました。僕自身、ケネディ一族がどうしてあのような不可解な事故死(?)ばっかり起こすのかずっと不思議に思っていたのですが、やっぱり裏はあったということですね。本当に政治って奥が深い、というか黒い。民主主義には莫大な金が必要だということもよくわかりました。それゆえに黒いお金の呪縛に捕まると逃げられないということもよくわりました。

 しかし、ケネディの暗殺に関しては僕自身どうでも良いことだと思っています。日本にとってあんまり関係がないからです(当時はキューバ危機で大変なときだったので日本も対中関係などでピリピリしていたのでしょうけども)。いわゆるアメリカ内部の権力闘争で、大統領選挙の資金対策をしていたマフィアを急に裏切るようなことをしたから殺されたという、まあ仁義の世界の物語だと考えればそれほど感傷的になることもないでしょうし。僕が本書で注意して記憶にとどめておかなくてはいけないなと感じたのは、最後の方でアメリカの大統領選挙の実態について書かれた文章を読んだときでした。

 大統領選挙はせいぜい得票率が50%らしいです。こんなことはどうでもよいのですが、マイケル・ムーアの映画『華氏911』の冒頭でも触れられていたように、前回の選挙で大もめにもめたフロリダ州の開票結果が実は民主党ゴアの方が多かったという事実には驚愕しました。何らかの不正を行ってブッシュが当選したわけです。民主党は裁判を起こしましたが、9.11テロが起こって国民の目はテロの方にばっかり行ってしまったので、それ以上争うことはやめたということです。これは僕は全く知りませんでした。ばれるのがいやだから9.11テロを起こさせたと考えるのはちょっと無理がありますが、これでよく民主主義だと言えるものだと落胆してしまいます。こういう情報を得るためだけに本書を読むというのも有意義なことではないかと思います。

 最近はこういう暴き系の本ばっかり読んでいるので何か心が荒んできたなあという自嘲の念が沸き上がるのですが、やっぱり事実を知らないままでは現実的な対策をとれるはずがないので、どうしてもこういう系統の本を手に取ってしまいます。ああ。もうちょっと日本のマスコミで信頼できるところがあればこんな思いをすることはないのですが。  

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2004年10月30日

天皇陛下かく語りき

僕が毎日貴重な情報を得ている天木直人さんのHPの名物コラム『マスメディアの裏を読む』(041029)に興味深い記述があったので紹介しておきます。

(引用開始)
◇◆ 「強制でないのが好ましい」と天皇が発言された ◆◇

 28日、赤坂御所で開かれた恒例の秋の園遊会において、天皇が日の丸掲揚と君が代斉唱について発言された。招待客の一人である東京都教育委員を務める将棋の米長邦雄永世棋聖(61)が、「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させるというのが私の仕事でございます」と語ったことに対し、天皇は、「やはり、強制になるということでないことが望ましい」と話されたというのである。

 この事実を大手新聞でまともに報道したのは朝日、毎日、赤旗くらいである。しかも二段ほどの記事である。しかしこの発言は一面トップで大きく報じられるべきほどの出来事だ。なぜなら日の丸掲揚、君が代斉唱の強制、起立強要問題は、従わないものは処分するという行政側の強硬姿勢が高まる中、これに反発する国民との間で全国的な問題になっているからだ。そしてそのような国民的問題について明確な意見を表された天皇の発言の重みをどう考えるのかという天皇制そのものを問う問題でもあるからだ。

 国民の統合の象徴としての天皇の言葉の重みをどう考えるかは、今日において極めて重要である。かつて1990年に天皇が即位後初めて外国訪問されマレーシアを訪れられたことがあった。そのときマレーシアの国王から天皇に直接懇願された外交案件を、外務官僚は米国の恫喝の前に一蹴し天皇の面目をつぶしたことがあった。

今度の米国のイラク攻撃について、かつて皇后は「心が痛む」と反対された。それを一顧だにせずに小泉首相はブッシュ大統領の戦争を正しいと世界に公言して支持し続けている。一体皇室の役割、影響力はどこのあるのか。今度の天皇の発言を石原慎太郎知事はどういう思いで聞くのか。愚かで軽率な発言をした米長氏は「もうもちろんそう、本当に素晴らしいお言葉をいただき、ありがとうございました」と返答している。99年に都の教育委員に任命されてから一貫して推進発言を繰り返してきた米長氏は今後どのような態度を見せるのであろうか。

皇室をないがしろにする発言をすると我々一般市民は右翼団体にたちどころに命を狙われる。天皇や皇后の思いをここまで軽視、無視するこの国の首相や官僚を、右翼や国粋主義者はどんな思いで見ているというのか。
(引用終わり)

 さて、天皇ご自身がこういうご発言をされたという記事、確かに読売新聞には載っていません(笑)。広島で自殺した校長先生も天皇にこう言っていただいて、あの世でようやくホッとしているのかもしれません。僕自身は君が代を唱えるのも国旗を掲げるのも抵抗はありませんが、国民が国歌を歌わず国旗を掲げなくなった理由としては一部の右翼人が言うような戦後教育だけが悪いという理屈には納得していません。単に日本という国に対する魅力がなくなっているからでしょう。もちろん左翼が握ってきた偏った教育の影響というのも無視はできませんが、それよりも前近代的な寄り合い国家であるニッポンの指導者達を見るにつけて、国歌を歌って民族意識を高揚させようなんていう気持ちが萎えていっただけのことだと思います。アメリカの属国であることを認めないまま「君が代」というのはナンセンスですし、
それを強制したところで空しく感じているから歌わないだけなのではないでしょうか。今回は天皇直々のお言葉を頂戴しましたので、推進者は今後どういう動きを見せるかが見物ですね。まさか天皇を批判したりなんてことには・・・まあわかりませんね。
 僕自身は何が何でも歌ってはいけないというような思想はもちあわせていません。一応決められた国歌ですから決まり通り歌うだけのことです。まあ気持ちは入っていないでしょうけど。

