2004年12月20日

『続・英文法の謎を解く』

5f6fd860.jpg副島隆彦『続・英文法の謎を解く』ちくま新書 お勧め度★★★★
(内容紹介はじめ)
 前著で指摘があった部分と読者からの意見に応える形での続編。上智大学の渡部昇一名誉教授から示唆があった英文法とドイツ文法・ラテン語文法の関係について述べるなどの若干専門的な箇所も見られるが、日本人だけしか使わない英語の造語や、日本人が苦手とする主観と客観の違い、倫理判断と価値判断の違い(goodとbad論)など、日ごろ意識しなければ見落としてしまいそうなトピックを取り上げている。最終章の英語の発音論では、著者独自の分類を紹介して発音・綴りを覚えやすくしようという試みが見られる。
(内容紹介おわり)

 タイに行く飛行機の中で読みました。題名を見る限り前著の続編ではありますが、内容はかぶっておらず、本書単独でも十分著者の言いたいことが伝わりますし勉強になります。ただし前著同様、別にきっちりした英語なんて勉強しなくていいやんっフィーリングで通じればいいやんっと考えている人には不愉快にしかならない本でしょう(ちなみにフィーリングは日本人が作った造語です)。

 さて例のごとく読み終わって見直してみると線引いてばっかりでした。それだけ僕にとっては新鮮な事柄が多い、裏返して言えば僕の英語の知識なんてそれぐらいのもんだったということなのでしょうが、とにかく勉強になりました。以前、ケビン・クローンのトンデモ英語の本を紹介しましたが、本書でも似たような章がありまして、例えば以前のコカコーラの宣伝「I feel Coke.」について間違いを指摘しています。

 何がおかしいか?著者はこう断言します。

(p.44より引用開始)
 I feel Coke.を口に出して、三度言って気色が悪いと思わなければ、英語の勉強なんかやめた方がいい。(略)この動詞feelのあとに来るのは、(とりあえず)絶対に形容詞でなければならない。
(引用終わり)

 もう勉強やめようかなと思った瞬間でしたが、まあそれは置いておいて、こういう解説を確かに学校で習わなかったなあと思い出しました。feelとかseemとかの不完全自動詞と言われる動詞は気をつけて使わないといけない。いわゆるSVCの第2文型の英語になるからです。もちろん他動詞としてのfeelも辞書をひくと載っていますが(この場合はSVOの第3文型)、ひどく意味が違ってきます。英語もやっぱり難しいですね。

 以前、松本くんに教えていただいたサイトに飛んだときも、自分の知識の足りなさを痛感しましたが、こういう経験をし続けることによって知的好奇心が休まる心配がないというのはある意味ありがたいことです。どんどんどん欲に知識は取り入れていかないといけない。でも数日前に父親からアドバイスをもらったように、どこかでアウトプットをしていくことも時には必要になるのでしょう。自分の知識の整理にもなるし、自分がアウトプットするということに対する言論の責任というものを負うからこそ感性も研ぎ澄まされるのではないかと思うのです。
 
 あんまり説教くさくなると坊さん丸出しなのでやめましょう。
 
 本書の見どころはいくつかありますが、個人的には渡部昇一氏がどこかで書いた文章に対する著者の反論の部分が面白かったです。著者は渡部教授のことをポチ保守と見なしているなど、専門の政治学の分野ではけちょんけちょんに批判していますが、やはり学問としての英語という場面では逆に教えを請う形をとっています(最後には反論しきっていますが)。9世紀末のアルフレッド大王の時代の英語ではどうだったとかいう話を渡部教授からされると、その分野の専門家でもないかぎり議論続行は不可能でしょう。著者は、別にそんな時代の英語を勉強せいと言ってはいない、今使われている英語を理解せよと言っていまして、正面からの議論は避けています。ちょっとかわいらしい一面もあるのだなあと変なところで感心した次第です。

 本書のさらに続編があります。また機会を見て読みます。明日はタイ旅行での2冊目の本を紹介します。

この記事へのコメント

アメりカの洗脳広告代理店、電通による、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、ウソ八百の見事な洗脳情報と、ウソと騙しに満ち溢れた世の中で、思考停止状態にある日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! 我々はハッ、と気付いて、いや、待てよ! と立ち止まり、常に注意深く、用心して、警戒し、疑いながら生きれば、騙されることはない。 すべての事柄を疑うべきなのだ!
Posted by 洗脳からの覚醒はの学問道場を見ろ! at 2018年08月28日 09:37