2005年01月27日

国籍条項の最高裁判決についての各紙社説を比べると・・・

 なんか最近寝不足だなあと思い、冷静に考えたら、寝る前にあちこちのサイトを巡回しまくる習慣がついてしまっていることに気がつきました。じっくり読まないと理解できないサイトとか海外のサイトなんかはやっぱり時間がかかりますし、気がつけば、ああもうこんな時間だみたいな感じです。でも気になって仕方がないんですね。こんなに大変な労力をかけないと本当の情報が入ってこない国って正常なんでしょうかね?

 もうすでに旧聞になってしまいますが、昨日は重要な判決が多く出された珍しい一日でした。特に東京都職員の在日の人が昇進できないのは憲法違反ではないというニュースは反響が大きかったですね。それぞれの新聞の社説について、僕の思うところを述べてみましょう。

(Jan/27/2005 産経新聞・社説より引用開始)
 外国人が東京都の管理職になれるか否かが問われた訴訟で、最高裁大法廷は管理職試験の受験を拒否した都の対応を合憲とする逆転判決を下した。極めて常識的な判断といえる。(中略)
 永住外国人地方参政権の問題とも共通するが、外国人が公務員の管理職に就けないのは、差別でなく国籍の問題である。
 最高裁はさらに、「国と地方公共団体の統治のあり方については、国民が最終的に責任を負う」とした。主権国家として、当然であろう。(中略)
 しかし、高知県や川崎市など一部自治体では、多くの一般公務員についても国籍条項を廃止し、外国人に広く門戸を開いている。国の主権が損なわれかねない危険性をはらんでいる。
 公務員は当然、国家に対する忠実義務を負っている。外国人が公権力を行使できる地位に就き、母国への忠誠を誓っていた場合、国益に反する重大な事態も起こり得る。高知県などの自治体は今回の最高裁判決を機に、早急に国籍条項廃止措置を見直すべきだ。
(引用終了)

 まず僕の基本的な姿勢について述べておくと、この件については常識的な判決だったと思います。違う国籍の人に我が国の税金(正しくはその地方自治体の税金ですが)を使う裁量が与えられるというのは、やっぱりおかしい。在日だからとかの差別は全く関係ない話です。テレビのニュースで原告の女性が「(外国人たちに)日本には来るな」と会見したときは、はっきり言ってしらけました。そんなチンケな感情論で語られても困る(最高裁の判決までに相当な時間がかかったうえに負けたのだから同情はしますが)。
 でも、産経の社説を書いた輩は脳が足りていない。実質的にどうなのかという大事な視点を忘れて、最高裁判所が示した国籍云々のところを捉えておおはしゃぎしているだけです。「実質的に」とはどういうことかと言うと、例えば慶応大学の教授時代に頻繁にアメリカと日本に住民票を移動させて節税(脱税じゃないのか?)をせっせとしていた竹中大臣なんかは、その時点でもっとビッシビシ糾弾されてしかるべきだったのではないのでしょうか。確かにあの時はちょっとは盛り上がりましたが、アメリカからの圧力でピタッとやみましたよね。在日の、しかも課長の昇進試験がどうのこうのというような時に弱いものいじめをするなんて最低のマスコミだと思います。弱いものをくじけよ。まあしょせんはアメリカポチ保守の二流新聞なんてそんな社説しか書けないということでしょう。竹中だけじゃなくて、小泉首相も同じですよ。記事中の「外国人が公権力を行使できる地位に就き、母国への忠誠を誓っていた場合、国益に反する重大な事態も起こり得る」なんて、まさに小泉首相のことそのまんまじゃないの。まあ外国人じゃなくて変人ですがね。実質的に見るというのはそういうことでしょう。表面的な国籍云々で昇進試験はダメっていうのは小学生でもできる判決ですが、大人なら実質を見なきゃいけないと思いませんか?

(Jan/27/2005 朝日新聞・社説より引用開始)
 東京都内の保健所で働く在日韓国人の女性が「課長になりたい」と思い立つ。都は昇進試験を受けさせない。管理職は日本人に限る、というのだ。そんな都の冷淡な措置を全面的に追認する判決が最高裁で言い渡された。(略)企業や自治体が採用や昇進で国籍による差別を減らそうと知恵を寄せ合う時代に、なんとも後ろ向きな判決である。
 国籍による就職差別をなくせという声は主に関西の在日韓国・朝鮮人から起こった。企業が門戸を広げるなか、川崎市が消防職員を除いて採用時の国籍制限を撤廃した。札幌、名古屋、京都、福岡などの大都市がこれに続いた。東京を含め10以上の都府県も部分的に採用時の国籍条項をなくしている。(略)
 そもそも「日本国籍を持たない公務員は管理職になれない」と定めた法律はない。重大な施策に携わる公務員に国籍が必要なのは「当然の法理」とした半世紀前の政府見解だけだ。それと大差のない最高裁の判決はいかにも古めかしい。
 そんなに働きたいのなら日本の国籍を取ればいいじゃないか。そう思う人もいるだろう。しかし、過去の日本とのかかわり、先祖や親兄弟、故国に寄せる思いから、日本国籍を取る気になれないという人も少なくない。
 救いは、2人の裁判官が書いた反対意見だ。直接住民に強制する職種や、統治の核心にある職種でないのなら、外国籍の職員を管理職に登用してもよい、と述べた。こちらの方が多数意見よりはるかに柔軟だろう。
 津々浦々に外国人が暮らす時代だ。鄭さんは日本語を母語とし、知識も経験もある。地域社会で住民サービスに打ち込む意欲も強い。そんな人材を活用しないのは社会全体の損失ではないか。(略)
(引用終了)

 まるっきり反対の朝日新聞です。在日問題だから当たり前ですが。まあめったに朝日の社説なんて読もうとは思わないのですが、筆力完全に落ちてますねえ。可哀想だからなんとかしてあげてよ、という解釈しか僕にはできません。そういうことを言っているのではないでしょう。半世紀前の政府見解は古めかしいのではなくて、当然の真理なのだからたった半世紀でぐらついてもらっては困ると読まなきゃいけないと思います。日本の国籍をとればいいって書いてますよね。わかっているじゃないですか。それを邪魔している一部の偏った日本人がいるのも否定はしませんが、むしろ本当の敵は身近にいるんじゃないかと言いたいですね。具体的には言いませんが。

 他の新聞の社説も載せようかと最初は思っていましたが、書いていて疲れたのでやめます。GoogleNewsでもいいですし、各新聞社のHPで社説も読めますので、気になる方は読んでください。

 ああ。朝日新聞はどんどん斜陽ですね。かつての面影はなくなりつつあります。NHKとの問題でこっちには手が回らなくなっているのかな?

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