 昨日『黒いホワイトハウス』浜田和幸・詳伝社を読みました。これは明日書評を書きますが、なかなか一読に値する本です。ケネディ暗殺や9.11を調査するにあたり、アメリカでは要人の暗殺や大統領選挙のイカサマなどが普通に行われているということが列挙されています。しかしアメリカ国民の大多数も裏読みするほどヒマではないですから、たいがい政府のプロパガンダに乗せられいるわけです。アメリカもユダヤ系資本がほとんどのマスメディアを握っていますので、大事なニュースは国民の元まで届かないからです。しかし現在は、そういうジャーナリズムの危機を憂いて、たくさんの有識者がブログやFAX通信という形で本当の情報を届けてくれます。もちろん顔も名前も知らない人の主観が混じった内容なので100%信じ込むというのも危険ではあるでしょう。しかしそこは割り引いたとしても大手新聞だから大丈夫だという先入観をぶち壊すという目的は達成できますし、何よりも考え方に幅ができるというメリットがあります。
 僕自身は政治家になりたいとか、特定の人たちを糾弾するとかという目的は人生の中にはありません。ではなぜこういう姿勢で情報を得ようとしているのかというと、一言で言えば我が身を守るためです。国家が信用できなくなってきたからです。国民の利益のために公表しない事実というのはあってもかまわないと思うのですが、僕がこれまでいろいろ調べてきた内容は全く逆で、国の今のエライ人たちは国民に知らせず国民の利益を宗主国アメリカに差し出しましょうという意図しか見えないからです。それでもなおお国のためということで黙って資産をアメリカに差し出せる人は、それはそれで立派なことだと思いますが、僕はそれを認めることはできません。何も知らされずいつまでも騙され続けるというのは惨めな者だと感じるので、こうやっていろいろもがいているわけです。まあとは言っても自分で何か取材するわけでも無いので二次的な情報しか得られないわけですが、最低限この姿勢だけはなくさないようにと思って日々情報収集しているわけです。後日、僕が毎日チェックしているサイトをリンク集に加えたいと思います。  
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2004年10月29日

『清貧どケチサバイバル』

7b02e2a1.jpg『清貧どケチサバイバル』浅井隆/あ・うん お勧め度★★★★
(要約はじめ)
 無駄な浪費を見直してどケチを見習おう。バブルで金を儲けた成金でお金の使い方を間違った人たちで今なお同じようにお金を使っている人はいない。自分のお金の使い方について見直してみるべきである。なぜならこれからやってくるハイパーインフレ時代は特に自分たちのお金について今まで以上にシビアになっていないと生き残れないからである。そのかわり自分への投資になるもの、健康に良いもの、貴重な情報に対しては惜しまずお金を使うこと。これがどケチの精神である。
(要約おわり)

 著者の浅井隆は僕が大学生のときから親しんだ経済評論家です。バブルの崩壊を予測し最高値で所有マンションを売却して今なお海外ファンドなどで資産運用を手がける、大した人物だと思います。今でこそ少年マガジンでさえ言われるようになった「国家破産」という言葉は僕が知る限りこの人が最初に言い出したのではないかと思うぐらい、やけに早い段階から日本の破綻を予想しています。ちなみに政府の財政諮問委員である財政学権威の跡田真澄慶応大学教授でさえ、もう国家破産は避けられないと言っているぐらいなので、必ずハイパーインフレはやってくるものと考えて間違いないでしょう。問題はいつのタイミングでしょうか。著者はあと4年以内(去年12月の刊行段階で5年以内ということだった)と言っていますが、こればっかりはわかりません。僕はアメリカの大統領にブッシュが再選すると思うので、彼の任期中は金づるの属国日本を切り捨てるようなことはできず、まだまだこのままずるずる行くのではないかと見ます。でもイラク戦争の失敗でネオコンの力が落ちてきていると言われているので、これも確実とは思えません。いずれにしても今のうちから準備しておくのは非常に大事なことです。インフレは借金している人たちには良いニュースですが、今までコツコツ買いたいものも我慢して貯めていた一般庶民が泣きを見ることになるので、なんとしても最悪の事態は避けたいと思うのです。僕の両親もせめて三男の私大医学部の学費分は守りたいと言っていますし。

 本書では、どケチとはどういうものかをまず説いています。ネガティブなイメージがあるでしょう。しかし。どケチの本拠地名古屋を見てください。今一番景気が良い都市が名古屋です。名古屋学という学問の分野ができるぐらい、彼らは徹底してケチです。関西人よりもケチらしいです。だってカンバン方式を生み出しさらに乾いた雑巾を絞るようなカイゼンを進める天下のトヨタのおひざ元ですから。反対に大阪なんてオリンピックの誘致とか外資系の誘致とかで莫大なお金をばらまいたくせに全く実を結んでません。
 世界を眺めてもどケチのすごさがわかります。本書で紹介しているイギリス系商社のハイパフォーマンスを誇るファンドの従業員は、出張の地下鉄代までチェックされるぐらいのケチぶりだそうです。その本社もスイスの片田舎のぼろっちいビルに入っているというから驚きです。
 結局お金の使い方を知っているかどうかということに尽きるのでしょう。

 これから僕はお寺の財産管理に手を付けます。檀家さんからいただいた大切なお金の管理をほったらかしにしたままインフレで無価値にしてしまうわけにはいきません。資産防衛の観点から海外ファンドや外貨建て資産に積極的に資産逃避させていきます。時間ができれば我々自身の生活資金の逃避も考えなければいけません。行動に移す時期にきたかなと実感しています。  
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2004年10月28日

『日本のゆくえアジアのゆくえ』(その3)

『日本のゆくえアジアのゆくえ』の第三弾。正直、これだけ紹介してしまえば買わなくてもいいやと思われてしまう不安があるのでちょっと抑え目に書こうか。

 まず、理屈ではそうなのだが実際は無理だろうと思われる、日本とアメリカとの縁切りについて。

(引用開始p.47)
 日本にとって中国を除くアジア全土の貿易額は(中略)中国貿易よりも大きいのである。そこに昇竜の大中国が加わるのだから、中国を含めたアジア全土では、アメリカ貿易の二.五倍も大きいことに注目しよう。没落する帝国など問題ではない。同じ金を注ぎ、同じ骨折りをするなら、アメリカではなく、アジアの同胞に顔を向ける時代である。
(引用終わり)

 でも実際は日本の中枢にはアメリカの方しか向いていない連中がワンサカいる。特にハーバード方面の大学へ留学した人たちはまず間違いなくアメリカ礼賛主義の洗脳を受けて帰ってくるという論文をどこかで見たことがある。アメリカ、EUという巨大経済圏があって、そこに息絶え絶えの日本が入っていけるわけがない。やっぱりハードルは高くともアジアで共存圏を作らねばならないのであろう。
 しかし、まだまだ中国は信用できない。政治は共産主義、経済は資本主義なんていうわけのわからない良いとこどりみたいなことをしていては正直者は心を開けない。

(引用開始p.65)
 中国の国防費が急増している背景には、明らかに、このように台湾軍部を挑発するアメリカ軍需産業とホワイトハウス取り巻きの存在がある。ブッシュの大統領補佐官コンドリーザ・ライスは、アジアに無知で、その危険人物の代表者である。
(引用終わり)

 出てきましたね。コンドリーザ・ライス。副島隆彦の当初の予想では、ブッシュが再選すれば彼女が副大統領になるはずだったが、心臓病を抱えてのディック・チェニー(何度も言いますがCheneyだからチェイニーはおかしい)が継続ということになった。でもそれほど力のある人物だというのは知っていて損はない。中国と台湾をもっと緊張感を煽って、まだまだアメリカはアジアに顔を突っ込んでいくのだろう。

 さて、中国の経済はこのまま高い成長率で発展し続けるのだろうか?著者も僕もその見通しはNoである。

(引用開始p.84)
 二〇〇四年三月には中国人民銀行(中央銀行)が、現行の利率で国債を完売できなかった。なぜなのか。国際金融マフィアがすでに資金引き上げのスケジュールを手帳に書きこみ始めたからである。なぜ国際金融マフィアは用心したのか。完全なインフレであり、先に断崖が見えてきたバブルだからである。(中略)中国は現在のスピードで経済成長を続けるのではない。かなり近い将来、中国経済に何らかの衝撃が来ることは間違いない。
(引用終わり)

 こういう裏の世界を調べさせると広瀬隆はいろんな情報源をもっているので強い。日本で国債が完売できない、いわゆる「未達」という事態になると、その時点で日本は破産する。赤字国債を消化できないということは財政破綻に直に繋がるのである(詳しくは幸田真音の小説『日本国債』を参照)。中国の場合はものすごい成長率ゆえに一度ぐらい未達があっても次回にとりもどせる期待が残るので大丈夫だったのであろう。しかし次はないのかもしれない。
 さらに成長の影につきまとうこういう問題も当然でてくる。

(引用開始p.76)
 すでに全世界の消費量のうち、中国が石炭の三分の一を使っている。セメントは四割、鉄とアルミは四分の一を中国の消費が占めている。(中略)日本では二〇〇四年四月、発電用としてオーストラリアから輸入する石炭の価格が、前年比で五割〜七割高と異常に高騰して、電力会社が悲鳴をあげた。
(引用終わり)

(引用開始p.40)
 エネルギーについて最も気がかりなのは、石油とガスと石炭という貴重な天然資源をわれわれの世代が使い果たし、子や孫の時代を考えない無責任さが第一にある。
(引用終わり)

 中国でこんな割合のエネルギー消費が毎年続けば、日本でストーブを炊くのもつらくなるかもしれない。でも中国の廃棄熱は黄砂とともに日本列島に飛んでくるわけだから、さらに温暖化が進んでストーブがいらなくなるかも(冗談)。いずれにせよ、今のような高コストのエネルギーに頼っていたのでは、今でこそ円高だから表面化していないガソリン代・電気代なんかも円安になれば跳ね上がるわけなので完全に日本はおいてけぼりをくらうことになる。蛇足だが、じゃあ原子力発電をもっと効率化(プルトニウム再処理等)したらいいじゃないかと思った人はまだまだ勉強不足。原子力発電自体が石油で動いているのだ。詳しくは広瀬隆の『東京に原発を!』などを参照。
 さあ、そこで本書の一番の目玉である「燃料電池」へ期待がかかるわけだ。

(引用開始p.123)
 中国でも家庭用や自動車用の燃料電池の開発が進んでいる。中国製の燃料電池の輸入をてがける研究所が日本にも登場している。(中略)ガソリン車の開発能力では世界水準に及ばない中国だが、一段跳びの技術開発を進めて事業化をめざしているという。
(引用終わり)

 日本も負けていられない。これが実用化して家庭、オフィスに普及すれば少なくとも石油がないと得られないような従来の発電は不要になる(しかし石油からプラスチックとかナイロンが作られるわけだから石油はいらないというわけではない)。本書で紹介されているが、すでに実験段階で成功していてあとは製品化、さらなる改良をまつという段階にある東芝とか京セラの株でも買っておこうかなと思う。またまた蛇足だが、日本の財政が破綻してハイパーインフレ、円暴落が起こっても、国際企業の株をもっていればパアになることはない。まあ断言はしない方がいいですが、円の預貯金や国債をもっていたらエライ目にあうだろうが、株はこういうときに大きな意味をもつ。

 一番の目玉である燃料電池については詳しく書かない。本書を買って読んでみてくださいということにしておく。もったいぶるようだが、お楽しみはとっておく。

 最後に、著者のこんなコメントを紹介して本書の紹介を終える。

(引用開始p.290)
 少子化を憂える人が大変多いが、なぜそんなことを心配するのだろう。狭い日本で一人当たりの土地が広くなっていいではないか、かなりの女性たちが「たくさん子供をつくりたくない」と思うのは、彼女たちが現状と将来を計算しながら導いた結論であり、社会環境が生み出した自然の摂理である。ここ最近、海野イワシがめっきり減ってマグロ並の高値になったのは周期的に起こる現象で、これにはわれわれの知らないイワシの少子化の言い分がある。理由は違っても、日本の子供が減っているのはそれと似たような話なのである。(中略)人数が増えれば国家が栄える」などという理論は、古代の昔から聞いたことがない。諺では「貧乏人の子だくさん」が正解である。人口わずか七二〇万人のスイスが。金融界ではあれほど世界的な支配力を持っている。(中略)大事なことは人数ではなく、高度な知恵と豊かな体験を備えている人間の比率である。
(引用終わり)  
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2004年10月27日

『日本のゆくえアジアのゆくえ』(その2)

 さて『日本のゆくえアジアのゆくえ』広瀬隆の感想文第二弾。

 僕が生きてきた中で最も興味が深いのが農業・漁業政策である。僕はお寺に育ったせいか食べ物を粗末にする人間は信用しないし、農民漁民を馬鹿にする人間には侮辱罪不敬罪を適用すべきだとも思ってきた。おかげさまで好き嫌いはないし料理も残したことがない。でもここは飽食の国ニッポン。僕が考える理想とはかなりかけはなれた現実がある。

(引用開始p.17)
 全国平均の食料自給率が四割とは、おそろしい数字である。(中略)一方で農業と漁業の跡継ぎがなく、日本が食料自給率を高めるのがむずかしいと言っているのに、もう一方で大量の失業者がいる不思議さである。失業している人たちが、農業と漁業に進めば、両方の問題が一挙に解決するはずだ。なぜそうならないか。智慧のない霞が関官僚と政治家が、失業者をゼネコン土木関係の仕事にばかり吸収させようと骨折るからである。
(引用終わり)

 東京・大阪の食料自給率はわずか1%、2%である。日ごろから農業に関心のない人間が食料難になって地方に逃げてこられても全く歓迎しない。鹿児島・山形で直接農家と接してきた僕が聞いた言葉だ。国が破綻して(財政破綻は近いでしょう)外国からの信用がなくなって輸出入ができなくなったとき、自給率がこのザマでは非常にまずい。今はアメリカの属国でいいが本当に51番目の衆入りをするか、中国の属国に鞍替えしないとやっていけない数字である。そうなりたくなければなんとしても自給率だけは100%近くまで上げておかなくてはならない。なぜなら工業国家ニッポンは技術力はあっても通貨の信用力がないので自国で生産して販売することは最早不可能になる、つまり日本にいても仕事はないし食っていけなくなるからだ。幸い「円」なんていうローカル通貨が暴落して困るのは日本人だけだ(裏を返せばドルがなかなか崩落しないのは基軸通貨だからである)。だから工業はしばらくあきらめて、農業復興で食いつないで信用を回復するしかないと僕は思うのである。呉王夫差と越王勾践の故事「臥薪嘗胆」を地で行く日が来るかもしれないのだ。

 ケインジアン達は未だに財政出動して景気回復をせよと言う。しかし最近はその筆頭の植草一秀が逮捕されたり(たかだか迷惑防止条例違反なのにあそこまでわーわー言われる筋合いはないとは思うが)、リチャード・クーなんかもめっきり見なくなったので言論人としての勢力は弱まりつつあり、それが大量の失業者に繋がっているということもわかる。ではそういう失業者が農村に行けばいいかというと数字上はその方が良いし僕も学生時代はずっとそう思っていたが、実際はそうもうまくいかない。なぜなら失業者は売るに売れないバブル時代のマンションとか自宅を当時の値段で引っ付いているローンを残したまま隠遁するわけにはいかないからである。都会に留まるしかないのだ。だからこそ未だに政治屋はその人たちに分け前をやるために補正予算の分捕りに目がない。

(引用開始p.24)
 国家予算が八〇兆円規模の日本は、その十二年分の借金を持っていることになる。(中略)この借金をつくった政治家たちは、「この金は国内から借りたものだ」と涼しい顔をして国会で遊びほうけ、アメリカの馬鹿大統領に平気で大金を貢いでいる。(中略)この愚鈍な政治家に運命をゆだね、危機感を持たない国民の自覚も足りない。
(引用終わり)

 国の借金が800兆円、地方自治体の借金を入れると1400兆円になる。浅井隆の試算によると郵貯資金を原資とした財政投融資とか年金財源・国保財源による投融資の焦げ付きまで考えると、2000兆円は超えるだろうと言う。前回も書いたが、こういう事情だからこそ郵政民営化を急がせているのだ。解散しない限りあと2年は国政選挙がないので、与党は強引に進めようと思えば進められるわけだ。
 しかし考えてみると、投票率が40%強でそのうち60%が与党賛成ということは全有権者のわずか24%しか与党に賛成していないことがわかる。投票にも行かない連中がわーわーフマンタレブーになっていてもだけの人任せ国家なのである。

 さて農業の話に戻す。藤巻健史が言うように農業通商問題は単に円が強すぎる(円高すぎる)からもめるのだ。アメリカの農産物が安いのではなく、中国農業の人件費が安いのが問題ではなく、単に円が強すぎるのだ。ボツワナ以下の格付けの国だぞ(お断りしておきますがボツワナという国を嫌っているわけではない。比較対象として採用しているだけ)。どうしてこんなに円高になる必要があるのだ?だから日本のファンダメンタルズにしたがって1円が300ドルになれば財政問題も解決するし農業問題も解決する(輸入が高くなるし農産物価格がインフレになって農業にも魅力が出てくる)。

(引用開始p.206)
 大学の経済学者たちが審議会や新聞紙上などで自由貿易を必須の条件のように発言しているが、彼らは大根一本つくらないのだから、余計なところへ出てこなくてよい。こんな人間の意見を国民が聞く必要もないし、彼らは発言する資格もない。食べ物をつくってくれる人たちの意見に従うべきである。命があって初めてわれわれが存在するのだから、体より大事なものはない。農民の生活の場を守ることほど、都会人にとって貴重な行動はない。
(引用終わり)

 まったくそのとおり。僕は小中学校の義務教育で毎週1時間「農業」を教えるべきだと思う。どういう流通経路でおにぎりがコンビニに並ぶかすぐ答えられますか?1反あたりでとれるお米からどれだけの利益を農家はあげているか知っていますか?

(引用開始p.208)
 日本の農業だけでなく、アジア各国の農家も自由貿易の脅威におびえているのである。(中略)この自由貿易を煽る頭の悪い論者たちは、日本の失われた十年を見よ、と言う。何を根拠に、自由貿易が日本の破綻した産業の再生に効果があると言うのか。こんなデタラメを言う人間たちが、いまだに経済を論じているかと思うと、おそろしくなる。自由貿易を進めたから、日本が破綻したのである。(中略)ウォール街に四〇〇兆円を盗まれてまだ反省もしていない。自由貿易協定による国家の繁栄という物語は、金融の詐欺師たちが言っているにすぎないストーリーである。
(引用終わり)

 農業体験をしていない青白い人間たちにしか決定権がないのはものすごく情けないことだと思う。農家の苦境を代弁すべき政治家がコロッと騙されているから、いつまでたってもアメリカの良いようにしか決まらない。属国だから今のところは仕方がないのだ、我慢してくれとも言わない。実に情けない。前回もちょっと書いたが、ブッシュ再選を前にして強引に米国産牛肉の輸入を解禁するが、国民の安全が政治的駆け引きのネタになるなどとんでもないことだ。憲法違反も甚だしい。警察・司法も植草一秀を条例違反で捕まえるぐらいだったら、小泉内閣を憲法13条違反で即刻弾劾すべきだ。

(引用開始p.216)
 アメリカの食肉安全法は大手企業に対しては連邦検査官が検査しない法律になっており、会社が手抜きをして汚染が発生しても、数週間後か数ヶ月後に挽き肉加工業者や牛肉卸業者が保管する肉を検査して、ようやく汚染に気づくとんでもないシステムであることが判明した。
(引用終わり)

(引用開始p.222)
 全頭検査をかたくなに拒否するブッシュ政権の農務副大臣ジム・モズリーは自ら農場を経営する食肉業者であり、農務次官代理ジェームズ・バトラーも畜産農場経営者、フロイド・ゲイブラーは農業コンサルタント出身者、といった具合だ。
(引用終わり)

 本当の情報は決して大手新聞になんかには載らない。ますます新聞不信を深めてしまう。

 今日も長くなった。中国問題には触れられなかったのでまた明日。  
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2004年10月26日

『日本のゆくえアジアのゆくえ』

a8a6fd00.jpg『日本のゆくえアジアのゆくえ』広瀬隆・日本実業出版社 お勧め度★★★★★
(要約はじめ)
 近年の中国の発展には目覚ましいものがあるが、一方で深刻な環境破壊や原料価格高騰、エネルギーの大量需要なども並行して起こっている。日本は工業国なのに原料輸入がままならず、日本経済を支える中小企業には相変わらず金が回らず、国民が望んでもいない郵政民営化でアメリカから国民財産が狙われている。また、食料自給率は4割しかないのに農村漁村は跡継ぎ問題に追われ、一方街では失業者があふれている。制度改革は国民を主体にして考えるべきであり、これまでの内閣の取組みは全く的をえていない。国民の資産・安全を守るのが国の役目であるのに。
 これからは没落帝国アメリカを向くのではなくアジア全体を考えていくべき時代である。日本の技術力はまだまだ捨てたものではないのだ。熱効率が悪くて危険きわまりない原発の推進をやめて燃料電池の改良・普及に官民上げて取り組むべきである。
(要約おわり)

 著者・広瀬隆は私が大学時代から読み親しんでいる人物である。いつもこのブログを見てくれているM本君も広瀬隆フリークであり、僕としても共通の話題をもつ友人がいてくれることは心強いものだ。
 著者のその調査力(副島隆彦はブレーンの存在を匂わせている)はただただ感心するのみである。代表作『赤い楯』でおなじみの、世界の大富豪系図を解き明かすことによって世界の謎を解き明かすという切り口はその調査力のすごさを物語っている。でもそれだけではなく、いつまでも市民派の視点を忘れない数少ない言論人の一人でもあり、私の思想に非常にマッチしている(本当のことを言うと僕の人生の中では広瀬隆から受けた影響がおそらく一番大きい)。本当に地球のことを心配して皆に警告を発し続けている良識派であるし、その舌鋒の鋭さは本書でも隅々に渡って見ることができる。
 その本書は具体的に「燃料電池」という次世代のエネルギー技術の早期普及を提案することで、日本が直面するエネルギー問題や排気ガスなどの環境破壊問題、原発問題の解決に向けた日本の進むべき道を提示しているところに特徴がある。私なんかは単純なもので、是非とも燃料電池を家のお寺に備え付けたいと思い、燃料電池についての情報収集・勉強をはじめたところである。

 さて、前置きが長くなったが、この良著を1回きりで紹介してしまうのはもったいないので、3回ぐらいにわけて紹介していきたい。でも他にもいろいろ書きたいことがでてきているので2回ですましてしまうかもしれない。そのときは事情をよくご拝察のうえ気に留めずにスルーしていただきたい。
 
 まず手始めに日本経済復活の兆しが見え始めたということについてコメントした次の文章を紹介しよう。

(引用開始p.15)
 折角、多くの「企業」が希望を持ち始めたというのに、一方では多数の「人間」がそれを実感できないのでは、日本がどちらへ進むか分からない。このような食い違いの大きな理由は、大企業中心の報道・解析と、実際に日本を支えてる大半の中小企業や個人営業の世界が、大きく分裂していることにある。前者には多少の光が見え、後者は大変に苦しいままなのだ。
(引用終わり)

 僕が住んでいるお寺の周りは相変わらず景気は停滞したままである。少子化の影響で僕が通っていた幼稚園はもぬけの殻になってしまっているし、小学校でさえ1学年1クラスというありさまだ。高校を卒業した若者は地元には留まらず都市に出て就職を探すので町が活性化するわけがないのだが、そういう若者を子供にもつ年代もどこかパッとしない景気の中で悶々と暮らしているようである。お寺の前後左右の家が離婚しているというのも、お寺のもつエネルギーが悪いと言われてしまうと面目ないのだが、離婚した後は景気がいいかというとそうでもない。小さな町だからお寺の坊主はいろんな情報に接することができるのでそういうことはわかる。小泉首相もそうだが国家官僚や日本を動かしているエリート達は大企業の社長としか話しないからこういう現状はわからないんだろうなあ。新聞を見ても中小企業の苦しさまで触れているものは少ないし。

 こうやって今の日本経済の回復が決して万人のものではないということを確認した上で、今流行の郵政民営化についての考察が一章分ある。たとえば、

(引用開始p.16)
 われわれ庶民に身近で便利な郵便局に対する攻撃が、民間銀行の経営者たちによって大声で語られている。エコノミストたちが、勝手な議論を進めている。彼らはバブル経済時代、国際金融ビジネスに失敗し、日本の製造業をこの地獄に手招いた無責任な敗残者たちである。
(引用終わり)

(引用開始p.175)
 小泉政権は、郵政民営化を看板に掲げて張り切っているようだが、これは大変に危険である。そもそもこの政策を強く推しているのは、日本の民間銀行業界と無知をきわめるエコノミストたちである。私には、一体なぜ、いきなり国民が郵便局批判をしなければならないか、その理由が分からない。(中略)国民が信用していないのは、郵政ではなく、民間銀行なのである。(中略)郵政民営化とは、消費税増税を隠して日本人の郵便貯金をブッシュのアメリカに送り込み、世界混乱を助長させる元郵政大臣・小泉のペテンである。年金に続いて、国民はまたも政府にだまされようとしている。
(引用終わり)

(引用開始p.184)
 私が郵政民営化の議論について、腹立たしく思うのは、郵政民営化による流出資金を、”最も信用ならない銀行業界”が狙っているからである。(中略)竹中平蔵や経済学者の言うことは、金融市場のことばかりだ。民間の資金が足りないとか、不公平な競争だとか、民業圧迫だとか、そんな抽象的な言葉ばかり口にしているから、日本は駄目になるのである。こんな議論をするのは、会社につとめて稼いだこともない学者ばかりだ。
(引用終わり)

 何が何でも郵政民営化しろとは国民の誰も思っていない。ましてや大多数の人間はリストラ・失業・治安悪化とかが関心事なわけで、景気回復とか年金改革見直しが世論の半分以上を占めていたように記憶する(最近の世論調査)。じゃあなぜ竹中大臣を担当にして国民が望んでもいないことを最優先で進めるのか?それは間違いなく政府が郵貯資金の国有化(実際は預金封鎖でしょう)を狙っているからであり、逆にこれまでは郵貯資金があるからこそ火の車ニッポンが今なお経済大国として振る舞える所以でもあったわけである。もっというとボツワナ以下の格付けにされた日本国債が今なお順調に消化されているということは、この郵貯資金を国有化できるという裏付けがあってこそなのである。もうそれを実行に移さなくてはならないほどせっぱ詰まってきているのではないかとも思われるのである。
 でもアメリカの息が掛かった竹中大臣とかが権力を握っている以上、その方向で進むのはもはや避けられないといえる。早いところ郵便貯金を出してドルとユーロのMMFに変えておこうかと思う(この本の直接の趣旨ではないが)。

 年金改革についても著者はこんなコメントを書いてある。

(引用開始p.138)
 自民党と公明党が二〇〇四年にしたことと言えば、「年金の赤字が急速に拡大して史上最悪の状態に陥り、与党の年金改革法では解決不能だ」というおそるべき実態統計を、七月の参院選挙前にひた隠しにしたことだ。驚いたことに、選挙のために国民を欺こうと企み、政治能力さえ放棄していたのだから、人間以前の集団である。
(引用終わり)

 人間以前というのはさすがにすごい。選挙前ってのはアメリカの牛肉輸入再開の件もそうだが、いかに政治家がいやらしい人種かというのがよくわかる。思い出せば年金改革法案が通った次の日に出生率が1.29になったというニュースがあった。これも詐欺だ。法案が通る前に発表していたら年金の計算を再度やらなければならないから意図的に延ばしたわけだ。もうこんなのばっかりだ。では海外ではどうか。年金とは違う保険の話だが参考のため引用してみる。

(引用開始p.135)
 ロンドンで三百年以上の歴史を誇るロイズ保険を例にとってみよう。彼らが、いかなる場合にも、全財産をはたいても、患部が保険契約者に支払いをすませてきたのは、その社会的約束を一度でも破れば一切の信用を失うからである。(中略)一九九〇年代に大災害と環境問題が続発したため、巨額の保険金支払いに追いつめられ、ついにはネームの自殺が続発した。天災が起こって他人の命が絶たれ、保険金を支払わなければならない。そのため、自分の命を絶つとは立派なものである。これはイギリスの騎士道にかなっている。腹切りを誇りとした日本の武士道はどこに行ったのかと、靖国神社を参拝する議員に国民は尋ねているのだ。
(引用終わり)

 痛烈な批判ですね。まさにそのとおりだと思う。でも本当に情けないのは我々国民が黙っているということかもしれない。遠山の金サンとか水戸黄門サンの登場を待ち続けるというのが我々の国民性なので仕方がないのかもしれませんが。

(注)ちなみに暴動を起こせというわけではない。そういうことを進める政治家を落としてしまえというだけの話です。だって民主主義ですから。

 ちょっと今日は長くなりましたね。次回は中国問題と食糧問題についての著者の考えを見ていきます。  
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2004年10月24日

『一ドル二〇〇円で日本経済の夜は明ける』

fa9d17bf.jpg『一ドル二〇〇円で日本経済の夜は明ける』藤巻健史・講談社 お勧め度★★★
(要約はじめ)
 日本経済の復興は特別難しいことではない。ただ円安にさえすればよい。ただし円安といっても今より10円20円安いのではなくて、1ドルが200円を超えるぐらいになれば何もかもがうまくいく。通過の価値をその国の経済力と見なすとすれば、バブルの時の1ドル140円に比べてさらに円が高いというのはやはり異常だ。この実態との乖離はマーケットが生み出した膿にあたるものであり、人為的であれこの膿はいつかは表ざたになるものである。
 円安によって輸出企業が儲かるのはもちろん、輸入価格の上昇でインフレが起こり家計の購買意欲が沸き起こる。デフレ下では有用だった円の預貯金も円安で価値が減ずるのとインフレで貨幣価値も減ずるからだ。消費に火がつけば輸入業者でも販売は国内でするのだから十分利益をあげられるし、なによりもインフレによって借金の負担が減っていくというメリットは大きい。土地担保をとっている銀行にとっても土地単価の上昇で不良債権はなくなる。
 さて、いいことづくめのような円安政策だが壁は大きい。アジア諸国、とくに中国や韓国が円安政策をものすごく警戒するし、借金帳消しにつながる政策でもあるので借金まみれの国とか人は大賛成だろうが、コツコツ貯蓄に励んだ国民が本当に歓迎するかどうかの見極めがつかない。また、このような調整インフレ論はハイパーインフレを招くとの意見が多いのも事実である。そこで著者は自分を日銀総裁にしろと宣う。そのアナウンスメント効果だけでもすごいだろうとうそぶく。
 しかし、著者はあくまで円安政策は近視眼的な政策にとどめるべきだとする。日本経済が長期的に目指すところは、やはり構造改革しかない(著者はバブル後期にそれを唯一指摘しはじめて金利低下ポジションという当時では逆バリのポジションをとって大儲けした)。
(要約おわり)

 今回も藤巻さんの本。実は僕が鹿児島で仕事をしていたときに一度読んだ本なので今回もう一度読んだということになる。まあ題名を見れば主張もわかるし、著者はずっと円安論者だったのだから再読する必要はなかったかなとも思う。だが、(元)伝説のディーラーだった著者のポリシーを紹介しておくのは有意義であろうと勝手に思ったので紹介した。

 本書は、アナリストでもエコノミストでもないが現場で金の匂いをかぎながら直ちに行動をとるマーケットトレーダーによる本である。これには深い意味があって、前者の2者はただの分析屋さんである。競馬の予想屋と同じで、自分の予想が外れたからといって自分の財産が減るわけではない人たちである。著者は彼らの言うことはほとんど信じず、己の頭で考え、己のポジションをとる人間である。だから自分が出す予想がはずれれば下手をすると一文無しになる(実際ヘッジファンドのマネージャーは誰でもそうだ)。だからこそ自分の理論には絶対的な自信をもっているわけだが、逆に頑固なところが目に付くことがある。

 特に、今の円高は不自然だということはおそらく大半の人たちが同じことを考えているし、円安になれば景気が一時的にであろうが回復するだろうということも経済理論として知っていることだ。だが、実際そうはなっていないというところに大きなカラクリが潜んでいるのである。その主な要因は、アメリカの経済・財政が実はものすごくやばいということ、それを隠すためにアメリカは属国日本に多額の国債を買わせてドルの崩落を支えさせていること、リストラなど別の問題が発生してはいるが日本が円高いじめにも負けずに国際競争力を回復し出したことなどがあげられるだろう。特に2つめの理由が本書で全く触れられていないのは残念である。2年前の本なので今ほど話題にはなっていなかったがその当時でもやはり日本の金でアメリカの財政赤字はファイナンスされていたのだから気づいて欲しかった。本書の核心にもろに触れる内容であるため、ひょっとしたら著者お得意のポジショントークだったのではとも勘ぐってしまうぐらい物足りない部分であった。

 経済の本は、今回のように数年経ってから読み返してみるのは非常に面白いし、著者の力量を測るのにはもってこいである。その意味ではここ数年で消えた経済学者やアナリストは数知れない。あいかわらず百害を説いて回る長谷川慶太郎とかの連中には怒りを通り越した哀れみしか感じないが、著者はずっとずっと円安論者であるので安心して(?)読んでいられる。副島さんとか浅井隆の経済予測も数年後に見直してみようと思う。  
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2004年10月23日

新潟地震に思う

 今日は実家に帰るとやたらと新潟地震のニュースばかりなので驚きました。阪神大震災を髣髴とさせる規模の地震のようです。「天災は忘れたころにやってくる」とはよく言ったもので、週刊誌とか新聞でやたらと東海大地震の予測記事が踊っていたのに、実際に起こったのは甲信越から東北地方というものでした。
 
 本当に今年はいろいろあります。台風に地震ですか。今回の地震で僕が一番心配しているのはとりもなおさず原発です。当然、地震被災地の原発は余震に備えて停止するでしょうが、放射能漏れなんてことが起こればものすごく大変な被害です。チェルノブイリ級とも言えるかもしれません。こないだの高浜原発事件とは違って天災ですから誰を責めようにも責められない問題でもあります。このことは、今日書こうと思っていた『日本のゆくえアジアのゆくえ』広瀬隆にはっきり書いてあるとおり、原発なんていう超非効率な発電に頼るのではなく、環境にやさしく無駄の少ない燃料電池の開発を急がせる方がよっぽど大事なことだということの布石になればよいのですが、放射能漏れが発生すればそんな悠長なことは言ってられないかもしれません(ちなみに広瀬隆は十数年前から原発は利権があるという理由だけで推進されていて非常に熱効率が悪くてリスクが高すぎる技術だと唱えつづけています)。原発もできてしまっているものは仕方がないし、何よりも半減期間が数千年という放射能物質をプールにかくまっておかなければならない以上は、うるさく原発反対と叫びつづけるのも無意味なことです。しかしまあ地震大国にこんなにたくさん原発作らなくてもいいのにと今更ながらあきれてしまいますね。

 僕は来週ちょっと時間をつくって現地にボランティアに行こうかなと思います。阪神大震災の時にいろいろ助けてもらったお返しという意味でもありますが、このままブラウン管を通して茶の間で他人事のようには見ていられません。とはいっても一人で現地をうろうろしていても仕方がないので、どこかボランティア団の仲間に入れてもらおうかと思っています。  
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2004年10月22日

『借金国家から資産を守る方法』

e7bb7457.jpg『借金国家から資産を守る方法』前田和彦・フォレスト出版 お勧め度★★★★
(要約はじめ)
 日本は近い将来破産する。早ければこの11月の新札発行が一つの機会であると考えられるし、預金封鎖とデノミがセットで実施されれば、円なんて何の価値もなくなる。これまではここまで書いた本はたくさんあったが、ではどうするかという実際の資産疎開術については学者とか評論家が書いた本しかなく、現実的に不可能なものまでお勧めになっていたりして全く不親切であった。著者は外資系に勤めたことのあるプライベートバンカーで顧客の信用がなければ仕事がなくなるので、実地面でかなりの情報を持っているので、より現実的な術を語ることができる。
 まず日本は破産するとして、絶対にもってはならないのが日本国債。次に円預貯金、土地、金と続く。幸いにして外貨建てMMFとかに逃がしていたとしても将来富裕税がかけられてしまう恐れがあるのと、外銀に開いた口座も国民層背番号制で管理されるので、完全に安全とはいえない。ではどうするか。究極的には日本の居住者でなくなる(海外に移住する)方法がベスト。それでなければ、ヘッジファンドまたは株式投資に2割、オプションものまたは債券6割、MMF2割がバランス的にちょうどよい(もちろんリスク許容度により個人差あり)。要するに、流動性を重視すること、投機ではんかく効率良い投資を行うこと、資産を保全することが3本柱である。
(要約おわり)

 前回、僕は資産なんてないから無関係だと書きましたが、重要なことを忘れていました。そう、お寺の資産運用についてです。檀家さんからお預かりした資金は上手に運用しないといけません。昔、知恩院が運用に失敗して全国ニュースになっていたりしましたが、こんな愚を犯してはいけません。とはいっても何億とあるわけではないので、むちゃくちゃ心配するわけではないですが。
 本書によれば、小額資産家はとりあえず外貨建てMMFを買っておいて様子をみろという風に読めます。もちろん万能ではありません。将来的に富裕税という考え方が導入されれば(実際にフランスで既に導入済みらしいですので十分可能性はあります)逃げられませんので。しかし、円が暴落しても外貨(主にドル建てが主流で最近はユーロ建てもよく見ます)で持っていられるわけですし、MMFは投資信託そのものですので、販売した銀行とか証券会社が潰れても保護されているのでパアにはなりません。税制面でも換金性でも今のところはという条件はどうしても付きますが良いです。手数料も他の投資信託よりもかなり割安なのでお勧めできます。ちなみに個人的に僕も7,500ドルぐらいですが持っています。

 本書では従来有利と考えられていた金投資とか不動産投資についてはかなり懐疑的に書いてあります。中国株投資もオーストラリア・ニュージーランドドル投資もかなり注意を促しています。実務家ゆえの気の届きようと言えます。ある程度は信用できそうです。まあ相場なんてだれにも予想できませんからいまのところ何とも言えませんが。

 ヘッジファンドは過去のリターン平均が年率30%とか驚異的なファンドも多いわけですが、さすがに100%を運用させるには無理があります(まあ取引単位が億円とかが普通なので申込すらできないことが多いですが)。なのでオプションものについてちょっと勉強しようと思いました。理屈はわかっています。プットとかコールのオプションを組み合わせたものとか、イベントドリブン型のちょっとリスキーな債券とか。これから資産のポートフォリオを再構築してみようと思います。けっこうわくわくの作業だったりするので、久しぶりに元金融マンの血が騒ぐというものです。それから、お寺を手伝ってくれている方の資産管理についても相談を受けているので、わかりやすい投資知識セミナーを開こうと思います。ウチの父母も加えて。でもやっぱり大変な時代になってきたなあと実感しています。  
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2004年10月21日

僕は子供のときマンガしか読んでいません

 私も晴れて大学生になりました。といっても入試なしで申し込めばすぐOKの通信教育部ですが。大学3年生という学生証があるので、まあこれがあれば一般の学生と変わらないでしょう。学割とかも使えるかもしれません。
 逆にこのことはきっぱりと医学部受験をあきらめたということにもなります。二重学籍の問題がありますから(今年の春はこの問題のため見送った経緯があります)。去年はO川さんが先日コメントしてくださったようにセンター試験の締め切り間際に申し込んだことを思い出します。仕事で引き継ぎの資料をコピーしていたら、おばちゃん職員が息子がセンター試験受けるので申込んだところだという山形弁を発していたのでピンときたわけです。やばいと。間に合わんかもしれんと。まあ間に合ったわけですが、おばちゃん職員には感謝しております。

 さて、H垣さん(これもまるわかりですな)から小学生向けのお勧め本をということを言われていました。これが結構難しいのです。どうしてか?考え始めてすぐに答えがでました。僕自身が小学生の時に読書をしていない!だからわからんと。
 これでは答えにならないので、その後もちょっと考えました。ですのでこれから語る内容は僕自身が体験していないのに偉そうにこうした方がええんちゃう?というノリの文章ですので、それを念頭に置いて読んでください。

 まず本ではないのですが、「週間こどもニュース」という番組があります。NHKで池上さんというおじさんがお父さん役で、ものすごくわかりやすくニュースの説明をしてくれます。これが実はかなりすごいことなのです。これだけ複雑な世間のニュースをこどもにわかるような単語で説明するわけです。これがどれだけ難しいことか。いつもあの番組を見るたびに感服いたします。ということで、まずはこれをお勧めします。こどもと言えどもこれから中学生になろうかという学年であれば是非見ておくことをお勧めします。もっと言うと、僕が金融機関に就職が決まって、当時の経営スタッフ部門の副部長が、このニュースをかなり絶賛していました。僕も見ていると。どんな新聞よりもわかりやすいと。これほどのシロモノです。

 次に小倉百人一首。これも必修でしょう。小学生のうちに覚えないと中学生になったらなかなか覚えようとする時間がないでしょう。僕は小学生のときに寝る前に一つ覚えて朝起きて覚えているかどうか毎日テストして覚えました。まあ小学生ですから興味を持てばあっというまに覚えます。なぜ必要かというと、そのうち古文として学ぶ内容が実に有機的に暗記できるというメリットは計り知れないということ、大和言葉の美しさに触れて体内リズム(57577は日本人にとって心地よいリズムだという説をどこかで読んだことがあります)が整うこと、若くして教養人の仲間入りができること、まあ最後のはどうでもいいことですが。受験云々で考えると覚えておくとかなり得であることは間違いないでしょう。

 あとは世界の名作シリーズでしょうか。子供向きに簡単に書いているヤツが最適ですね。僕も小学校で読んだ記憶があるのは「ドン・キホーテ」とか「巌窟王」とかとにかくすらすらと読めるような文体で書いてある小説でした。それから忘れてはいけないのが、世界の偉人の伝記です。エジソン、リンカーン、ガンジー・・・かぞえればきりがないですね。シリーズで出ているのもあるので読んでみることを強く勧めます。何かが心に引っ掛かって、僕もこういう人間になりたいと思う者です。男の子は特に。ベーブ・ルースでもいいでしょうし、マイケル・ジョーダンでもいいと思います。この年ごろは精いっぱい夢を見させるのが一番だと個人的には思います。

 どうでしょうか?参考になりましたかね?  
Posted by p-5796189 at 23:47Comments(4)TrackBack(0)